ガンスリンガー

限界集落村人

3

朝起きて顔を洗い、朝食を食べる。昼は街を出歩いて、夕食を食って寝る。
こっちに来てから2ヶ月。俺たちは完全にこの世界の住人になっていた。
やる事が本当にないから、俺たちは各々好きなように街に繰り出している。
俺とイーライは街にいるガキの相手をしてやっている。リーは読書、クラークは一日中飲んでやがる。ユーゲルは部屋に閉じこもったまま、クーパーは銃の手入れをしてる。ただ、ディーナ少佐だけは姿が見えなかった。
スラムにいるガキたちは木の棒を振り回して遊んでいたから、イーライがガキどもにCQCを教え、俺は空手を教えた。
「いいか?間合いを詰めて、こうやって確実に無力化する。」
イーライがガキどもに説明しながら俺を投げ飛ばす。もうこれで何百回目だろうか。イーライのCQC講座は人気があるが、俺の空手指導はまったくウケない。
日がくれたら俺たちはぼちぼち屋敷に帰る。
「まったく、CQCなんてあいつらに教えてどうすんだよ。」
「あいつら、口を揃えて戦士になりたいだの勇者になりたいだの言ってるだろ。いずれあいつらがそうなった時に生きていくすべを教えてやろうと思ってな。」
「生きるすべねぇ……。俺はあれを命を奪う術と思っていだが。」
「たしかに実践じゃそうなるな。でも間違ってはいないだろ?戦争ってので自分が生き残るには、相手を殺さなきゃならない。だから生きるすべってのは間違ってないのさ。」
俺とイーライはそんな話をしながら屋敷に戻った。

屋敷に戻るとなぜか全員集合していた。
「あれ?どうかしたのか?」
イーライが聞くと、クーパーが「非常事態だ。」と言った。
話を聞くと、どうやら森から魔王の群勢が押し寄せて来たらしい。
それで領主のユーリーは俺たちに迎撃するよう頼んだという事らしい。
「敵の数は約2000。恐らく威力偵察だと領主の家来は言っていた。」
クーパーはそう言って深刻そうな顔をしていた。
無理もない。現代戦なら2000なんて兵が集団で来るなんて事はあり得ないからだ。航空支援や砲撃支援があれば密集してる敵は怖くないが、戦車もないこの状況だと2000の数を相手にするのは厳しい。
「そういえば少佐は?」
イーライがふと尋ねると、クーパーは首を傾げて苛立っていた。
「さぁな、こんな事態に指揮官がいないとはな。とにかく今回は俺が指揮をとる。」
「なにか作戦はあるのか?」
「これを見ろ。」
俺がクーパーに質問すると、クーパーは地図を広げた。
「見てわかる通りあの森の先は平原だ森から数百メートル先の場所に配置につき、森から出てきたところを叩く。古代の武器を持った連中も現代の武器を前には無力だからな。」
「しかし少佐がいないから俺たちは六人しかいない。2000人が広がって突撃してきたらいくら銃があっても接近されたら終わりだぞ。弾薬だって無限じゃない。ストライカーに積んであるのも限られてるぞ。」
俺たちは困り果てていた。支援もなく2000人相手に戦うのは無謀だと思うしかなかった。弾薬も限られているこの状況で、どうしたら敵を撃退できるか考えた。
するとクラークが突然声をあげた。
「いいこと思いついちまった!!」

俺たちはクラークの秘策を準備し、平原から森を見つめていた。
軽く塹壕を等間隔で掘り、二人一組で配置につき、俺はイーライと共に敵を待った。
「俺たち、一体何やってんだろうな。」
イーライがふと言った言葉に何となく共感した。
気づけば知らない土地で知らない敵を相手に戦っている。俺たちは一体何をしているのか。
「おい、来たぞ!」
クーパーの掛け声で俺たちの緊張感は高まり、同時に体内のアドレナリンが漲った。
俺たちは暗視ゴーグルを装着し、森からくる敵に目を凝らした。
すると不気味な見た目をしたゴブリンが森からぞろぞろと現れる。
ゴブリンは闇夜に紛れているつもりだろうが、俺たちには丸見えだった。
カチカチと音がなり、射撃の合図が出た。
俺たちは消音器をつけた銃をセミオートで正確に敵に命中させ、倒していった。
ゴブリンたちは次第に混乱しはじめ、まとまりだった軍勢は瓦解していった。
戦闘開始から10分、一方的にこちらが殺し続けるというハント状態だった。
しかしその状況は一発の空に打ち上げられた閃光弾で変わる。
「なんだこれは!?」
眩い光につつまれたと思えば、辺りが真昼のように明るくなっていた。
俺は急いで暗視ゴーグルを外し、目をこすって前を見ると、ゴブリンたちが俺たちに気づいて突撃して来ていた。その距離は50mと離れていなかった。
「イーライ起爆スイッチを押せ!」
俺は無心で叫び、イーライが気づいて押すまでわずか2秒。その瞬間に目の前一帯が爆発し始める。
地面に仕掛けた一つのプラスチック爆弾と、そこから地面に流した大量のアルコールが引火してあたりは火の海となった。
ゴブリンたちは気味の悪いうめき声とともに森に去っていった。
俺たちは非常事態を無事にやり過ごした。

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