妹と召喚されました!
祝福と出発
悠と沙耶を包んだ光は、少し光るとすぐに消えっていった。
「変わったところは見当たりませんね。」
「特に変わったところはなさそうだな?」
悠と沙耶は光った自分の体を何度も見返した。
「というか、お兄ちゃんいつの間に普通に戻ってるのですか?そのままでって言ったはずですよ、それに手加減した覚えないのですが、タフなんですか?それとも、痛みすらわからないバカなんですか?」
沙耶はすぐに自分の体から目を離し、悠を冷たい目で見る。
「いやいや、痛みわかるかんね!痛いよ!というか、最近兄に対して酷くないですかね!そんな妹に育てた覚えありませんよ!」
「いえ、私もお兄ちゃんに育てられた覚えないですよ。というか、いたいならさっきみたいにうずくまっていてください。話が進まないじゃないですか。」
沙耶はため息をつき、メーラを見る。
メーラは二人のやり取りを見ながら、面白そうに笑っているだけだった。
「そうじゃな、お主らのやり取りを見ていても見飽きぬが、先に進まないといけないのじゃったな。
祝福は確かにお主らに与えたぞ。」
メーラは二人を見ながら細く微笑んだ。
「なにも変わったようには見えませんが。」
「まさか、ただ光って、祝福しましたってことか?」
悠と沙耶は懸念の表情でメーラを見た。
「たわけ。ちゃんと変わっておるぞ。そうじゃな、祝福について説明するとじゃ、お主らの〝リミッターを外した”のじゃ。」
「「リミッター?」」
「そうじゃ、人は本来、自らが持つ本質の1%~10%しか発揮できておらぬのじゃよ。それは、リミッターがかかっておるからじゃよ。そのリミッターを解除すれば、本来の力が発揮できるということじゃ。そして、そのリミッターというのが、人の脳じゃよ。脳は、人が無意識うちにリミッターをかけておっての、それを解除するのは普通の人の意志じゃあまず無理じゃのう。一時的に、本質の20%まで引き上げることは可能じゃがな。それを火事場の馬鹿力と人は言っておるようじゃがの。それは、本来人が持つ力の一部でしかないってことじゃ。
妾の授けた祝福は、その無意識にかかるリミッターを解除して、お主らが100%の力を出せるようにしたのじゃ。それで、お主らがどれだけの力を発揮するかは、お主らの本質次第じゃがの。」
メーラは先ほどとは違った、不敵な笑みを浮かべながら言った。
「ちょっと待ってください。なぜ、人は無意識にリミッターなんかをかけているのですか?100%の力を常に出していれば、もっと生活も変わるのではないですか?」
考えがまとまりきらない沙耶をメーラは楽しそうに見た。
「そうじゃな、人が100%の本質を発揮している世界ならもっと生活は変わっていたじゃろうな。それは、皆が戦い、世界が滅びるほどの戦禍が人に降りかかっておったじゃろうな。いや、人だけではないな、そのほかの生き物、植物までもそれによって滅んでいたじゃろう。人とは、そういう生き物じゃ。一人が正義を、正しさを論しようとも、他の欲深きものが、戦火をきるじゃろう。そして、戦いは生まれるのじゃ。だからこそ、世界を破滅へ導かぬように、神が人にリミッターをかけたのじゃ。人というものをおそれてな。」
「「…」」
メーラの言葉を聞き二人は言葉が出なかった。沙耶は、反論したそうだったが、メーラが言ったのは事実であり、今まで生きてきた中で、沙耶はちゃんとわかっていた。
悠は、何かを考えているようで、真剣に話を聞いていた。
「そういうわけじゃ、お主らのリミッターは祝福として、特別に解除してやった。その力は、向こうの世界で確認するがよいじゃろう。それと、今から行く世界じゃがな、お主らがいた世界にはなかった魔法とかがあるのじゃ。お主らは、その世界の人間同様に魔法は使えるし、スキルの恩恵も受けることができるじゃろう。だが、それは向こうにいる者たちと同じ条件でじゃ。魔法を使うには適性がある。スキルの恩恵を受けるには、神から頂く必要がある。それらは、お主ら次第じゃよ。それと、向こうの者たちには、リミッターはかかっておらぬのでな、お主らと向こうの者は同じ条件じゃ。それでは、今から向かってもらうが、最後に質問とかあるかのう?」
悠と沙耶は、静かに目を見合わせた。
いろいろなことを聞き頭が整理できていない沙耶だったが、悠を見るとなぜか落ち着いたように優しくメーラを見た。
「私は、大丈夫です。お兄ちゃんがいますので。こんなバカなお兄ちゃんでも、頼りになるバカですので。」
「いやいや、喜んでいいのか悲しんでいいのかわからんぞ!まぁ、いいや。
メーラ1つだけ聞いておきたい。お前は…」
いつもになく真剣な表情の悠に沙耶とメーラは息を飲む。
「お前は、何歳なんだ?結婚できるのか?結婚してください!」
バチーン!
