悪い魔法使い(姫)~身の程知らずのお姫様が、ダークヒーローを目指すとほざいています~

須方三城

R73,愛故に蹴り殺す(ツンデレなら仕方無い)

 ナスタチウム王国、王城の廊下。
 そこで、青髪の女騎士エキドナはあるモノを発見した。


「……あ、おいメイド長」
「あ、エキドナさん。なんですか?」


 タイミング良く通りかかったメイド長シノを呼び止め、エキドナはそれを指で差し、


「あそこで第一王子が死んでるぞ」
「あーはいはい。左様ですか。私は今忙しいのでまた後にし…えぇっ!?」








 廊下の真ん中。
 ムキムキ眼鏡法務大臣こと第一王子ウィリアムはうつ伏せに倒れたまま、ピクリとも動かない。


「い、一応息はある様ですが……完全にトんでますね」


 シノが急いで確認した所、かすかだが脈はある。


「なんだ、生きてるのか。良かったな」
「……まさかエキドナさん、あなた先日テレサ様と作ってしまった謎プルパイ(量産型)を廃棄せずにまた……」
「おいおい。いくら私でもやっていい事と駄目な事くらい多少は区別できるぞ」


 流石にエキドナでも、第一王子の生命と雑草の区別くらいはかろうじて付けられる。


 以前ウィリアムに試食させたのは「流石に一度食ったくらいじゃ死にはしないだろう」と思っていたからだ。何度も食わせたりはしない。


「では一体何が…いえ、それよりここはまず医者を呼…」
「ぅ、ん……め、メイド長と…副団長か……?」
「お、目が覚めたぞ。手間が省けたな」
「いや、一応呼んでくださいよ」
「あ、ぃ、や…大、丈夫だ。そんな大した事は無い。少し締め落とされただけだ」
「充分一大事じゃないですかッ!? って言うか誰に!?」


 一国の王子…それも王位継承権一位、つまり王太子を締め落とすなど、一体どこの狼藉者か。


「ディアナ」
「……あー……」


 ディアナ様だったかー…とシノは納得の溜息。


「誰だそれは」
「ちょっ、エキドナさん? ディアナ様ですよ。妃殿下、王太子妃です」
「ああ、第一王子の嫁か。全然見ないから完全に忘れてた」
「遠い親戚じゃあるまいに…王立騎士団の副団長が王族の事を忘れないでください」
「近い親戚でもあんま覚えてないんだ、無理言うな。……で、何故第一王子は自分の嫁に締め落とされたんだ? いくら夫婦つがいとは言え、やり過ぎじゃないのか? 人間はそんな丈夫じゃないだろう?」
「あ、確かに冷静に考えると……」


 シノの知る限り、ディアナはウィリアムを無視したり罵倒したり軽く蹴りつけたりするのはよくある事だった。だが、意識を奪う程のダメージを与える事は中々無い。


「一体、何をやらかしたんですか?」
「いや、まぁ、その……だな」






 数分前。


「……はぁ、テレサ……最近構ってくれなくてお兄ちゃんは死にそう……」


 廊下の窓から蒼天を見上げ、ウィリアムは深い深い溜息を零した。


「………………チッ」
「?」


 背後から突如聞こえた舌打ち。ウィリアムが振り返ると…


「ディアナか」


 最初に目に入ったのは、太陽の輝きにも似た山吹色のショートヘア。少し視線を下ろすと、太陽とは無縁そうな深淵…と見間違う程に深々と刻まれた眉間のシワ。


 第一王子ウィリアムの妻、ディアナである。
 その身に纏っている派手な紅ドレスは、絢爛さを保ちつつも動きやすい様にかタイトめのデザインに仕上げられていた。
 ちなみに、胸元にフリフリな装飾を集めているおかげで色々と目立たないのは、本人が熱望した仕様である。


