漂流先の魔法世界で生き残りサバイバル!

大吉祭り

魔法大会に決着が!

 可能な限り息を潜めて、その時を待つ!
 ターゲットの先輩二人は、疲れからか座りこんでヒソヒソと話をしている。
 おそらく、探知の魔法も今は使っていないだろう。


 「大樹さん、そろそろ」


 近くにいるフローラが、作戦の決行を知らせてくれる。
 アスラとリッシュは、少し離れた場所でフローラの合図を待っている状態。
 そして……。


 「大樹さん、スタートです」


 フローラはそう言うと、同時に小さく手を上げ下げし合図を送る。
 それを見たリッシュ達は勢いよく先輩たちの前に飛び出して行き。


 「いきなりでごめんなさいね、先輩方! 目潰しのレオーレ!」

 「私も、レオーレ!」


 作戦のスタート、まずは光の魔法で相手の視界を塞ぐこと。


 「なんだ!? お前たちいつから……」

 「急にごめんなさい。でも、ルール違反ではないですから!」


 相手の目が見えないうちに、俺とフローラは飛び出していく。
 そして、フローラの強烈な一撃。


 「ヴィンド!」


 風の魔法で一人を吹き飛ばしてしまった。
 これ、俺の出番あるのかな?
 するとさすが先輩、片方はフローラの一撃を最小限のダメージに抑えたようだ。


 「急なことで驚いたが、目も慣れて来たぞ? お仕置きの時間かなぁ」


 そう話す先輩は魔法を唱え始めている。
 俺はもう一人がダウンしていることを、近くにいるリッシュのサインで確認する。


 「残念だけど先輩、ここまではほとんど完璧なんですよ」

 「……どう言う意味だ?」


 俺の言葉に戸惑ったのか、詠唱がほんの少し遅れる。
 そう、俺の仕事はこれで完璧。
 この少しの時間で充分なんだ。


 「俺一人で後輩くらい倒してやるさ!」

 「残念だけど先輩、これでお終いだよ?」


 そう話すアスラの手には、光の魔法で作られた矢が握られている。
 それを見た先輩は驚き逃げようとするが、時すでに遅し。


 「リヒトプファイル!」

 「グォッ!」


 アスラの魔法、光の矢は逃げようとする先輩に直撃。
 そのまま静かに倒れていった。


 「大樹、ちょっとカウンター確認してみてよ」

 「了解、ちょっと待ってて」


 倒れた先輩に近づき、カウンターを探す。
 ……うん、ゲージはもうないようだ。


 「アスラありがとう、無事に勝てたみたいだよ。フローラもいい作戦だった、お疲れ様」

 「私なんて、皆さんが頑張ったおかげですよ」

 「そうそう、俺たち四人が力を合わせればこれくらい出来るってね。まぁ緊張したけど」


 疲れたって顔をするリッシュは、その場にしゃがみ込み大きく息を吐いた。
 この作戦のスタートだったし、そりゃ緊張するだろうな。


 「リッシュもナイス目眩しだったよ」

 「そうかい? そうだろう」


 すると、アナウンスの音が入る。


 「大会終了じゃ、皆ご苦労様。メーターの残っている生徒はこの後発表と表彰がある。今は少し休んでよいぞ」


 そっか、これで。
 長かったのか、短かったのか。
 終わってみると分からなくなるが、一先ず大会は終了となった。

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