漂流先の魔法世界で生き残りサバイバル!

大吉祭り

戦いは人数で!

 み、見つかったのか!?
 移動するような物音が止まり、かわりに近くで声が聞こえた。


 「ちょっと〜無視は困るんですけど」


 間違いなく女子の声、それも声量を考えると俺たちへ話しかけているんだろう。
 こうなったら、覚悟を決めるしか……。


 「えっと、あなたは?」


 俺が覚悟を決めて声のした方へ向くと、すでにフローラが話し始めていた。
 今日のフローラは誰よりも男前だ。


 「私実は、あなたたちと同じ学年で隣のクラスなんだけど、さっきチラッと見えて探してたの。今回の大会で相談があって」

 「相談? 一応この大会はクラス別で同学年でもライバル同士なのにか?」


 俺の質問に、目の前の女子はコクリと頷く。


 「私たちのクラス、もう私しか残ってないの。三年生に見つかっちゃって一瞬で攻撃されて……男子二人が頑張ってくれたんだけど、私は隠れるよう言われて」


 やっぱり最上級生はレベルが違うのか。
 魔法の使えない俺はどうすれば……。


 「で、私そのあと考えて。やっぱり先輩たちと戦うには数しかないと! 一年生が三人いても、相手も三人なら勝ち目はない。私たち一年が勝つには、数で勝負するしかないんじゃない?」


 う〜ん、確かにまともな意見かも。
 さっきの爆発も先輩の魔法らしいし、少なくても同じ人数では勝てそうにない。
 それに俺は大した魔法が使えない。


 「つまり、私たちとチームになろうということですか?」


 俺が聞こうとしたことをかわりにフローラが尋ねる。
 すると目の前の女子は少し笑顔を見せ。


 「そういうこと。この大会はまず下の学年が狙われる、そうなるようなルールだからね。でも黙って負けるのも嫌。少しくらい逆らいたくない?」

 「それもそうですね……」


 女子二人の話を聞きながら、ゆっくりとリッシュの方へ視線を向ける。
 なんだろう、今日はやたら目が合うなぁ。

 するとリッシュは近づいてきて、耳元で小さく話しかけてくる。


 「女子の方がかっこいいよな」


 情けないけどその通りだ。
 俺は黙ったまま頷いた。




 話し合いの結果、俺たちはチームを組むことになった。
 正直な話、この提案に反対するメリットが思い浮かばなかったからだ。


 「俺たちは自己紹介したから、次はそっちの番だね」

 「えっと、君はリッシュ君だよね? 私はアスラ。くじ引きで今回大会に参加してます。使える魔法は少ないけど、光を扱ったものが比較的得意。短い間だけどよろしく!」

 「よろしく頼むよ。それにしても、くじ引きとは運がなかったね」


 俺の言葉に、その通りとばかりに肩を落とし落ち込むそぶりを見せる。
 まぁ俺なんか、上級生からの指名なんだけどな。


 「さて、お互いのことは分かったから次は作戦ね。このまま何もしないで隠れてるのは危険だと思う。もう少し周りが見える場所があれば」

 「そうですね、突然攻撃されることは絶対に避けたいです」


 俺とリッシュを置いて作戦会議をする女子二人。
 男として、ここは何かしたいところだが。


 「そう言えばリッシュさん、どんな魔法が得意なんでしたっけ?」

 「ん!? ええっと得意とかはないかな。ある程度使えるけど」

 「そっか〜、ならやっぱり正面からの戦いは厳しいよね」


 男子二人の戦闘力が低い!
 一人は魔法が使えないし、もう一人はまずまず。
 そもそもフローラ頼みのチームだしな。


 「大樹さん、顔色悪いですけど大丈夫ですか? 具合が悪いとか……」

 「いやいや、全然元気だから。今すぐ戦闘してもいいくらいだよ!?」

 「……そうか、なら丁度いい」


 !?
 俺とリッシュ以外の男の声に、全員が固まった。


 「悪いけど、点数稼がせてもらうぞ?」


 これぞ最悪の展開だろう。
 俺とリッシュは同時にため息をついた。

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