ガンスリンガー

限界集落村人

8

ギルド協会は14地区には無く、王都限定のスポットだった。
王都まで馬で15日。内輪揉めの最中の王国でハンビーを乗り回す事は許されなかった。
ギルド協会はものすごくデカかったが、それが小さく見えるほど巨大な城を見て、俺は腰を抜かしそうなった。
ギルド協会の受付に行くと、「協会に登録されていますか?」と聞かれ、協会に登録する事になった。必要項目に名前やら出身地やらを書くらしい。
俺はそれを書いて渡すと、受付でバッチを渡された。
バッチにはランクがあるようで、最初はランク1、最大で50まである。
俺は巨大な広場にある大きな掲示板を見て依頼、クエストを探していた。
なかなか面白そうなやつがないと思っていた時だった。
「強人求む。邪悪龍討伐。報酬金貨500万枚。依頼主ティアンツ伯爵。」と書いてある、報酬額からしても強そうな龍の討伐依頼だった。
俺はこれにしようと依頼書を取って受付に行こうとした時だった。
「君、その依頼、受けてくれるのかい?」
「は…ええ、まぁ…。」
突然声をかけてきた男は、長身で細身、はなの下のちょび髭、更に高価な衣服を身にまとっていて、なんだかインチキくさかった。
「あの、どちら様で?」
「私はマルス・ディ・ティアンツ。そのクエストの依頼主だよ。」
「ああ、よろしくお願いします。」
「ちょっと付いて来たまへ。」
俺は言われるまま依頼主のマルスについていった。
ギルド協会を出ると、馬車が停まっていて、俺はマルスと共に馬車に乗り込んだ。
馬車の中には顔にいくつもの傷がある屈強そうな男と、ブロンドの髪の長い女がいた。
「この二人は私の騎士だ。男の方がハミル・エルディーゼス。女の方がマリ・クロムノーツだ。」
二人は一礼したので、俺も頭を下げた。
「さっそく君に聞きたいんだが、邪悪龍に勝てるのかね?」
そんな事聞かれても、ドラゴンがどれだけ強いかなんて分からないし、勝算なんかない。
「あの……その邪悪龍ってどのくらい強いんですかね……?」
「は!?君邪悪龍を知らないのかい?」
「いや、まぁ知らなかったですね…。」
「ちょ、ちょっと君。まさか何にも知らないであのクエスト受けようとしていたのかい?」
「なんか強そうな名前だったんで…。」
「強そうな名前って……ちょ、えぇ〜……。」
マルスは体を変なふうに曲げて俺に不信感を募らせていた。騎士の二人も急に大丈夫かこいつといった具合だった。
「君、ランクいくつの冒険者なんだ?」
「ついさっき登録したばかりなんでランク1ですよ?」
俺がそういった瞬間マルスは頭を抱えて溜息をついた。
「ごめん、君じゃ無理だ。このクエスト受ける人誰もいないから、興味持った人がいて嬉しくてね〜…。ずっとあの場で様子見て、依頼書持って行きそうになったから声かけたんだけど、ちょっと無理だよ君じゃ。」
「最初から決めつけるなんて酷いじゃないか。とりあえず邪悪龍と戦わせてくれ。」
「い、いや自殺行為だよ絶対。てか君ちょっと変!」
「じゃあ、報酬はいらないから邪悪龍がどこにいるのか教えてくださいよ!」
俺がめげずに言い続けると、首をひねりながら考え始めるマルス。
「マルス様、人は見かけにはよりません。なにかしらの根拠があるのでしょう。彼を邪悪龍と戦わせて見てはいかがでしょうか。」
顔に傷のあるマルスの騎士、ハミルがマルスにそう提案した。根拠はないが、なにやら俺の熱意が伝わったようだ。
「ハミルが言うならしかたないなぁ。君に邪悪龍の場所を教えてあげよう。ただし、私も君をそうやすやすと見殺しにはできないから、騎士二人を連れていっていい。だからそのかわり無事に帰ってきておくれ。」
マルスはそう言って俺を馬車から降ろし、明日の朝に王都の東門近くの風車で待ち合わせをした。