「悪かったわね、テレサちゃんじゃなくて。クソが」


 開口一番に妃殿下とは思えない悪態。
 眉間のシワを更に濃くしながら、ディアナはペッと唾を吐き捨てる。


「クソがてお前……」


 相変わらず口が悪いな、とウィリアムは苦笑。


 ……相変わらず、と言っても、ディアナの眉間のシワが取れなくなったのも異常に口が悪くなったのも、ウィリアムと結婚してからだが。


「……まぁ良いわ。おい、クソ」
「何だ? あと頼むからせめて名前で呼んでく…」


 ディアナはウィリアムの言葉を待たず、その手を伸ばしてウィリアムの頭をわし掴み。そのまま、ウィリアムの顔を自身の胸元に引き寄せた。


「……………………」
「……………………」


 突然頭を抱き絞められ、ウィリアムは一体何事かとプチ混乱。


 これではまるで、消沈中の愛する夫を優しく抱き寄せる妻の所業だ。


 ……あのディアナが? 有り得ない。


 そしてウィリアムの脳は「ああ、これ夢か」と即座に判断した。


 じゃあ適当にあしらっても問題あるまい。俺は今忙しいんだ。
 と、ウィリアムは思考をテレサの方に戻した。


「……ああ、テレサ」


 直後、ディアナの方から何かが切れる様な音が聞こえた。










「今のは私でもわかるぞ。第一王子が悪い」
「ええ、そうですね。普通ならトドメを刺されてもおかしくありません」
「……返す言葉も無い」


 普段、ディアナはウィリアムに対して非常にツンケンしている。
 無視がデフォルトでたまに悪態か軽度の暴力、と言う具合。


 その原因は「ウィリアムが年中テレサテレサしているから」と言う一点に尽きる。
 結婚前からウィリアムのテレサテレサっぷりには多少辟易していた様だが、結婚して一緒にいる時間が増えてからは限界を遥かに越えてしまったのだ。


 詰まる所、「妹だけじゃなくて私にも構えコラ。正妻だぞふざけんなクソ」と言うツンケンなのだ。
 それは、もうウィリアム以外は周知の事実。逆に言えば、ウィリアムだけが「あいつ結婚してから急に冷たくなったな……」程度の感想な訳である。


 そんなんだから、ウィリアムは今日も飽きずにテレサテレサ。


 しかし、今日のテレサテレサはいつものハイテンションな見苦しいアレでは無く、どこか哀愁ただようテレサテレサだった。
 それを見たディアナは「結局いつもテレサちゃんかよ……クソが」と不満に思いつつも、彼女なりにウィリアムを気遣おうとした。


 だが、どう気遣ったモノか。いざ考えてみると咄嗟に具体案が思い浮かばなかったのだろう。
 迷った末、ディアナはシンプルにウィリアムを抱き寄せたと考えられる。
 もしかしたら「私がいるじゃんかクソが」と言う意思表示も兼ねていたかも知れない。


 妻が旦那を気遣い、優しく抱き寄せた。
 だのに、抱き寄せた旦那の口から出たのは妹の名前。


 そりゃ首くらい締める。力いっぱい締め上げる。


「まさか、ディアナが俺を慰めてくれるなんて夢にも思わなくて……完全に白昼夢だと……」
「夫が妻に持つ認識では無いな」
「……失礼を承知で言わせていただきます。ウィリアム様はもう少しディアナ様との時間を大事にしてください」


 どう考えても、ウィリアムはディアナへの理解度が著しく欠如している。
 それはやはり、夫婦間でのコミュニケーション不足が原因だろう。


「ディアナ様はウィリアム様をとても愛しておられます。それをきちんと認識して下さい」
「それは……いや、でも彼女…俺といると、いつも舌打ちばかりだぞ?」
「それはあなたが口を開けばテレサ様の話しかしないからでしょう!?」
「……?」
「そのナチュラルに『何でそれが原因で舌打ちすんの?』と小首を傾げる動作が全て物語ってますよね……」


