《ハーレム》か《富と名声》か。あの日、超一流の英雄王志願者パーティーを抜けた俺の判断は間違っていなかったと信じたい。
2 エルフの里
エルフの里は広大な面積を誇るエルフの森の中にひっそりと存在している。
エルフの森。
エルフによって管理される荘厳で神聖な場所。
別名ーーーー迷いの森。
エルフの里を目指して森にやってくる人間は後を絶たず、多い日には100人以上もの人間が森へと足を踏み入れる。
だが、エルフ達は心の汚れた人間と接する事をひどく嫌っており、自分達が会ってもいいと思える人間の前にしか姿を現さない。
森に不思議なまじないを掛けて、どれだけ歩こうが絶対にエルフの里への入り口が見つからないようになっている。
つまり、これが迷いの森と言われるゆえんである。
そんなエルフの里にいったい何をしに来たのかと言えば、シリウスいわく洗礼を受けるためらしい。
身も心も清めて英雄王に相応しい存在となるため、とか。
だから今はシリウスの洗礼の儀式が終わるのを、残りの三人でただ待っているという訳である。
儀式の行われている滝のすぐそば、切り株が二つ並んでいるところで俺達は腰を下ろし談笑していた。
「暇だねぇ……」
「カミュ、疲れているとはいえ気を抜きすぎではないですか?」
しっかり者のアイラが俺を叱責する。
アイラはパーティーの中で一番年上で、紫髪黒眼で、腰まで伸びた髪は彼女の性格のように真っ直ぐで、キリッとした顔付きの美人黒魔導師である。
「だってさぁ、森の中かなり歩きまわったんだよぉ、疲れちったよぉ。アイラ助けてぇ、俺もうダメだよぉ……」
切り株に寝転ぶようにして空を仰ぎ、駄々をこねる俺に対してアイラは、
「もうっ! 甘えないでください! まったく……」
そう言ってアイラは頰を赤らめてそっぽを向く。
「よいっしょ」
「痛っ! 痛い痛い痛い!」
突如として俺の太もも辺りに痛みが走り、顔をもたげて痛みの原因を確認する。
すると俺の太ももの上には、もう一人の仲間のチキが座っていた。
チキはパーティーの中で一番年下で、緑髪金眼で、肩辺りまで伸びた髪は少し癖っ毛で、幼さばかりが目立つ可愛いらしい顔付きの白魔導師である。
「なんだチキか、どうしたの?」
「僕、お尻が痛いの……」
「お尻?」
「うん」
あぁ、なるほど。切り株は硬いから長時間座ってるとお尻が痛くなるからね。
でも、だからといって俺の上に座っていい事には……まあ、なるのか。
可愛いけりゃそれで結構だ。
ちなみにチキは自分の事を『僕』と言っているが、ちゃんと女の子である。
俺は上体を起こしてチキの頭をガシガシと撫でる。
「チキちゃんは可愛いんだから~このこのぉ!」
ついでに脇腹をくすぐってみる。
「痛っ! 痛いよカミュ! ちょっと、あははは、やめてよ~」
「二人共なに遊んでるんですか! 静かに待ちましょう」
なんだか自分も加わりたそうにアイラが口を挟む。
「きゃきゃきゃっ!」
俺はチキをくすぐりながら、横目でアイラを見て、
「アイラもくすぐっちゃうぞ~!」
「バカ言わないで下さい。シリウスに叱られても知りませんよ!」
そっぽを向いたが立ち去る事はしなかったので、アイラの横腹を指先で突いてみた。
「きゃっ!」
びっくりしたような、恥ずかしそうな顔でアイラは俺を見る。
「やっ……やめて下さい!」
「きゃきゃきゃきゃっ!」
控えめなアイラとは違い、チキは相変わらず俺の太ももの上で大爆笑だ。
あぁ、楽しい。こういうバカなじゃれ合いやってると仲間って本当にいいなと思ってしまう。
俺達が楽しく暇潰しをしていると、洗礼の儀式を終えたシリウスが帰ってきた。
俺らの側まで寄って、そして。
シリウスは何を思ったのか、とんでもない事を口走った。
