究極の捕食者 ～チート融合スキルで世界最強～
第４２話 ダンジョンと謎のモンスター達
ガルム王子からの使いは、朝一番でやって来た。その内容は、私達にダンジョン攻略を勧めるものだった。援軍は送ってくれるらしいが、それでも、自分達で進めるところまで進むといい。
そう書いてあった。
ならば、望むところだ。私はその紙を破り捨て、立ち上がった。
＊＊＊
「何も無いですね」
ダンジョン。薄暗い迷宮の様な物を想像していたのだが、実際は違った。うっそうと生い茂る森を、私達は進んでいる。
今までの冒険と代わり映えしない景色に、少しだけがっかりした。
それは、後ろから歩いてくるクラスメイト達も同じようだった。あのゆとりでさえ、油断した表情で歩いている。
「気を抜くなよ姫川。この暇さこそが、ダンジョン製作者の狙いかもしれん」
「は、はい」
隣を歩くベテラン冒険者ジエルさんが、気を引き締めろと言わんばかりに声を掛けてきた。私は再び集中する。
「しかし……無理もないか。一つの罠も無いままに森を数時間も歩き続けているからな」
「ええ……」
所々誰かが罠に掛かった形跡がある。だが、これは私達より前、はるか昔に侵入した者達が引っかかった罠だろう。
「あのカスがこんな甘い……気を引き締めろ俺。気を引き締めろ俺。気を引き締めろ俺。気を引き締めろ俺」
油断して気が緩みだしたみんなとは反対に、今日のジエルさんは妙に余裕が無かった。何かこのダンジョンについて知っているのだろうか。
それとも、優秀なジエルさんの事だ。私達には見えない何かが見えているのかもしれなかった。だとしたらそれを教えて欲しいのだが。
「おっ！ 見ろよ璃緒！ あっちに何かあるぜ！」
頭上から声がした。起用に木の上を飛び移って移動していた友人、篝夜蛍が何かを見つけたようだった。
私は足に魔力を込めて跳躍し、蛍とは反対側の木に飛び乗る。足場をしっかりと踏みしめてから、今度は眼球に魔力を込める。こうすることで、視力が一時的に数倍になるのだ。目に優しくはないので余り多用はしたくないが。このようにちょっと使う分には便利である。
「あれは……穴が掘ってあるの？」
「なんか陸上競技場っぽいよなぁ！ 私ワクワクすっぜ」
と、蛍は前に進んでしまう。私は一瞬考えて。
「みんな。少し先に何か発見したわ！ 気を引き締めてかかりましょう！」
＊＊＊
蛍が陸上競技場と評したのも頷ける。森の中に突如現れたそれは、地面をくりぬいて作られたコロッセオのような物だった。階段の様にだんだんと下へ続く観客席があり、一番中央の最も深い部分は、闘技場のようだ。
そしてその闘技場の真ん中に、下の階への転移門が存在する。あそこを通れば、一応地下一階層はクリアという訳だ。
しかし。
「何かいるな……」
「ええ。私達の元居た世界に似たような生物が居ました。あれは……ペンギン」
そう。転移門の周りはペンギンの様な不思議な生命体が取り囲んでいた。その数２０。
「けどよ。私は水族館に行って生ペンギンを見たことがあるけど、かなり違うぜ。あのペンギンは……」
「うん。ＣＧ映画に出てくるみたいなデフォルメがされてるねー。ピ○サーとかデ○ズニーみたいな」
「という事は魔物ね」
私はスマホを取り出して敵の情報を調べる。いつもより長い時間が掛かってから、ようやくデータが表示された。
合成魔獣ペンギオラ 魔力数値８０００
譁・ュ怜喧ち縺代ヱ繧融繝シ繝ウ讖溯・繝サ合遐皮ゥカ・樞包シ搾シ・ソ・。繹ア竭竇。
ん。何か画面がバグっている？ 私は周囲を見回してみる。私と同じようにスマホで敵の情報を確認していたのは宮本君とゆとり。
その二人も首を傾げている。同じような、よくわからない文章が表示されていたのだろう。しかし、魔力数値が８０００というのは、恐ろしい。