 もう本当にヤバい人である。
 やれやれ、とシノが呆れつつもウィリアムにもわかる様に説明しようとしたその時、


「なぁ、第一王子よ」


 シノより先に、エキドナが口を開いた。


「雌雄を問わず、生物なら誰だって気に入った異性に好かれたいモノだ。私ですらその心理は察する。それを踏まえて考えてみろ。愛する雄の瞳の中に、いつも自分以外の牝がいる。自分が目の前に立っていても、だ。それが気に入らないと言うのは自然な話だろう?」


 エキドナは「既に妻子がいるから」と言う理由で騎士団長への想いと言うか本能的劣情をセーブしている節がある。
 想い人が自分に決して振り向いてくれないからムカつく、と言うディアナの心境は察せる部分が多いのだろう。
 そのためか、普段に比べてやや饒舌だ。シノが言わんとしていた事を丸ごと代弁してくれた。


「なっ…つまりディアナはテレサに嫉妬しているとでも言うのか!? 身の程知らずな!」
「ウィリアム様!? その言い方はマジでクソですよ!?」
「…よし。炎なら貸すぞメイド長」
「って、待ってくださいエキドナさん! 流石に王子に焼きを入れるのは…………まだ……!」
(このままだと焼きを入れられる……!?)


 良識あるシノですら王子に対し「もうこいつ焼いてしまおうか」と思い始めるくらい、ウィリアムの今の発言は無い。


「ま、待て! 何か誤解がある! ディアナは確かに魅力的な女性だ! そう思ってなければ結婚などしない! だが、いくら至高の美女でも女神界の神とも言えるテレサに嫉妬するのはどうかと言う話で…」
「とにかく、ウィリアム様ッ!」
「は、はいッ!」
「テレサ様とディアナ様の扱いの差は…余りにも根が深過ぎるので、今すぐ改めろなどと無茶は言いません」


 多分、処刑台に乗せて脅しても、ウィリアムのテレサテレサは治らない。


 聞けば、ウィリアムのテレサテレサはテレサが爆誕した日から始まっていたと言う。
 一六年も日常的にテレサテレサして来たのだ。いきなりやめろなんて土台無理だろう。


 半生以上も信奉して来た宗教を、他人にとやかく言われて辞める信者はいない。
 この手の問題の解決には、非常に時間が要る。


「ですが、それを別にしても今回の件は本当に酷過ぎます。ディアナ様にちゃんと謝罪してください。このままでは余りにも不憫です」
「……あ、あぁ。それは当然の事だ」


 ウィリアムは素直にシノの提案を受け入れた。


 いくらディアナでもテレサに嫉妬するなぞ片腹痛い……とは思っているが、ディアナの冷たさが好意故である事は納得し、そして彼女の厚意を踏みにじった事への罪悪感はしっかり感じているのだろう。


(だが……果たしてただ謝るだけで許される事だろうか……)


 妻の献身を、あろう事か即座に夢だと決め付けてしまった。
 この罪は中々の重さだろう。


「ではディアナ様を探しましょう」
「私も手伝おう。暇だからな」
「……いや、待ってくれ。その前に、用意したい物がある」
「?」
「思えば、久しく彼女に贈り物をしていない。詫びの品と言う意味合いも込めつつ…今回の件を反省し、これからは認識を改める意思表示として、何か記念品の様な物を贈りたい」
「! それは良い考えですね」


 ディアナはなんだかんだ、ウィリアムが好きだ。
 誠意ある謝罪と愛する夫から誓いのプレゼント。その二つが同時に訪れれば間違いなく喜ぶはずだ。


「と言う訳で、君達から少し意見を聞きたいんだが……」
「何を言っているんですか。夫婦に取って重要な思い出になる品と言うのは、夫がきちんと選んであげなければいけません。多少珍妙な物でも『愛する人が自分のために一生懸命選んでくれたんだ』感が非常に胸に来るんです。多少珍妙な物でも」
「何やら力説だなメイド長。第三王子のプレゼントチョイスはそんなに微妙なのか?」
「……その辺はノーコメントで」


