幾星霜の伝承者《サクセサー》
プロローグ
赤く燃えているように見えるほど空が赤く染まっている。星々は唸り、今にも落ちてきそうだ。
そんな空の下1人の男と女、そしてその腕に赤ん坊が暗い、赤い森を歩いている。どこか急いでいるように見える。男と女の顔は優れない。しばらくしてひらけた場所に出た。
七色に輝く光が1人の男と女、そして赤ん坊の肌を包む。
「–––、ごめんなさい。こんな親を許してね」
「ごめんな、–––。でも私たちは信じている。きっと大丈夫だと」
 
女は赤ん坊を抱きながら涙を流し、男はその肩を抱く。女は肩に置かれた手を握った。
「そうよね…大丈夫よね。私たちの子だもの」
「ああ。お前に–––––––。」
決意した顔になった女は涙を拭いた。男はそんな女に寄り添い、空を見上げた。
「空が赤い。もう時間だな…」
「ええ…行きましょう」
女は赤ん坊に何かを握らせた。そして、小さく囁いた。
「元気でね、––。貴方は生きて」
 
赤ん坊は小さく笑い、女の頬に手を置いた。それに女は再び泣き始めた。男はそんな女を後ろから抱きしめた。
「さあ、始めよう」
「…ええ、わかったわ」
そういうと女は涙を拭い、赤ん坊を抱きしめた。男もそれに習い、膝を折り、女と赤ん坊を抱きしめた。
「さようなら、––」
「元気でな、––」
    女は赤ん坊を離そうとした。赤ん坊は小さく抵抗しながら、女の指を握った。目尻に涙をためて女が言った。
「––––––––––––––。––––––––––。––––––––––」
そういうと、静かに、ゆっくりと指から抵抗する手を外した。
光が収まった後、2人は赤ん坊に背を向けて歩き始めた。涙を流しながら。
そして、少しした後、世界が光に包まれた。ただ光というのがおこがましくなるほどの光。世界中の人々は目を細めた。暖かく、眩い光に。
そして、ゆっくり光が収まっていく。人々は心が温かくなるのを感じながら空を見上げた。
その空はどこまでも青かった。
––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––
「うふふ。もう少し。もう少しね。始まるわ!やっと始まるのよ!」
暗闇で誰かが叫んだ。その声は喜びに打ち震えている。
「ああ。ようやく始められる。待っていてください…我らはやり遂げてみせます」
違う声が響いた。隠しきれない興奮が空気をおかしくする。その声は恍惚としている。
「多くの同胞が夢を伝えて死んでいった。だが、いやだからこそ!私たちはやり遂げてみせるわ!」
「ああ。でも…」
意味深げにその男は女を見た。女はうなづき笑った。
「ええ、方法は問わないわ。消しなさい!」
「「御意!」」
女の命令に二つの影が消えた。そして、しばらくして、誰からともなく笑い始めた。
「うふふふふふ!」
「あははははははは!」
–––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––
「始まってしまうのね…でも私たちは何もできない…」
明るく真っ白の空間で、女は顔を歪める。
「でも…方法はあるわ…頑張って…」
呻くように女はいうと手元にある水晶を覗き込んだ。
「私たちは、貴方達を見守っているわ」
そんな空の下1人の男と女、そしてその腕に赤ん坊が暗い、赤い森を歩いている。どこか急いでいるように見える。男と女の顔は優れない。しばらくしてひらけた場所に出た。
七色に輝く光が1人の男と女、そして赤ん坊の肌を包む。
「–––、ごめんなさい。こんな親を許してね」
「ごめんな、–––。でも私たちは信じている。きっと大丈夫だと」
 
女は赤ん坊を抱きながら涙を流し、男はその肩を抱く。女は肩に置かれた手を握った。
「そうよね…大丈夫よね。私たちの子だもの」
「ああ。お前に–––––––。」
決意した顔になった女は涙を拭いた。男はそんな女に寄り添い、空を見上げた。
「空が赤い。もう時間だな…」
「ええ…行きましょう」
女は赤ん坊に何かを握らせた。そして、小さく囁いた。
「元気でね、––。貴方は生きて」
 
赤ん坊は小さく笑い、女の頬に手を置いた。それに女は再び泣き始めた。男はそんな女を後ろから抱きしめた。
「さあ、始めよう」
「…ええ、わかったわ」
そういうと女は涙を拭い、赤ん坊を抱きしめた。男もそれに習い、膝を折り、女と赤ん坊を抱きしめた。
「さようなら、––」
「元気でな、––」
    女は赤ん坊を離そうとした。赤ん坊は小さく抵抗しながら、女の指を握った。目尻に涙をためて女が言った。
「––––––––––––––。––––––––––。––––––––––」
そういうと、静かに、ゆっくりと指から抵抗する手を外した。
光が収まった後、2人は赤ん坊に背を向けて歩き始めた。涙を流しながら。
そして、少しした後、世界が光に包まれた。ただ光というのがおこがましくなるほどの光。世界中の人々は目を細めた。暖かく、眩い光に。
そして、ゆっくり光が収まっていく。人々は心が温かくなるのを感じながら空を見上げた。
その空はどこまでも青かった。
––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––
「うふふ。もう少し。もう少しね。始まるわ!やっと始まるのよ!」
暗闇で誰かが叫んだ。その声は喜びに打ち震えている。
「ああ。ようやく始められる。待っていてください…我らはやり遂げてみせます」
違う声が響いた。隠しきれない興奮が空気をおかしくする。その声は恍惚としている。
「多くの同胞が夢を伝えて死んでいった。だが、いやだからこそ!私たちはやり遂げてみせるわ!」
「ああ。でも…」
意味深げにその男は女を見た。女はうなづき笑った。
「ええ、方法は問わないわ。消しなさい!」
「「御意!」」
女の命令に二つの影が消えた。そして、しばらくして、誰からともなく笑い始めた。
「うふふふふふ!」
「あははははははは!」
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「始まってしまうのね…でも私たちは何もできない…」
明るく真っ白の空間で、女は顔を歪める。
「でも…方法はあるわ…頑張って…」
呻くように女はいうと手元にある水晶を覗き込んだ。
「私たちは、貴方達を見守っているわ」
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