私達は、あのリアンデシア攻防戦以降も多くの戦いを経験し、強くなった。この東の森に入ってからはジエルさんというベテラン冒険者を味方につけ、様々な指導を受け戦略を身につけた。お陰で私の魔力数値は１５万まで上昇。しかし、それはスキルの恩恵があってこそ。
そういった魔力数値上昇スキルを持っていない他の皆は、私ほど爆発的に魔力数値が伸びた訳じゃない。私を抜けば蛍の５０００が一番高いのだ。敵のペンギオラの魔力数値は８０００。しかもそれが２０体。間違いなく、今までで一番過酷な戦いになるだろう。
ならばここは。
「ジエルさん。敵の数が多く、且つ魔力が強大です。無策であの中に突っ込めば、確実に死人が出ます。
幸い、陣取りは此方が有利。この位置から私が必殺技を放ち、殲滅するというのはどうでしょうか？」
私は考えた作戦を、ジエルさんに進言してみた。
「考えが甘いな姫川。お前の必殺技なら確かに一撃であのモンスター達を葬り去れるだろう。だが、同時に転移門も破壊されてしまうのではないか？」
「あ……」
「気が付いたようだな、流石だ。しかし、気に病む必要は無い。このモンスターの配置には明確な性格の悪さを感じる。そして、無闇に飛び込まないというのは賛成だ。必殺技は過剰攻撃だが、上から突いていくという事には賛成だ。一方的な攻撃が出来るし、何より犠牲者が出ない」
褒められた。嬉しい。
「作戦は決まったようだねー。それじゃあみんな集まって。役割を分担していくよ」
横で聞いていたゆとりが早速みんなを集め、役割を割り振る。私はエクスカリバーを召喚し、気を引き締めた。
＊＊＊
まずは壱外さんが結界魔法を発動。闘技場上部に蓋をし、ペンギオラ達が観客席に上がって来られないようにする。そして、転移門以外の場所の足場を、土魔法部隊が崩す。我がクラス得意の地割れ戦法だ。多くのモンスターを飲み込み、その数を減らしつつ足並みを崩す……はずが。
「おい、あいつ等飛んで出てきたぞ」
「風船みたいにふわっと浮かんで、地面に落ちない」
何やらスキルで回避したようだった。地割れ攻撃で倒せた数は０か……。しかし。それでも地面が穴だらけというのは敵の移動速度を大きく下げる。
小さな魔法でちまちまと敵の体力を削り、一匹一匹冷静に対処する事で、ようやく２０体のペンギオラを全て討伐する事が出来た。
怪我人もゼロ。やった。これは素直に喜んでも良いのではないだろうか。
「素晴らしかったぞお前たち。ここまで冷静に戦えたお前たちを見て、俺は感動した」
と、ジエルさんはいつに無く喜んでいた。「あのペンギン、理由はわからないが何故かムカつく」と言っていたし、もしかしてペンギン嫌いだったのかもしれない。
２時間の休憩の後、私達は転移門をくぐった。今度はさっきの闘技場とは全く違う場所。石造りの暗く囲まれた大きな部屋だった。広すぎて、壁が見えない。
「「「ライトーン！」」」
複数人の光魔法持ちが照明魔法を放つ。すると、とてつもなく広い部屋の奥に、すぐに次の場所への転移門が見える。
だが……。
「嘘……なんだよこれぇ」
「こ、こんなモンスターが存在するの！？」
「か、勝てるのかよこんなの」
私達は既に囲まれていたのだった。
それはアンデッド型のモンスター。全身骨。頭部は恐竜、腕は水性哺乳類の腕の様で、下半身は蛇のように長く、コウモリのような羽を生やしている。
胸の部分に唯一と言っていい生体コアが埋め込まれている。
大きさは３メートルを超えている。そんなモンスターが三体も……。果たしてみんなを無事に守りきる事が出来るのだろうか……。
合成魔獣スカルギオス 魔力数値３２０００