今までないくらいに、沙耶は全力で悠を叩いた。
悠は、頭を押さえてうずくまるが、沙耶に首根っこを捕まれ引きずられながら、メーラの前まで来た。
「すいません、もういいですよ。向こうの世界とやらに連れて行ってください。」
沙耶は冷たい目で悠を睨みながらメーラに言った。
「ほんと、お主らは変わっておるの。不安とかはないのかのう。
よいよい、なら行ってくるがよい。」
そういうと、メーラが何かつぶやくと、二人が光に包まれ始めた。
「お主らのことは、気に入った。また、話しかけるかもしれんからよろしくなのじゃ。それと、死ぬでないぞ。」
メーラは、今まで笑っていた表情とは違い、真剣に二人を見た。
沙耶は、軽く頭を下げた。
「お兄ちゃん頼りにしてますよ。」
あまりにも小さな囁きに悠は気づかなかった。
そして、二人は光の中へと消えていった。
「変わったところは見当たりませんね。」
「特に変わったところはなさそうだな?」
悠と沙耶は光った自分の体を何度も見返した。
「というか、お兄ちゃんいつの間に普通に戻ってるのですか?そのままでって言ったはずですよ、それに手加減した覚えないのですが、タフなんですか?それとも、痛みすらわからないバカなんですか?」
沙耶はすぐに自分の体から目を離し、悠を冷たい目で見る。
「いやいや、痛みわかるかんね!痛いよ!というか、最近兄に対して酷くないですかね!そんな妹に育てた覚えありませんよ!」
「いえ、私もお兄ちゃんに育てられた覚えないですよ。というか、いたいならさっきみたいにうずくまっていてください。話が進まないじゃないですか。」
沙耶はため息をつき、メーラを見る。
メーラは二人のやり取りを見ながら、面白そうに笑っているだけだった。
「そうじゃな、お主らのやり取りを見ていても見飽きぬが、先に進まないといけないのじゃったな。
祝福は確かにお主らに与えたぞ。」
メーラは二人を見ながら細く微笑んだ。
「なにも変わったようには見えませんが。」
「まさか、ただ光って、祝福しましたってことか?」
悠と沙耶は懸念の表情でメーラを見た。
「たわけ。ちゃんと変わっておるぞ。そうじゃな、祝福について説明するとじゃ、お主らの〝リミッターを外した”のじゃ。」
「「リミッター?」」
「そうじゃ、人は本来、自らが持つ本質の1%~10%しか発揮できておらぬのじゃよ。それは、リミッターがかかっておるからじゃよ。そのリミッターを解除すれば、本来の力が発揮できるということじゃ。そして、そのリミッターというのが、人の脳じゃよ。脳は、人が無意識うちにリミッターをかけておっての、それを解除するのは普通の人の意志じゃあまず無理じゃのう。一時的に、本質の20%まで引き上げることは可能じゃがな。それを火事場の馬鹿力と人は言っておるようじゃがの。それは、本来人が持つ力の一部でしかないってことじゃ。
妾の授けた祝福は、その無意識にかかるリミッターを解除して、お主らが100%の力を出せるようにしたのじゃ。それで、お主らがどれだけの力を発揮するかは、お主らの本質次第じゃがの。」
メーラは先ほどとは違った、不敵な笑みを浮かべながら言った。
「ちょっと待ってください。なぜ、人は無意識にリミッターなんかをかけているのですか?100%の力を常に出していれば、もっと生活も変わるのではないですか?」