 まぁ、一つだけ言っておくならば……結局、チャールズもテレサの兄と言う事だ。
 なので、ウィリアムのセンスにもそんなに期待は持てない。
 だとしても、ここはウィリアムが選ぶべきだとシノは思う。


「……わかった。俺なりに考えてみよう」










「チッ。何の用よクソが」


 日が傾き始めた頃。王宮敷地内に設けられた花に満ちた庭園。
 ディアナは眉間のシワを深めながら、庭園にやって来た第一王子を睨みつけた。


「……思えば、一体いつから呼び名が『ウィリー』から『クソ』になったのかすら、覚えていないな」
「…………? 何の話よ、クソが」


 やれやれ、とウィリアムは苦笑。
 ただ、それは妃殿下らしからぬディアナの悪態に対する笑いでは無い。


 妻からの呼ばれ方が変わった…そんな大きな変化にすら気付けていなかった、自身へ呆れ果てた自嘲の笑いだ。


「まず、正直に言おう。俺は今でも、テレサを想う事が間違っていたとは思わない」
「…………チッ」


 何の話かと思えば、またか。そう、ディアナは眉間に嫌悪感を顕にする。


「……だが、テレサを理由に君をないがしろにしていた事は、俺の人生最大の過ちだったと認めよう」
「……!」


 敬虔な牧師は、神のために妻をないがしろにして良いか。
 答えは否だろう。


 信仰のために現実を犠牲にするのは、ただの狂信だ。
 敬虔だと称される者は、信仰も現実も大切にしている。どちらも尊いと理解しているから、どちらかを取捨選択などしない。


「今日は…いや、今日だけじゃない。今まで、すまなかった。弁解の余地が微塵も見当たらない」
「……………………!」


 謝罪の言葉と共にウィリアムが差し出したのは、掌サイズの小箱。普遍的な指輪箱リングケースだ。
 それを静かに、ディアナの方へと差し出す。


「…………随分と、今更じゃない? クソが」
「ああ。本当にすまない。……ずっと待っていてくれて、ありがとう」
「!」
「これは、今までの愚かさを詫びる品であり、俺が目を覚ますまで待っていてくれた礼の品であり、そして…これからの事を誓う証として用意した」
「……これからの事?」
「君がもう一度、俺の事をウィリーと呼べる様にしてみせよう」
「……へぇ」


 ディアナは久々に見た。夫が、自分に向ける笑顔を。


 学生の頃。成績が拮抗していたディアナに、ウィリアムは幾度と無く勝負を挑んだ。
 その時、彼は決まって不敵で挑戦的な笑顔を浮かべていた。


 丁度、今の様に。




 この笑顔は、ウィリーがしっかりと私を見ていた頃と同じ笑顔だ。




「ディアナ。受け取ってくれないか」
「……まぁ、そこまで言うなら……良いけど」


 口元が綻びそうになるのを抑え、ディアナはウィリアムの差し出した小箱へと手を伸ばす。


 箱を開けてみると、箱の外観通り、中には指輪が一つ。
 リングの中心では、少し小ぶりな朱色の宝玉が淡く輝いている。


「これって……魔宝玉?」
「そうだ。君が喜ぶだろう効能付きの魔法道具だ」
「私が喜ぶ?」
「ああ。それは女性ホルモンの分泌を良い感じに促し、個人差はあるものの『豊胸効果』が期待できる魔宝玉らしい」


 ディアナが一瞬で石化し、ビシィッ! と亀裂が入った事にウィリアムは気付いていない。


 きっとディアナは喜んでくれるぞフフフ、とテンションが馬鹿になってるせいでやや盲目になっている。


「君は学生の頃から何かと貧乳である事を気にしていただろう? 俺の前ではそう言う素振りは見せない様にしていた様だが……気付いてないとでも思ったか? 俺を侮るな。それなりに君の事はわかっていると自負している」
「……ウ……ウィ……」
「俺は今の君の乳でも充分だと思うが、コンプレックスと言うのは総じて他者には理解し難いモノだ。それを解消したいと言うのなら俺は協力を惜しまな…」
「UYRYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYッッッ!!」
「へ?」


