黒翼戦機ムルシェ・ラーゴ

須方三城

★第2回クラコ先生の解説コーナー



「はい、という訳でクラコ先生の看板コーナー、第2回ですよ。ゲストは腹筋が素敵と噂の褐色麗人、リウラ・サンダーソニアさんです」
「大事な話があるからと呼ばれてみれば……」
「初陣、お疲れ様です。いかがでしたか?」
「個人的には良くも悪くもない戦果でした。鬼……中々の強敵ですね」
「機体性能の問題もありますしね。でも報告を見た感じ、グローリーKに期待されていた戦果を大幅に上回っています。胸を張ってください」
「ありがとうございます」




「ところでリウラさん! あ、あなたの腹筋が、そ、その、バッキバキとお聞きしたのですが……」
「ああ。はい。まぁそんな大した物ではありませんが……こんな感じですね」ピラッ
「ほあああああっっっ!!??!?!? そんな無防備にシャツまくり上げて! はぁはぁはぁはぁ……っ! た、確かにこれは中々……健康的な小麦色の腹筋……じゅるり……」
「な、何やら視線が恐いのですが、それに息も荒くなっていますよ? 大丈夫ですか、クラコ副司令」
「はひっ、す、すみません。私とした事がつい理性が飛びかけて……」
「はぁ……」
「ところでリウラさん、このコーナー終わったら一緒にお風呂入りませんか。全身、特にお腹をお流ししますよ、うへへへへへ……」
「こういう場合背中では……でも、裸の付き合い、というのも良いですね。ご一緒させていただきましょう」
「よっしゃああああああ! さっさと終わらせましょう! そして目指すは桃源郷!」
(何か今日の副司令のテンション、おかしくはないか……?)






「という訳で、機士の紹介から参りましょう」
「この蝶の様なフライトユニット……マリアポッサという機士ですか?」
「あ、サイファーさんから聞いてました?」
「少しだけ」
「仲が良いんですね。2人でよくお話していますし」
「まぁ、同郷ですからね」
「……にしてもサイファーさんもリウラさんも良い腹筋してますよねああああ2人の腹筋にサンドイッチされたら一体どんな夢心地なんでしょうきっと良い感じの肉と汗の匂いが……」
「副司令? 何をブツブツと……」
「へうあっ!? す、すみません! 最近ちょっとトリップする事が多くて……平気です! 続けましょう!」
「トリップって……それは平気なんでしょうか……?」


「で、では多少落ち着いた所でマリアポッサの説明に戻りましょう」
「よろしくお願いします」
「まずマリアポッサの基本的な武装ですが、マリアポッサはほとんど武装を装備していません」
「ほう」
「まず機体自体が非常に華奢なのと、その戦闘スタイルがサポートメインであるのが要因ですね」
「装備を増やし機動力を落とすより、回避性能優先してサポートに徹するデザイン、という事ですか」
「まさしくその通りです。サポート機の第一の仕事は『墜とされない事』ですからね。……まぁサヤカさんの好戦的な性格にはややミスマッチですが」


「マリアポッサの『鱗粉』ですが、正直、これの成分解析は全く進んでいません。未知の物質ダークマターって奴ですね」
「確か、その鱗粉を使って分身を作るんですよね」
「はい。作るというより、映す、が正解ですが。翼に仕込まれたライトの光は、相手の網膜に特殊な命令を焼き付ける効果があるんです」
「それで、相手には鱗粉にマリアポッサが映っている様に見える、と」
「その通り。鱗粉は操縦者の意のままに操れるので、分身の動きも自在という訳です。更にこの鱗粉にはジャマー効果もあるので、計器類での判別は不可能になります」
「まさに攪乱戦法にうってつけ、ですね」
「……何かリウラさんは察しがいいので、サイファーさんの時より進行が楽です。助かります」




「続いてはサイファーさん達が交戦した鬼。『ロウロ』についてのレポートですね」
「確か、オウム型の鬼ですよね」
「はい。脊索動物門鳥綱オウム目オウム科に属する鳥類と、類似点の多い外見をしています。配色は黄緑が中心ですね」
「細かいですね」
「レポート作成係りがちょっとマメな子と言いますか……まぁその辺は今は置いておきましょう。ロウロ単体の武装は分離時に硬質化する羽、それと鋭い爪や嘴ですね。体内にビーム機構が確認されています。実際に口からビーム砲撃を放ったそうですよ」
「分離時に硬質化……つまり羽を飛ばして攻撃する、と」
「その様です。そして、ロウロ最大の特徴であり、ムルシェちゃんすら少々苦戦した特殊能力が、相手の技や能力を真似る、という物ですね」
「オウムだけに、オウム返しと」
「そういう事なのかも知れません。心臓の位置は胸部やや左寄りです」




「まぁ、ざっくりとした説明は以上です。もっと詳細に興味があるのなら、読んでみますか」
「……すごい文字数ですね……さ、流石に遠慮します」
「このコーナーのためにこれを読み切り、簡略化する私の苦労……少しでも汲んでいただけると幸いです」
「わざわざ、ありがとうございます」
「という訳で、目一杯腹筋を堪能…じゃなかった! お体洗わせていただきますよリウラさん!」
「え? 今の会話だと逆に私が副司令の背中を流すとかの流れでは……」
「それじゃ私の癒しになりません!」
「い、癒し……?」
「さ! 浴場へレッツゴーですよ! うへへへへへへ……」
「は、はぁ……」(何か目が恐い……)





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