考えがまとまりきらない沙耶をメーラは楽しそうに見た。
「そうじゃな、人が100%の本質を発揮している世界ならもっと生活は変わっていたじゃろうな。それは、皆が戦い、世界が滅びるほどの戦禍が人に降りかかっておったじゃろうな。いや、人だけではないな、そのほかの生き物、植物までもそれによって滅んでいたじゃろう。人とは、そういう生き物じゃ。一人が正義を、正しさを論しようとも、他の欲深きものが、戦火をきるじゃろう。そして、戦いは生まれるのじゃ。だからこそ、世界を破滅へ導かぬように、神が人にリミッターをかけたのじゃ。人というものをおそれてな。」
「「…」」
メーラの言葉を聞き二人は言葉が出なかった。沙耶は、反論したそうだったが、メーラが言ったのは事実であり、今まで生きてきた中で、沙耶はちゃんとわかっていた。
悠は、何かを考えているようで、真剣に話を聞いていた。
「そういうわけじゃ、お主らのリミッターは祝福として、特別に解除してやった。その力は、向こうの世界で確認するがよいじゃろう。それと、今から行く世界じゃがな、お主らがいた世界にはなかった魔法とかがあるのじゃ。お主らは、その世界の人間同様に魔法は使えるし、スキルの恩恵も受けることができるじゃろう。だが、それは向こうにいる者たちと同じ条件でじゃ。魔法を使うには適性がある。スキルの恩恵を受けるには、神から頂く必要がある。それらは、お主ら次第じゃよ。それと、向こうの者たちには、リミッターはかかっておらぬのでな、お主らと向こうの者は同じ条件じゃ。それでは、今から向かってもらうが、最後に質問とかあるかのう?」
悠と沙耶は、静かに目を見合わせた。
いろいろなことを聞き頭が整理できていない沙耶だったが、悠を見るとなぜか落ち着いたように優しくメーラを見た。
「私は、大丈夫です。お兄ちゃんがいますので。こんなバカなお兄ちゃんでも、頼りになるバカですので。」
「いやいや、喜んでいいのか悲しんでいいのかわからんぞ!まぁ、いいや。
メーラ1つだけ聞いておきたい。お前は…」
いつもになく真剣な表情の悠に沙耶とメーラは息を飲む。
「お前は、何歳なんだ?結婚できるのか?結婚してください!」
バチーン!
今までないくらいに、沙耶は全力で悠を叩いた。
悠は、頭を押さえてうずくまるが、沙耶に首根っこを捕まれ引きずられながら、メーラの前まで来た。
「すいません、もういいですよ。向こうの世界とやらに連れて行ってください。」
沙耶は冷たい目で悠を睨みながらメーラに言った。
「ほんと、お主らは変わっておるの。不安とかはないのかのう。
よいよい、なら行ってくるがよい。」
そういうと、メーラが何かつぶやくと、二人が光に包まれ始めた。
「お主らのことは、気に入った。また、話しかけるかもしれんからよろしくなのじゃ。それと、死ぬでないぞ。」
メーラは、今まで笑っていた表情とは違い、真剣に二人を見た。
沙耶は、軽く頭を下げた。
「お兄ちゃん頼りにしてますよ。」
あまりにも小さな囁きに悠は気づかなかった。
そして、二人は光の中へと消えていった。
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