究極の捕食者 ~チート融合スキルで世界最強~
第12話 灼熱のファイナルバトル
顔つきは辛うじて人間。胴体は筋肉質になったものの、まだ人間。但し、左脇からは明らかに人間の物ではない骨が内側から突き出ている。腕は気持ちの悪い色に変色し、右腕にはブラックファングの頭、左腕にはラプターの頭へと変貌している。まるでオメ○モン。左のケツからは何かよく解らない尻尾が突出し、右肩からだけ、赤い翼が生えている。
そんな幼稚園児の工作の様に滅茶苦茶な、かつて流行ったパーツを交換できるロボットでデザインを捨て機能性だけを追求したような。統一感のないキメラの様な姿。それが今の俺だ。
「まさかアンタ……さっきの? 手当たり次第、転がっていた魔獣達と融合したっていうの?」
「その通りだぜ……喜べ。狂喜乱舞しろ。お前を倒す為だけに、ここまでやった」
「ちょっとちょっと……狂ってるなんてもんじゃないわよ」
目に見えて動揺し始めるフロストデビル。その様子が可笑しくて、それだけでも融合した甲斐があったと思える。だが当然、それだけで満足するつもりはない。
「そんな何の考えも無しに滅茶苦茶な融合をして……アンタ世界を破滅させるつもり?」
「訳の解らないことをいいやがる……そんなことよりさっさと始めようぜ。お前も融合してやるからよ」
俺は右腕のブラックファングヘッドを敵に向ける。そして、魔力を凝縮した炎の弾丸へと変換し、発射する。フロストデビルは歯軋りをしながらそれを回避、俺の後ろに回り込もうとする。
「ウフフ、いくら魔力の数値を上げようと、所詮アンタは戦いの素人。勝てると思うのは大きな間違いよ。魔力量が互角なら、勝負を決めるのは戦略と経験!」
そういいながら背後から近寄ってきたフロストデビル。その長い腕から放たれる手刀。だが、それは突如俺の背中から出現したもう一体のブラックファングヘッドの噛み付きディフェンスによって止められる。
まるで俺の皮膚が水面で、その中から顔を出したかのように現れた、おおよそ生物の構造を無視した防御術に、フロストデビルが恐怖しているのが伝わってくる。
「ハッ! デスロール!!」
敵の右手に噛み付いた背中のブラックファングヘッドは回転を始める。首の軸は俺の背中だから、接着面なんて気にせず、何回転もすることが出来る。これは敵を捕まえたワニの動き。回転することで獲物の肉を引きちぎる。本当に俺の中にブラックファングが潜っているような錯覚があって不快だが、それでもなかなかの働きをする。
「ぎゃあああああああ」
悲鳴をあげながら俺から離れるフロストデビル。四つの目を涙目にしながらコチラを睨んでいる。俺は背中のブラックファングヘッドを引きちぎった右手ごと体内に押し戻し、それに対して融合を発動する。
本体丸ごと融合するときほどでは無いだろうが、それでも敵の力の一部を俺も得る。
『冷却保存(フリーズメモリー)』
・対象を氷付けにする。その対象の時間を停止させることが出来る。正し、氷が溶けたり破壊されると効果も解ける。
なかなか面白いスキルだ。アイツの持ち物だろうか? だが、どうせならBファングを倒した方のスキルが欲しかったのだが。
「お前……こんないいスキル持っておきながら、さっき俺を放置したんだ?」
けれど、どうやらこのスキル、魔力の消費がかなり凄まじいようだった。なるほどこれから城と街を落とすのに、俺ごときに贅沢にスキルを使っている余裕はなかった訳だ。
「うぅ……ぷ」
そして、融合の常、吐き気と共に俺の体にも変化が訪れる。とくに何も起こっていなかった左肩がぶくぶくと盛り上がってきた。そして、皮膚を突き破るようにして生えてきたのは、フロストデビルの右腕だった。左肩から生えているのに右腕。なんとも歪だが、まぁ、今の俺には丁度良いか。
「アンタ……よくも、よくも私の腕を!!!! 返せ……返せぇ」
「返して欲しかったら取り返してみろよ。あ、そういえばさっき面白い事を言ってたよなお前。魔力量が互角なら勝負を決めるのは……なんだったっけ? もう一度聞かせてくれよ」
「ほざけえええええええ!!」
敵は即座に食いちぎられた右腕を氷で包み、それを手の様な形に変化させる。そして、コチラに両手を掲げて魔力を溜めている。
「くらえ! アイスエンドアロー!!」
