ガンスリンガー

限界集落村人

5

弾薬に関する問題が解決してからというもの、少佐は領主の書状と共に従順な部下ユーゲルと酒呑みのクラークを連れ、ゲルマン王国の首都に行ってしまった。俺たちはその間、領主の兵士に銃を持たせて訓練するよう指示されていた。
昔Sealsの地獄の訓練、ヘルウィークを平然とクリアしたクラークと、SASのイーライ、SLCUで狙撃手のリーが訓練を任され、俺は王国領南端にある村、グリムホークに向かうことになった。
俺は同伴としてまだ若い領主ユーリーの家来で腕の立つ剣士、ルイスと共に南へ向かった。
まだ若いルイスは、移動手段のM998A1ハンビ」に興味をもち、車内ではうるさくて仕方がなかった。
「すごい!一体どうやって動いてるんですかこれは!!どんな魔法を使って……。」
「あのなぁ、もう少し静かにしてくれないか?」
「申し訳ありません裕一殿、しかしこれは興奮せずにはいられないというか……。」
「うん、でも事故ったら君のせいだから。運転集中できなくて事故ったら君のせいだからね?」
こんなにうるさい旅の仲間は初めてだ。おしゃべりのイーライですらこんなに喋らない。
車の中でこんなにうるさいやつは初めてだ。
「ルイス、まさか目的を忘れてないよな。」
「もちろんです!南端の村、グリムホークで大魔術師を探すことです。」
「そうだ、なら今からしっかり気を引き締めておけ。任務はもう始まって……。」
「裕一殿、これはなんですか!?」
全くこいつは分かっていないようだ。

車を走らせていると、髪の長い18そこらの少女が荷物を抱えて歩いていた。
俺は車を止め、その少女にどこに向かっているのか尋ねると、どうやらグリムホークに向かっているらしく、俺はついでに彼女を乗せていくことにした。
「旅の方、これは一体どうやって動いているのですか?」
「君もそれか……。」
どいつもこいつも、そんなに車ってのが珍しいか。
「俺は裕一って言うんだ、後ろで寝てるやつがルイス、君は?」
「私はメイサ・グリムホーク。」
「ん?グリムホークって、村の名前と同じなのか?」
「ええ、私の家は代々村を治めてきた一族なの。」
「すごいぁ、君もいつかあの村を治める事になるのか。」
「そんな事考えたこともありませんよ。私が村を治めるだなんて。」
「それより聞きたいことがあるんだけど、グリムホークにいる大魔術師を知らないか?」
「もしかしてカイヤ・マクガイヤの事でしょうか?」
「名前は知らないんだが、偉大な魔術師だと聞いている。」
「カイヤさんは私の師で魔術師ですが、偉大な魔術師だと聞いたことはありませんねえ。一応会ってみてください。カイヤさんがなにか知っているかもしれません。」
メイサが言っているカイヤ・マクガイヤなる人物が大魔術師の可能性は低いが、もし違ったとしても魔術師ならなにか知っているかもしれない。こんなところで手がかりが手に入るとは。

村に向かう途中、ゲルマン王国第18地区首都のマルマーケットに立ち寄り、休憩をとり、そのままグリムホーク村に向かった。
「もう着くぞー。」
俺は道に書かれた看板をみて眠っている二人に声をかけた。
メイサはあくびをしながら狭い車内でめいいっぱいのびをしていた。
「見て下さい、あれがグリムホーク村です。」
メイサが指差した先には大草原に囲まれた場所にぽつんとある小さな村だった。
村人の数はだいたい三十人ほど、全員が顔見知りだという。
俺たちはメイサの両親の家に招かれ、夕食をご馳走になったが、ルイスの全く遠慮しない食いっぷりに、こいつは空気読めないやつだと実感した。
「14地区から遥々このような僻地まで、どうぞゆっくりしていって下され。」
俺たちは一応ゲルマン王国第14地区領主ユーリーの使いという事になっている。
「この方たち、この村にいるという大魔術師を探しているらしいの。おとうさん何か知ってる?」
「さぁ、大魔術師がこの村にいるなんて聞いたことがないな。メイサ、カイヤさんならなにか知っているんじゃないかな?」
「やっぱりカイヤさんに聞いてみるのが一番ね。今日は遅いから明日カイヤさんの家に行ってみましょう。私が案内します。」
俺たちは明日、メイサの案内でカイヤなる人物の家を訪ねる事になった。
「裕一様、ちょっといいですかな?」
夕食を食べ終わって席を立とうとしたところ、メイサの父に呼び止められた。
「裕一様はご結婚なされていますか?」
唐突に独身かどうか聞かれ、俺は戸惑うも素直に「いいえ。」と答えた。
「じゃあ、将来を約束した女性は?」
「それもいませんが、さっきからなんの話ですか?」
「実はメイサの事なんですが、あの子もいい歳です。でもこの村には若い青年はいませんですからあなたのような王国に使える戦士のような方と結ばれればなと思いまして。」
つまりメイサと結婚しろという事なんだろう。そんな事言われてもどうすればいいか分からん。だがふつうに考えて断るべきだろう。
「ちょっと考えさせて下さい。」
一体俺はなにをいっているんだろうか。

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