《ハーレム》か《富と名声》か。あの日、超一流の英雄王志願者パーティーを抜けた俺の判断は間違っていなかったと信じたい。

しみずん

1 金のシリウス 銀のカミュ

 俺の名前はカミュ。金のシリウス率いる英雄志願者パーティーの戦闘員でナイフ等の軽装備を使ったスピーディーな戦闘を得意とする。《金のシリウスと銀のカミュ》と言えば巷ではそこそこ名の知れた名コンビである。

 そんな俺達のパーティーは、王都トルメキアで半世紀に一度行われる英雄王を決める祭典に出席するべく旅をしている。

 当然だが英雄王には誰もがなれる訳ではなく、色々と厳しい条件のようなものが決められている。

 英雄王になるには、誰もが英雄と認めるような器、品格、才覚、強さ等が必要不可欠で、旅をしながら自分の中のそれらの要素を鍛え、または手に入れ、英雄王に相応しい人物になれるよう日々努力している。

 と言うと、まるで俺がそうしているように聞こえるが実際はそうじゃない。

 正確に言うと英雄王を目指しているのはシリウスだ。

 俺を含めたその他のパーティーメンバーはあくまでシリウスのサポート役であって、主役ではない。

 などと言っていると、お前はサポート役でいいのか? 主役になりたくはないのか? という声が今にも聞こえてきそうではあるけれど、人には生まれ持った立場、役目みたいなものがあると思う。

 主役の人、脇役の人、敵役の人、盛り上げる人、等々。

 そして我等が金のシリウスは明らかに主役の人であって、俺、銀のカミュは明らかに脇役の人なのだ。

 金のシリウスは、金髪金眼の容姿端麗で器や才覚は当然の事、力強い野心に溢れる野心家でもあった。

 そして俺こと、銀のカミュといえば銀髪銀眼の容姿端麗……とまではいかないかもしれないが、結構……そこそこ……うん。まずまずな見た目ではあるはずだし、シリウス程ではないにせよ器や才覚も持ち合わせてはいるはずで、でもしかし、野望や野心といったものがどうにも自分の中には見当たらず、シリウスに当てられるスポットライトのほんの切れ端が当たるくらいで丁度よく、最前線で活躍するシリウスから一歩二歩下がった位置に立っているのが丁度よかった。

 それに、英雄王のパーティーメンバーとなれば格別の高待遇が約束されているし、地位も名誉も手に入り文句のつけようのない暮らしが手に入る。

 だから、俺はそれでいい。

 それくらいが丁度いい。

 聞く人が聞けば面倒ごとを他人に押し付けて、ちゃっかりおこぼれに預かろうとするズル賢い、意地汚い奴だと思われるかもしれないが俺だって遊びで旅をしている訳ではないし、常に全力でシリウスのサポートを行っている。

 だからシリウスを上手く利用している訳でも、騙している訳でも無い。

 人それぞれ個人個人で役目があって、立場があって、目的がある。

 ただ、それだけの事だ。

 とにかくまあ、そんなこんなで我等が金のシリウス率いる英雄王志願者のパーティーは、エルフ達が隠れ住むエルフの里へと来ていた。

 

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