空中に現れた巨大で鋭利な氷の刃を俺に向かって放ってきた。スピードはそれ程でも無い。俺は両腕のブラックファングヘッドとラプターヘッドを同時に構える。
自分の中に溢れる手に負えないくらいの強力な魔力を熱魔核(フレイムコア)と暗黒核(ダークマターコア)で全て炎へと変換する。
邪悪な青黒い輝きを放つ炎が、一斉に解き放たれる。その炎は氷の刃を一瞬の内に蒸発させて、敵を、フロストデビルを飲み込んだ。
「あわあああ!? 熱い、熱い!? 嘘でしょおおおおおおおおおおお!?」
炎の中に、敵の断末魔も虚しく消える。
「あっけないなぁ……てか、やりすぎた……これじゃあアイツの死体を融合できないじゃないか……」
そんなことをボヤきつつ、俺の意識は次第に遠くなる。それもそのはずだ。俺の体の熱は、溢れる魔力を抑えられずにどんどん上昇している。
42℃なんてとっくに超えている。それでも辛うじて生きているのは、俺が既に人間ではなくなってしまったからだろう。
なんの事はない。あいつの、フロストデビルの言っていたことは正しかった。
「は、ハハハ」
けれどそんなことは俺にだってわかっていたんだ。本当ならば一体融合した時点で相当なダメージを精神が受けるのだろう。
だからこそ、体や力を定着させるために時間を掛けなくてはいけない。ブラックファング同士は相性が良かったからいいが、今回は人間と魔物だ。こんな感じで拒絶反応が起こっても不思議じゃない。
「あー糞がー……からだが」
体の崩壊が始まっている。気がする。全身が痛い。せっかく生えてきたカッコいい羽がボトっと音を立てて地面に落ちた。まるで固まりきっていないゼリーのようだ。
不味いな……この調子だと……。
だんだんと薄れていく意識の中。俺はふと神樹の方を見上げる。ああ、そういえば、そんな事を言っていたなぁアイツが。
神樹の聖なる気には弱い……的なことを。なるほど、そんな弱点まで引き継いでしまったということか。
寧ろ、さっきまでは俺はまだ人間として認識されていたのだろう。魔物の体として安定し始めたから、今度は聖なる気によって、滅ぼされようとしているのだろうか。
それとも、本当に無理な融合が祟ったのだろうか。
まぁ……それでもいいか。俺……十分すぎるくらい頑張ったよな?
「七瀬君!? 七瀬君なの?」
遠くから、とても懐かしい。そんな声が聞こえた気がした。
そんな幼稚園児の工作の様に滅茶苦茶な、かつて流行ったパーツを交換できるロボットでデザインを捨て機能性だけを追求したような。統一感のないキメラの様な姿。それが今の俺だ。
「まさかアンタ……さっきの? 手当たり次第、転がっていた魔獣達と融合したっていうの?」
「その通りだぜ……喜べ。狂喜乱舞しろ。お前を倒す為だけに、ここまでやった」
「ちょっとちょっと……狂ってるなんてもんじゃないわよ」
目に見えて動揺し始めるフロストデビル。その様子が可笑しくて、それだけでも融合した甲斐があったと思える。だが当然、それだけで満足するつもりはない。
「そんな何の考えも無しに滅茶苦茶な融合をして……アンタ世界を破滅させるつもり?」
「訳の解らないことをいいやがる……そんなことよりさっさと始めようぜ。お前も融合してやるからよ」
俺は右腕のブラックファングヘッドを敵に向ける。そして、魔力を凝縮した炎の弾丸へと変換し、発射する。フロストデビルは歯軋りをしながらそれを回避、俺の後ろに回り込もうとする。
「ウフフ、いくら魔力の数値を上げようと、所詮アンタは戦いの素人。勝てると思うのは大きな間違いよ。魔力量が互角なら、勝負を決めるのは戦略と経験!」
そういいながら背後から近寄ってきたフロストデビル。その長い腕から放たれる手刀。だが、それは突如俺の背中から出現したもう一体のブラックファングヘッドの噛み付きディフェンスによって止められる。
まるで俺の皮膚が水面で、その中から顔を出したかのように現れた、おおよそ生物の構造を無視した防御術に、フロストデビルが恐怖しているのが伝わってくる。
「ハッ! デスロール!!」
敵の右手に噛み付いた背中のブラックファングヘッドは回転を始める。首の軸は俺の背中だから、接着面なんて気にせず、何回転もすることが出来る。これは敵を捕まえたワニの動き。回転することで獲物の肉を引きちぎる。本当に俺の中にブラックファングが潜っているような錯覚があって不快だが、それでもなかなかの働きをする。
