ガンスリンガー

限界集落村人

14

ヘッケランを連れ俺はスラム街から離れ、洞窟へと戻った。 
やはり傷が痛む。長距離の移動はできなそうだ。14地区に戻るのは少し先になりそうだ。
後日王都スラム街はマルス伯爵の手によって犯罪シンジケートを一掃し、マルス伯爵は貴族としての力を増していった。
王都では遂に三男のタナス・ゲルマンが後継者となり、ゲルマン王国は反王政派閥の粛清にいよいよ取り掛かろうとしていた。
俺の傷は想像以上に深く、やはり病院で治癒魔法を利用して治すしかなかった。ヘッケランは俺の為にギルド協会で依頼をこなし、3ヶ月後、ようやく俺は治癒魔法による治療を受けた。
その後はマリやハミルに礼を言って14地区に戻る事にした。

14地区に戻るのは4ヶ月ぶり。その間14地区では少佐の進言により、領主ユーリーは奴隷の解放、農地改革、新たな産業の取り組みを行い、14地区は多大な発展を遂げていた。
少佐はユーリーに与えられた兵に現代の訓練を施し、更に地区の兵力の3割を少佐に与えた。少佐はユーリーの側近となり発言力を増した。
そして、遂に14地区に反王政派閥の討伐要請の書状が届き、ユーリーの命令で俺たちは隣の反王政派閥の15地区を攻撃する事が決まった。

城の中に貰った一室で少佐を指揮官とし、俺たち6人とメイサとイルムスは作戦会議に参加していた。
「今回、領主の命により第15地区の攻撃を行うわけだが。作戦概要を説明する。」
少佐の作戦は、日の出前に、2個中隊、各200名で組織された部隊を都市を包囲するように配置し、敵が反撃してくる前に場内に侵入して15地区を制圧する作戦だ。
指揮系統は無線がない為、中隊の部隊編成は200名でひとつの部隊となる。指揮は伝令を使用するしかないが、全員がak47で武装し、最低限の訓練は受けている。密偵による敵の兵力は約8000。数で言えば圧倒的に少ないが、戦力を数値化すればまず負けることはないと少佐は言う。
そして俺とイーライ、クーパーとクラークは川から都市内部に繋がる下水道から内部に侵入し、城に潜入、15地区の領主捕縛もしくは殺害が目標だ。この戦いにおける本命は訓練した兵士がどれだけ使えるか試すのが目的だ。8000の敵を相手にどこまで通用するのかを試す。
後方には100人の守備隊と治癒魔法を使えるメイサ主体の医療班が待機している。
リーとユーゲルはその間14地区の防衛についた。
イルムスには別件でなにかやらせているようだった。
「作戦の成功は間違いないが、兵士達がどれだけ使えるか見ものだな。」
その時の少佐の目は、あの時のマルス伯爵の目にそっくりだった。

「おいお前ら、地上に出るぞ。ナイトビジョンを外せ。」
クーパーはそう言ってナイトビジョンを外し、下水道から地上に上がる階段を駆け上がる。
そこは地上というよりも、城の内部にある排水場だった。
「クリア。」
俺たちはそこから先に進む。
「なぁ、なんでこんなに異臭がするんだ?」
イーライがそう尋ねた。
「これは糞の臭いだ。多分ここは便所から繋がってるんだろ。」
「うぇ、最悪だな。」
「臭ければ臭いほどいいもん食ってる証拠だ。」
「黙れクラーク。それ以上喋ったらお前の口を糞まみれにしてやる…。」
敵地のど真ん中なのに気楽なもんだ。
「静かにしろ、この先は敵と遭遇するぞ。」
「了解…。」
クーパーは排水場から城の中に入る扉を開き、俺たちの緊張感は高まる。
綺麗な部屋に入るが、そこには誰もいなかった。
「クリア。」
俺たちは城の中を進んでいると、外から銃声が聞こえてきた。
どうやら表での攻撃が始まったようだ。
敵は城の中の警備が薄く、数名を殺してすぐに領主を捕縛することに成功した。
「よし、離脱するぞ。」
俺たちは15地区の領主を捕らえ、排水場に戻り、すぐに離脱した。
「なんだこれ、イージーモードじゃねーか。」
「クラーク!まだ任務は終わってない。気を緩めるな。」
「へいへい……。」
俺たちが下水道の入り口に戻り、15地区を見渡すと、もうすでに銃声はやみ、戦闘は終わっていた。」

15地区を占領し、城で俺たちは少佐と合流した。だがそこには怒り狂う少佐の姿があった。
少佐のいかりは戦死者の数にあった。敵の死傷者は約4000。こちらの死者は160。普通に考えれば敵より被害は少ないと思うかもしれないが、現代戦において大事なのは勝利よりもいかに兵を失わないかが重要。結果勝ったからそれでよかったとはならない。軍の至上目標は死傷者0だからだ。
「なんてザマだ。無能な奴らめ、わざわざ近接戦にして、何のための訓練だと思っている。やはり所詮は徴兵された一般市民か。」
ユーリーが少佐によこした兵は、徴兵制度で徴兵された農民たち。無論戦う意思も無ければ戦闘能力も低い。そんな連中をたかが数ヶ月訓練したところで、何の役にも立たない。
領主ユーリーに戦果を報告し、少佐や俺たちは賞賛を受けたが、少佐はそれよりも納得していないようだった。

反王政派閥は粘りを見せ、18、19、20地区は大軍を率いて決戦を挑み、16地区にある巨大な平野にて王政派閥の北方面討伐軍主力と戦闘し、倍以上の兵力の方面討伐軍を壊滅させた。
そしてその翌月、少佐に領主ユーリーから16地区を包囲している反王政派閥の軍隊を叩くように指示が出る。
少佐はそれを先の戦いの損害で戦うことはできないから休ませろとユーリーに頼むが、ユーリーはそれを拒否し、少佐は不本意ながら兵を向かわせた。
今回は俺たちが各中隊を指揮し、計4中隊、800人が派兵された。
200人を直接指揮することになんて、いくらなんでも無理な気がするが、やってみるしかない。
敵は先の戦闘で41万から5万まで減少した。
少佐の案により、俺たちは16地区を包囲する敵の後方に陣地を作り、敵がそれを攻撃しに来たところを叩くという作戦に決定した。

「ガンスリンガー」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く