漂流先の魔法世界で生き残りサバイバル!

大吉祭り

修行を思い出せ!

 ついにこの時が来た。
 避けて通れないとわかっていても、人間嫌なことってあるもんだ。


 「それで対決の方法はなんでしょう?」


 ここまでずっと気になっていたことを尋ねてみる。
 するとエンは少し考えるそぶりを見せながら。

 「そうだなぁ、俺は大樹の力を知りたいから方法はなんでもいい。選択肢はそちらにあげよう」


 そう言い渡し黙って俺の方を見つめる。
 正直レベルの差は明らか、こっちに勝機のある選択肢などあるんだろうか。


 「出来る限り急いで決めるといい。他の生徒に見つかる前にな」


 エン先輩は急かすが、未だに決めかねている。
 俺にチャンスがあるとすれば、クリムとの修行を活かせることしかない。
 俺は少し、クリムとの修行を思い出すことにした。




 「立て大樹、まだ疲れてはいないだろう?」

 「いやいや、スタミナモンスターのクリムと比べないでくれ。少し休ませて欲しい」


 放課後の特訓、大会前最後ということでクリムからも気合いを感じる。
 今までのテストのような感じで、時に容赦のない魔法を見せつけられることも。


 「今の大樹は少し前に比べたら魔法が使えるようになっている。とは言え、限られた魔法のみだ。それも威力は低く、実戦では使えないものかもしれない」


 修行中のクリムは容赦がない。
 俺の魔法を分析して、的確な意見を話す。


 「すると、やっぱり対決は厳しいか。何か勝つ方法はないかな?」


 俺の質問に、クリムは腕を組み少し考えた後、これしかないというような顔をして。


 「一つだけ。これも勝てるかは難しいが可能性はあるだろう」

 「ほ、本当にあるの? それって一体」

 「ああ、その一つというのは……」




 俺は、エン先輩に勝てる可能性がある唯一の方法を提案することにした。


 「先輩、今決めました。対決の内容……それは先輩の魔法を一発受け切れるかどうかにします」

 「つまり、俺の魔法を受けて生きるか死ぬかを競うというわけか。でもいいのか? 他の対決なら俺の魔法を受けずに済むかもしれないが」


 確かにこの方法は、絶対に相手の攻撃を受けなければならない。
 でもそれでも!


 「それは承知の上です。ただ正直、先輩と長期戦をしても勝てそうにないです。なら確実に一回、そこに全力を使いたいと考えました」


 俺の言葉に、先輩は少し笑みを見せ。


 「そういう事か。面白い、それで決まりにしよう」


 そう話すと、先輩は魔法を唱え始めるのだった。

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