漂流先の魔法世界で生き残りサバイバル!

大吉祭り

あと僅か!

 エン先輩との対決を終えてからしばらく。
 俺たち四人は再び、身を隠しながら移動を開始した。
 エン先輩ほどでなくても、やはり上級生とでは能力が違う。
 そこで、時間制限まで生き残ることを改めて決め、無駄な戦闘を回避することに。


 「え〜生き残っておる諸君、学園長からのお知らせじゃ。今大会も残りわずか、ここからは力を全て使い切るまで頑張ってほしい。以上」


 なんだかんだ、時間はそれなりに経っていたよう。
 俺とリッシュは互いに目を合わせ、小さくニヤリと笑う。


 「残り時間はそんなにないみたい。このままいけちゃうのかな?」


 果敢にも前を行く、我がチームの頼れる女性二人のうちの一人、アスラが笑顔で振り返りながらそんな事を。


 「そうなれば嬉しいけどね。ただ、今のでフラグが立ったりすると……」

 「フラグ?」


 聞き慣れない言葉なのか、アスラが不思議そうな顔をする。


 「フラグとかわからんけど、このまま地味に生き残れればすごい事だぞ! 一年でこの成績なら自慢できそうだ」

 「リッシュの言う通り。ちょっと前までは不安だったけど、今はいける気もしてる」


 リッシュとアスラが、嬉しそうに話している。


 「……」


 ふと、フローラを見ると表情は真剣そのもの。
 最後まで気を緩めるつもりはないんだろう、本当に真面目だなぁ。


 「周りに誰かいそうか? フローラ」

 「……あっ! 大樹さんですか。驚いてごめんなさい。今集中してたところで」

 「いやいや、こっちこそ驚かせてごめん。本当集中してたのに」


 あたふたとするフローラを見ると、なんか少し和むなぁ。
 それは俺以外の二人も感じたらしい。


 「慌てるフローラさん、いつもと違って和みますよ」

 「ほんと、からかいたくなっちゃうね」


 それを聞いたフローラは、静かに顔を少し赤らめた。




 「この辺りにいそうなのか?」

 「ああ、確実にいるはずだ。隠れてないで出てこーい」


 あの後も隠れながらの移動を続けていたわけだが、近くからの声に動きを止めていた。


 「どうやら上の学年の人たちが、魔法で私たちを探してたみたい。探知系の魔法でさ」

 「厄介な魔法だなぁー、フローラさんどうしましょうか」

 「アスラさんの言う通り、探知系の魔法を使ってるみたいです。ですが、そこまで精度は高くないよう……まだ気づかれていないですから」


 フローラの言っている事は、おそらく合っている。
 ただ、このままではいずれ見つかるはず。


 「ならさ、多分最後になると思うし先制攻撃してみる? 全魔力で攻撃すれば先輩相手でも……それに二人みたいだしさ」


 向こうは二人、こちらは四人で確かに有利だ。
 ただし先制攻撃が決まって、かつエン先輩ほどのレベルでなければ勝てると言う厳しい条件。


 「いいですよ、やりましょうか」


 この提案に、一番最初に手をあげたのがフローラだった。
 驚いた俺とリッシュに、フローラは笑顔を見せ。


 「今日は大樹さんが頑張っていたのを見て、私もって思ったんです。だからやりましょう」


 すると、それを聞いたリッシュも小さく手をあげ。


 「確かに、今日俺目立ってないしなぁ。大樹ばかり目立つってのは気持ちよくない。俺も頑張りますよ」

 「二人は賛成ね、大樹くんももちろんオッケーだよね?」


 リスクはある。
 だけど、三人がやる気になってるし正直最後くらいと言う気持ちもある。
 だから、俺の返事は決まっていた。


 「よし、やろう!」

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く