譁・ュ怜喧ち縺代ヱ繧融繝シ繝ウ讖溯・繝サ合遐皮ゥカ・樞包シ搾シ・ソ・。繹ア竭竇。
そう書いてあった。
ならば、望むところだ。私はその紙を破り捨て、立ち上がった。
＊＊＊
「何も無いですね」
ダンジョン。薄暗い迷宮の様な物を想像していたのだが、実際は違った。うっそうと生い茂る森を、私達は進んでいる。
今までの冒険と代わり映えしない景色に、少しだけがっかりした。
それは、後ろから歩いてくるクラスメイト達も同じようだった。あのゆとりでさえ、油断した表情で歩いている。
「気を抜くなよ姫川。この暇さこそが、ダンジョン製作者の狙いかもしれん」
「は、はい」
隣を歩くベテラン冒険者ジエルさんが、気を引き締めろと言わんばかりに声を掛けてきた。私は再び集中する。
「しかし……無理もないか。一つの罠も無いままに森を数時間も歩き続けているからな」
「ええ……」
所々誰かが罠に掛かった形跡がある。だが、これは私達より前、はるか昔に侵入した者達が引っかかった罠だろう。
「あのカスがこんな甘い……気を引き締めろ俺。気を引き締めろ俺。気を引き締めろ俺。気を引き締めろ俺」
油断して気が緩みだしたみんなとは反対に、今日のジエルさんは妙に余裕が無かった。何かこのダンジョンについて知っているのだろうか。
それとも、優秀なジエルさんの事だ。私達には見えない何かが見えているのかもしれなかった。だとしたらそれを教えて欲しいのだが。
「おっ！ 見ろよ璃緒！ あっちに何かあるぜ！」
頭上から声がした。起用に木の上を飛び移って移動していた友人、篝夜蛍が何かを見つけたようだった。
私は足に魔力を込めて跳躍し、蛍とは反対側の木に飛び乗る。足場をしっかりと踏みしめてから、今度は眼球に魔力を込める。こうすることで、視力が一時的に数倍になるのだ。目に優しくはないので余り多用はしたくないが。このようにちょっと使う分には便利である。
「あれは……穴が掘ってあるの？」
「なんか陸上競技場っぽいよなぁ！ 私ワクワクすっぜ」
と、蛍は前に進んでしまう。私は一瞬考えて。
「みんな。少し先に何か発見したわ！ 気を引き締めてかかりましょう！」
＊＊＊
蛍が陸上競技場と評したのも頷ける。森の中に突如現れたそれは、地面をくりぬいて作られたコロッセオのような物だった。階段の様にだんだんと下へ続く観客席があり、一番中央の最も深い部分は、闘技場のようだ。
そしてその闘技場の真ん中に、下の階への転移門が存在する。あそこを通れば、一応地下一階層はクリアという訳だ。
しかし。
「何かいるな……」
「ええ。私達の元居た世界に似たような生物が居ました。あれは……ペンギン」
そう。転移門の周りはペンギンの様な不思議な生命体が取り囲んでいた。その数２０。
「けどよ。私は水族館に行って生ペンギンを見たことがあるけど、かなり違うぜ。あのペンギンは……」
「うん。ＣＧ映画に出てくるみたいなデフォルメがされてるねー。ピ○サーとかデ○ズニーみたいな」
「という事は魔物ね」
私はスマホを取り出して敵の情報を調べる。いつもより長い時間が掛かってから、ようやくデータが表示された。
合成魔獣ペンギオラ 魔力数値８０００
譁・ュ怜喧ち縺代ヱ繧融繝シ繝ウ讖溯・繝サ合遐皮ゥカ・樞包シ搾シ・ソ・。繹ア竭竇。
ん。何か画面がバグっている？ 私は周囲を見回してみる。私と同じようにスマホで敵の情報を確認していたのは宮本君とゆとり。
その二人も首を傾げている。同じような、よくわからない文章が表示されていたのだろう。しかし、魔力数値が８０００というのは、恐ろしい。