俺は馬に積んできた武器を宿屋で降ろし、必要なものだけ選んで支度する事にした。
そして朝、俺は完全武装して約束の場所に行くと、そこには騎士ハミルと、マリが馬に乗って待っていた。銀の鎧を着て、ハミルは巨大斧、マリはゲームや漫画に出て着そうな大きなバスターソードを持っていた。
「裕一殿、随分と武器をお持ちですが、大丈夫ですか?」
俺のあまりの武器携行数を見てハミルは俺を心配して声をかけてきた。
「まったく、マルス様の命でなければ貴様と同行して死地に行くことなど絶対に御免だ。」
マリはわざわざ来たのに俺に嫌味を言ってきた。
「しかしお前、見たこともない武器や装具だが、ちゃんと使えるのか?」
「はっはっはっ、マリは心配しすぎだぞ、裕一殿を信じろ。」
二人とも極端すぎる。マリは信用しなさすぎ、ハミルは信用しすぎ。
「だが裕一殿、もし無理ならその時は教えてくだされ。邪悪龍から逃げる時は目潰しの魔法を使用いたす。」
魔法って、今更驚かないが、平然と魔法を使うとか言われると少し怖い。

俺たちはそこから死の渓谷と呼ばれる谷に向かった。
渓谷は深く、かつて大地を神が引き裂き、その谷間から邪悪な龍が生まれたとされている。
「邪悪龍は自分から人間に危害はあまり加えませんが、攻撃してくる輩には容赦がありませんから、気をつけて下され。」
「じゃああなた達は戦闘に参加せずに近くで俺がピンチになるまで待機していてください。」
「はっはっはっ、冗談がお上手ですな裕一殿。」
「いやマジで言ってるつもりだけど。」
「えーー!?」
ハミルは目を仰天させてあからさまに驚いていた。
渓谷を道に沿って歩いて行くと、渓谷の間に巨大な石の柱がたっていて、その上に巨大な龍が眠っていた。
直接見て俺の興奮はマックスだった。
「本気で倒すつもりでしたら静かに近づいて不意打ちを……って裕一殿!!」
俺はハミルを無視してドラゴンの方へ馬を走らせ、一番近い場所にM82A1を構えてうつ伏せた。
距離は約900m。風はかなり強く狙撃に適していないが、このM82A1の弾倉は風の影響を少なくするように設計された特殊弾。誤差があれどあの巨大な図体なら外すことはない。
俺はスコープを覗き、眠っているドラゴンの眉間に標準を合わせた。そして息をすっと止め、数秒ののちに引き金を引いた。
渓谷に響き渡る銃声とののちにドラゴンのうめき声が聞こえた。
ドラゴンは羽を動かし始め、飛翔しようとしていた。俺はすぐに羽の付け根部分を撃ち抜く。
邪悪龍は再び唸り声を上げ、両足で立ち上がる。俺は両足も撃ち抜き、倒れ込んだところに弾が尽きるまで撃ち続けた。
俺はすぐに弾倉を交換し、セミオートのM92A1を断続的に撃ち続けた。
二つ目の弾倉が切れた時だった。最後の弾倉を手を滑らし岩場の隙間に落としてしまった。
その間、邪悪龍は羽を広げて空に飛び上がった。
「裕一殿ー!邪悪龍が空に!」
ハミルの呼び声を聞いて空を見ると、邪悪龍が空に飛び上がっていた。
「あれだけじゃまだピンピンしてやがる。そりゃあ〜まだ物だりないよなぁ。」
邪悪龍は羽を羽ばたかせながら俺めがけて勢いよく滑空して来た。
俺はそれをかわし、背中にかけていたM249を取り出し、邪悪龍の方にむかって移動しながら撃ち続けた。移動しているだけあり適当に連射しているだけだが、図体がでかい相手だけあり、制圧力は高く、邪悪龍に攻撃の隙を与えなかった。
しかし100発あった弾薬はあっという間に尽きる。しかしあれだけ撃ち込んでも邪悪龍はまだ空を飛んでいた。
邪悪龍が滞空しているのを見て、俺はM249の弾倉を交換した。
だがその時だった。邪悪龍は翼をはばたかせ、巨大な風を吹かせた。
俺はその風に吹き飛ばされ、何メートルも飛ばされた。
俺は空をぐるぐると回る邪悪龍を見上げて、笑っていた。
「最高だ、こんな楽しくて刺激的なのは初めてだ。」

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