「ぎゃあああああああ」
悲鳴をあげながら俺から離れるフロストデビル。四つの目を涙目にしながらコチラを睨んでいる。俺は背中のブラックファングヘッドを引きちぎった右手ごと体内に押し戻し、それに対して融合を発動する。
本体丸ごと融合するときほどでは無いだろうが、それでも敵の力の一部を俺も得る。
『冷却保存(フリーズメモリー)』
・対象を氷付けにする。その対象の時間を停止させることが出来る。正し、氷が溶けたり破壊されると効果も解ける。
なかなか面白いスキルだ。アイツの持ち物だろうか? だが、どうせならBファングを倒した方のスキルが欲しかったのだが。
「お前……こんないいスキル持っておきながら、さっき俺を放置したんだ?」
けれど、どうやらこのスキル、魔力の消費がかなり凄まじいようだった。なるほどこれから城と街を落とすのに、俺ごときに贅沢にスキルを使っている余裕はなかった訳だ。
「うぅ……ぷ」
そして、融合の常、吐き気と共に俺の体にも変化が訪れる。とくに何も起こっていなかった左肩がぶくぶくと盛り上がってきた。そして、皮膚を突き破るようにして生えてきたのは、フロストデビルの右腕だった。左肩から生えているのに右腕。なんとも歪だが、まぁ、今の俺には丁度良いか。
「アンタ……よくも、よくも私の腕を!!!! 返せ……返せぇ」
「返して欲しかったら取り返してみろよ。あ、そういえばさっき面白い事を言ってたよなお前。魔力量が互角なら勝負を決めるのは……なんだったっけ? もう一度聞かせてくれよ」
「ほざけえええええええ!!」
敵は即座に食いちぎられた右腕を氷で包み、それを手の様な形に変化させる。そして、コチラに両手を掲げて魔力を溜めている。
「くらえ! アイスエンドアロー!!」
空中に現れた巨大で鋭利な氷の刃を俺に向かって放ってきた。スピードはそれ程でも無い。俺は両腕のブラックファングヘッドとラプターヘッドを同時に構える。
自分の中に溢れる手に負えないくらいの強力な魔力を熱魔核(フレイムコア)と暗黒核(ダークマターコア)で全て炎へと変換する。
邪悪な青黒い輝きを放つ炎が、一斉に解き放たれる。その炎は氷の刃を一瞬の内に蒸発させて、敵を、フロストデビルを飲み込んだ。
「あわあああ!? 熱い、熱い!? 嘘でしょおおおおおおおおおおお!?」
炎の中に、敵の断末魔も虚しく消える。
「あっけないなぁ……てか、やりすぎた……これじゃあアイツの死体を融合できないじゃないか……」
そんなことをボヤきつつ、俺の意識は次第に遠くなる。それもそのはずだ。俺の体の熱は、溢れる魔力を抑えられずにどんどん上昇している。
42℃なんてとっくに超えている。それでも辛うじて生きているのは、俺が既に人間ではなくなってしまったからだろう。
なんの事はない。あいつの、フロストデビルの言っていたことは正しかった。
「は、ハハハ」
けれどそんなことは俺にだってわかっていたんだ。本当ならば一体融合した時点で相当なダメージを精神が受けるのだろう。
だからこそ、体や力を定着させるために時間を掛けなくてはいけない。ブラックファング同士は相性が良かったからいいが、今回は人間と魔物だ。こんな感じで拒絶反応が起こっても不思議じゃない。
「あー糞がー……からだが」
体の崩壊が始まっている。気がする。全身が痛い。せっかく生えてきたカッコいい羽がボトっと音を立てて地面に落ちた。まるで固まりきっていないゼリーのようだ。
不味いな……この調子だと……。
だんだんと薄れていく意識の中。俺はふと神樹の方を見上げる。ああ、そういえば、そんな事を言っていたなぁアイツが。
神樹の聖なる気には弱い……的なことを。なるほど、そんな弱点まで引き継いでしまったということか。
寧ろ、さっきまでは俺はまだ人間として認識されていたのだろう。魔物の体として安定し始めたから、今度は聖なる気によって、滅ぼされようとしているのだろうか。
それとも、本当に無理な融合が祟ったのだろうか。
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