私達は、あのリアンデシア攻防戦以降も多くの戦いを経験し、強くなった。この東の森に入ってからはジエルさんというベテラン冒険者を味方につけ、様々な指導を受け戦略を身につけた。お陰で私の魔力数値は１５万まで上昇。しかし、それはスキルの恩恵があってこそ。
そういった魔力数値上昇スキルを持っていない他の皆は、私ほど爆発的に魔力数値が伸びた訳じゃない。私を抜けば蛍の５０００が一番高いのだ。敵のペンギオラの魔力数値は８０００。しかもそれが２０体。間違いなく、今までで一番過酷な戦いになるだろう。
ならばここは。
「ジエルさん。敵の数が多く、且つ魔力が強大です。無策であの中に突っ込めば、確実に死人が出ます。
幸い、陣取りは此方が有利。この位置から私が必殺技を放ち、殲滅するというのはどうでしょうか？」
私は考えた作戦を、ジエルさんに進言してみた。
「考えが甘いな姫川。お前の必殺技なら確かに一撃であのモンスター達を葬り去れるだろう。だが、同時に転移門も破壊されてしまうのではないか？」
「あ……」
「気が付いたようだな、流石だ。しかし、気に病む必要は無い。このモンスターの配置には明確な性格の悪さを感じる。そして、無闇に飛び込まないというのは賛成だ。必殺技は過剰攻撃だが、上から突いていくという事には賛成だ。一方的な攻撃が出来るし、何より犠牲者が出ない」
褒められた。嬉しい。
「作戦は決まったようだねー。それじゃあみんな集まって。役割を分担していくよ」
横で聞いていたゆとりが早速みんなを集め、役割を割り振る。私はエクスカリバーを召喚し、気を引き締めた。
＊＊＊
まずは壱外さんが結界魔法を発動。闘技場上部に蓋をし、ペンギオラ達が観客席に上がって来られないようにする。そして、転移門以外の場所の足場を、土魔法部隊が崩す。我がクラス得意の地割れ戦法だ。多くのモンスターを飲み込み、その数を減らしつつ足並みを崩す……はずが。
「おい、あいつ等飛んで出てきたぞ」
「風船みたいにふわっと浮かんで、地面に落ちない」
何やらスキルで回避したようだった。地割れ攻撃で倒せた数は０か……。しかし。それでも地面が穴だらけというのは敵の移動速度を大きく下げる。
小さな魔法でちまちまと敵の体力を削り、一匹一匹冷静に対処する事で、ようやく２０体のペンギオラを全て討伐する事が出来た。
怪我人もゼロ。やった。これは素直に喜んでも良いのではないだろうか。
「素晴らしかったぞお前たち。ここまで冷静に戦えたお前たちを見て、俺は感動した」
と、ジエルさんはいつに無く喜んでいた。「あのペンギン、理由はわからないが何故かムカつく」と言っていたし、もしかしてペンギン嫌いだったのかもしれない。
２時間の休憩の後、私達は転移門をくぐった。今度はさっきの闘技場とは全く違う場所。石造りの暗く囲まれた大きな部屋だった。広すぎて、壁が見えない。
「「「ライトーン！」」」
複数人の光魔法持ちが照明魔法を放つ。すると、とてつもなく広い部屋の奥に、すぐに次の場所への転移門が見える。
だが……。
「嘘……なんだよこれぇ」
「こ、こんなモンスターが存在するの！？」
「か、勝てるのかよこんなの」
私達は既に囲まれていたのだった。
それはアンデッド型のモンスター。全身骨。頭部は恐竜、腕は水性哺乳類の腕の様で、下半身は蛇のように長く、コウモリのような羽を生やしている。
胸の部分に唯一と言っていい生体コアが埋め込まれている。
大きさは３メートルを超えている。そんなモンスターが三体も……。果たしてみんなを無事に守りきる事が出来るのだろうか……。
合成魔獣スカルギオス 魔力数値３２０００
譁・ュ怜喧ち縺代ヱ繧融繝シ繝ウ讖溯・繝サ合遐皮ゥカ・樞包シ搾シ・ソ・。繹ア竭竇。
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