「ーーーーアイラ、チキ、すまないがお前達とはここでお別れだ」
エルフの森。
エルフによって管理される荘厳で神聖な場所。
別名ーーーー迷いの森。
エルフの里を目指して森にやってくる人間は後を絶たず、多い日には100人以上もの人間が森へと足を踏み入れる。
だが、エルフ達は心の汚れた人間と接する事をひどく嫌っており、自分達が会ってもいいと思える人間の前にしか姿を現さない。
森に不思議なまじないを掛けて、どれだけ歩こうが絶対にエルフの里への入り口が見つからないようになっている。
つまり、これが迷いの森と言われるゆえんである。
そんなエルフの里にいったい何をしに来たのかと言えば、シリウスいわく洗礼を受けるためらしい。
身も心も清めて英雄王に相応しい存在となるため、とか。
だから今はシリウスの洗礼の儀式が終わるのを、残りの三人でただ待っているという訳である。
儀式の行われている滝のすぐそば、切り株が二つ並んでいるところで俺達は腰を下ろし談笑していた。
「暇だねぇ……」
「カミュ、疲れているとはいえ気を抜きすぎではないですか?」
しっかり者のアイラが俺を叱責する。
アイラはパーティーの中で一番年上で、紫髪黒眼で、腰まで伸びた髪は彼女の性格のように真っ直ぐで、キリッとした顔付きの美人黒魔導師である。
「だってさぁ、森の中かなり歩きまわったんだよぉ、疲れちったよぉ。アイラ助けてぇ、俺もうダメだよぉ……」
切り株に寝転ぶようにして空を仰ぎ、駄々をこねる俺に対してアイラは、
「もうっ! 甘えないでください! まったく……」
そう言ってアイラは頰を赤らめてそっぽを向く。
「よいっしょ」
「痛っ! 痛い痛い痛い!」
突如として俺の太もも辺りに痛みが走り、顔をもたげて痛みの原因を確認する。
すると俺の太ももの上には、もう一人の仲間のチキが座っていた。
チキはパーティーの中で一番年下で、緑髪金眼で、肩辺りまで伸びた髪は少し癖っ毛で、幼さばかりが目立つ可愛いらしい顔付きの白魔導師である。
「なんだチキか、どうしたの?」
「僕、お尻が痛いの……」
「お尻?」
「うん」
あぁ、なるほど。切り株は硬いから長時間座ってるとお尻が痛くなるからね。
でも、だからといって俺の上に座っていい事には……まあ、なるのか。
可愛いけりゃそれで結構だ。
ちなみにチキは自分の事を『僕』と言っているが、ちゃんと女の子である。
俺は上体を起こしてチキの頭をガシガシと撫でる。
「チキちゃんは可愛いんだから~このこのぉ!」
ついでに脇腹をくすぐってみる。
「痛っ! 痛いよカミュ! ちょっと、あははは、やめてよ~」
「二人共なに遊んでるんですか! 静かに待ちましょう」
なんだか自分も加わりたそうにアイラが口を挟む。
「きゃきゃきゃっ!」
俺はチキをくすぐりながら、横目でアイラを見て、
「アイラもくすぐっちゃうぞ~!」
「バカ言わないで下さい。シリウスに叱られても知りませんよ!」
そっぽを向いたが立ち去る事はしなかったので、アイラの横腹を指先で突いてみた。
「きゃっ!」
びっくりしたような、恥ずかしそうな顔でアイラは俺を見る。
「やっ……やめて下さい!」
「きゃきゃきゃきゃっ!」
控えめなアイラとは違い、チキは相変わらず俺の太ももの上で大爆笑だ。
あぁ、楽しい。こういうバカなじゃれ合いやってると仲間って本当にいいなと思ってしまう。
俺達が楽しく暇潰しをしていると、洗礼の儀式を終えたシリウスが帰ってきた。
俺らの側まで寄って、そして。
シリウスは何を思ったのか、とんでもない事を口走った。
「ーーーーアイラ、チキ、すまないがお前達とはここでお別れだ」
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