 ウィリアムの言葉を遮る様にディアナが奇声を上げ、ぐるっとその身を捻る。
 そしてそのまま、ウィリアムの顎を目掛けて実にキレの良い後ろ突き蹴りを叩き込んだ。


「ぐ、ぐぇあっはぁ……!?」


 突然の事にウィリアムは全く対応できず、ディアナの蹴りがクリーンヒット。ウィリアムはそのままズデーンとひっくり返る形で転倒してしまう。
 ディアナは間髪入れずにウィリアムに跨り、マウントポジションを確保。


「ッぁ…ぃ、いきなりどうしたディアナッ!? めっちゃ痛かった今の! 顎割れてない!? ねぇ割れてない!? と言うかこんな所で俺を押し倒してどうする気だ!?」
「うっせぇぇぇぇこのクソがぁぁぁぁッ! クソがクソがクソがクソがぁぁぁぁぁッッ!! 阿呆だ阿呆だとは思ってたけどここまでクソ阿呆だとは思わなかったわよォォォォォォォォォォォォォォ!!」
「ちょ、お、おい。落ち着…はっ!? まさかディアナお前、感動の余りに昂って俺の事をエロ同人みたいに乱暴しようと……!? ま、待て! いくら夫婦と言えど場所は弁えないと…」
「エロ同人だぁ!? 上等ッ! R18Gにしたらぁ!」
「ひぇっ、壊れる程に愛される!? お前そんな柄じゃな……あれ? ちょっと待て。恐い。目が恐いぞおい。おかしくないかその目のテンション」


 ディアナの目に宿っているのが明らかに殺意である事を察し、ウィリアムはようやく何かしくじった事に気付く。


「……なぁ、もしかして俺……何か地雷を踏んだ?」


 だが、気付いた所でもう遅い。ウィリアムは完全にマウントを取られた状態。抵抗は不可能だ。


「地雷踏んだぁぁぁあ? ざっけんなッ! テメェは爆弾背負ってハンドスプリングしながら地雷原に跳び込んで来たんだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
「えぇっ!? そ、そんな馬鹿な! 何故!? 途中まで良い雰囲気だったじゃないか! 俺は一体どこでどう間違え…い、いやぁ! 待ってディアナ! 本当に待って! 俺の首はそんなに回らなくぴゃぁん」








 その頃。茂みの陰から密かに事を見守っていたメイド長と女騎士は……


「……よくもまぁ、人のコンプレックスをパイルバンカーで撃ち貫く様な真似を……」
「何だ? 何故第一王子夫人はいきなり夫を殺しにかかったんだ? 豹変ぶりがすごかったぞ」
「ドラゴンには理解し難いかも知れませんが……世の中には、スレンダーである事に極度の劣等感を覚える人がいるんです」


 ディアナは、自身のスレンダーが過ぎる体型にかなりのコンプレックスを抱えている。
 彼女の所有するドレスは全て胸元の装飾が豪華なのも、その辺に由来する。
 あの手この手を使い、胸元の貧相さを目立たせない様にしているのだ。


 つまり今の状況を要約すると「愛する夫からの粋なプレゼント…かと思いきや、人生最大のコンプレックスへのクリティカル砲撃だった」訳である。
 上げて落とすとはまさにこの事か。


「……もう人の形してないな、第一王子」
「うわぁ……あ、ちょっと待ってください。ディアナ様、一段落して指輪を嵌めましたよ」
「おお。一応プレゼントが嬉しい事は嬉しいんだな」


 素直なハッピーエンドに辿り着けない辺り、テレサの血縁者らしい結末と言えるだろう。

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