村人の成り上がり英雄譚

ユノ

旅立ちそして出会い

村が襲われてから二日後、少年『リク=クレリア』は剣を一本携え森を一人さ迷っていた。
生きるために懸命に剣を振るい、小型の魔獣を斬り倒していった。休息するため洞窟で身を休めていた。


「っ!」
彼の目の前に大型の魔獣が現れた。


「これはちょっとキツイな。」


そう呟きながら、剣を手にする。震える手に力を入れる。


「生き延びるには、倒すしかないよな。大丈夫、勝てる。こんなところで死んでたまるか!」


リクが魔獣に飛びかかる。魔獣に剣が届いた。


「くそ!」


魔獣に振り下ろされた刃は折れていた。無防備に晒されたリクは魔獣に叩かれ横壁に強く撃ちつけられた。


「ガハッ!」


リクに今までにない衝撃と痛みが走った。血を吐きせき込んでるリクを魔獣が手で弾き飛ばした。魔獣はリクへ向かい来る。リクは幾ら攻撃を食らい弾き飛ばされても魔獣から目を逸らすことはなかった。そんなリクの目からは、まだ闘志が消えていなかった。素手で魔獣へ殴り掛かっていく。
そのたび、弾き飛ばされボロボロとなる。ついにリクは膝をついてしまった。


「あはは、ここまでかよ…」


リクは魔獣を睨みつつ、最期の覚悟をした。


「ファクレ!」


突然、声が響き渡った。睨んでいた魔獣が青い炎に包まれていた。


「魔術?だれが…」


リクの意識はここで途絶えてしまった。


(ここはセレクト―ル村?あぁ、懐かしいなこの風景。)リクの前には緑広がるセレクト―ル村の景色が広がっていた。


「リク!何やってるの?今日は私と遊ぶ約束したでしょう!」


黒い髪を後ろで結んだ少女が駆けてきた。


「アイン?どうして…」


リクは不思議そうに彼女を見る。


「したでしょ、遊ぶ約束!早く行こう!」


彼女は走っていく。


「待って!」


リクは彼女の手を掴もうとするが、掴むことができない。すると突然、景色が変わった


「アイン?」


先までいた彼女を呼んでみるが、返事はない。


「キャー!」


悲鳴がして振り返るとそこには、血だらけで魔獣に襲われていた。


「アイン!」


彼女に手を伸ばすが、掴むことができず彼女は魔獣の口に咥えられ、食われてしまった。リクの顔に彼女の血を浴びた。


「うぁぁぁー」


リクは、起き上がる。


「夢か…」
リクは草で作られた寝床から出た。


「目が覚めた?うなされてみたいだけど大丈夫?」


目の前に青色の髪を長く伸ばした少女が出てきた。


「ちょっと、嫌な夢を見たんですよ。ここは、あなたの家ですか?」


周囲を見渡し、リクが質問する。


「家じゃない、一時的な寝床。全部木と草で作った。」


ぐぅ~部屋におなかの音が響いた。


「ごめんなさい!」


「いいよ、今ご飯できたとこ。」


目の前に、ご飯が並べられた。


「いいんですか?」


リクは遠慮がちに質問した。


「いいよ。」


「ありがとうございます。頂きます。」


お礼を言って、食事をすべて頂いた。


「ごちそうさまでした。」


「お粗末様でした。」


リクは気になっていたことを聞いていった。


「あの、あなたはなんで助けてくれたんですか?」


不安を抱きリクは彼女に質問した。


「マナ=サナリア、マナって呼んでくれていい。」


彼女はお茶をすすりながら答える。


「えっ、あ、ボクはリク=クレリアです。」


「リクを助けたのは、リクの目を気に入ったから。リクはどうして森の中に一人でいたの?」


マナはさっきとは違い、リクの目を真剣に見て質問した。


「村が襲われたんです。家族はその時に亡くなりました。」


その時の思いを噛みしめながら答えた。


「村にいれば、遅くても1週間以内には王都から騎士団が来るはず。なのに森へ?」


「ボクは一人だけ生き残ってしまった。怖くて逃げて隠れて、助けてもらうだけで、ボクは誰の助けにもなれなかった。ただ見ているだけだった…」


リクは目に涙を溜めながら、俯き答えた。


「ん。つらかったね、苦しかったね…頑張ったね。」


マナはリクをなでながら思ったこと言った。リクはマナの優しさに涙を我慢することができず、泣きじゃくった。


「マナさん、ボクは強くなりたい。ボクに戦い方を教えてくれませんか?」


泣き止んだ後、リクはマナに頼んだ。


「リクは強くなりたいの?なんで?生きるため?復讐のため?」


マナは確かめるようにリクへ訪ねる。


「復讐や生きるためかもしれない。でも、一番の理由はもう何も失いたくない。大切なものは何があっても、誰が相手でも守り抜ける力がほしい!」


リクの目は真剣で、力強く答える。


「それは、とても難しいことだよ?誰にも負けない力、私にどこまで教えられるかわからないけど、私のできる限りは教えてあげる。」


マナは優しくそう答えた。


「ありがとうございます!これからよろしくお願いします、師匠!」


リクは嬉しそうにそう答えた。



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