漂流先の魔法世界で生き残りサバイバル!
エリの悩み!〜少女の背負う過去〜
中等部での生活六日目。
あれから何時間かエリと一緒に過ごすことで、少しずつだけど分かったことがある。
口調が強かったりするけど、実は気を配ったりもできる。
意外と育ちがいいのかもしれないって思うことがある。
意外とってのは本人には言えないが。
ただまだ、核心的な部分には踏み込めていない。
俺がここにいられる時間にも、限りは存在する。
それでも焦らないのは、そうした瞬間に失敗するということがなんとなく分かっているからだ。
「ねぇ、大樹。魔法使えないって言ってたけど、本当なの? この学園で魔法使えないって、かなり致命的だと思うんだけど」
「うん、本当に魔法は使えないよ。最近はようやく、弱い魔法を少しだけ使える程度で。センスないようだ」
俺の言葉にエリは興味を持ったのか。
「ならさ、授業出たくないって思わないの? 私なら行きたくないって思いそう」
「そうかな? 俺はむしろ、魔法が少しずつでも使えるようになってて嬉しいから、行きたくなるんだよね。それに……」
「それに?」
「俺は運がいいのか悪いのか、いい仲間が沢山出来てね。居心地がいいんだよ」
「居心地……」
俺は少し考えて。
「そう、俺が魔法使えないのを知ってもバカにしたりしないで、むしろ教えてくれたり。変な時期に来た俺にも優しくしてくれるんだ」
エリはいつもと違い、真剣な顔で話を聞いている。
たぶん、自分のことと重なる部分があるんだろう。
エリは少し考えた後、俺に向かって手を差し出して。
「ねぇ大樹。今から来て欲しいところがある。ダメかな?」
真面目な表情でそんな提案をしてきたのだ。
「もちろん、いいよ」
俺はそう返し、エリの手を握る。
すると彼女は目を瞑り……
「テレポ!」
一瞬で目の前が光で見えなくなる。
しかしそれを感じた頃には、すでに別の場所にいるわけで。
「懐かしい魔法だ。エリも使えたんだな」
そう、この魔法はクリムが使ったやつと同じ瞬間移動ができるもの。
便利だから俺も早く覚えたいと思っている魔法だ。
周りを見渡すと、どうやら何かの建物があったであろう、跡地が残っている。
看板のようなものがあるので、何かお店だったのかもしれない。
「なぁエリ、ここには何が……」
言いながらエリの方を見ると、悲しそうな顔をしている彼女の姿があった。
間違いなく、何かあったことはわかった。
わざわざ連れてきてくれたんだ、話してくれるまで待っていよう。
そう考えた俺に、エリはゆっくりと視線を向け。
「あのね大樹。ここには昔お店があったんだよ。私が小さい頃、お母さんが好きで買いに来てて。だけど、今はこんなボロボロに。でもそれはね、私のせいなの」
こうして、エリは衝撃の事実を語り出した。
あれから何時間かエリと一緒に過ごすことで、少しずつだけど分かったことがある。
口調が強かったりするけど、実は気を配ったりもできる。
意外と育ちがいいのかもしれないって思うことがある。
意外とってのは本人には言えないが。
ただまだ、核心的な部分には踏み込めていない。
俺がここにいられる時間にも、限りは存在する。
それでも焦らないのは、そうした瞬間に失敗するということがなんとなく分かっているからだ。
「ねぇ、大樹。魔法使えないって言ってたけど、本当なの? この学園で魔法使えないって、かなり致命的だと思うんだけど」
「うん、本当に魔法は使えないよ。最近はようやく、弱い魔法を少しだけ使える程度で。センスないようだ」
俺の言葉にエリは興味を持ったのか。
「ならさ、授業出たくないって思わないの? 私なら行きたくないって思いそう」
「そうかな? 俺はむしろ、魔法が少しずつでも使えるようになってて嬉しいから、行きたくなるんだよね。それに……」
「それに?」
「俺は運がいいのか悪いのか、いい仲間が沢山出来てね。居心地がいいんだよ」
「居心地……」
俺は少し考えて。
「そう、俺が魔法使えないのを知ってもバカにしたりしないで、むしろ教えてくれたり。変な時期に来た俺にも優しくしてくれるんだ」
エリはいつもと違い、真剣な顔で話を聞いている。
たぶん、自分のことと重なる部分があるんだろう。
エリは少し考えた後、俺に向かって手を差し出して。
「ねぇ大樹。今から来て欲しいところがある。ダメかな?」
真面目な表情でそんな提案をしてきたのだ。
「もちろん、いいよ」
俺はそう返し、エリの手を握る。
すると彼女は目を瞑り……
「テレポ!」
一瞬で目の前が光で見えなくなる。
しかしそれを感じた頃には、すでに別の場所にいるわけで。
「懐かしい魔法だ。エリも使えたんだな」
そう、この魔法はクリムが使ったやつと同じ瞬間移動ができるもの。
便利だから俺も早く覚えたいと思っている魔法だ。
周りを見渡すと、どうやら何かの建物があったであろう、跡地が残っている。
看板のようなものがあるので、何かお店だったのかもしれない。
「なぁエリ、ここには何が……」
言いながらエリの方を見ると、悲しそうな顔をしている彼女の姿があった。
間違いなく、何かあったことはわかった。
わざわざ連れてきてくれたんだ、話してくれるまで待っていよう。
そう考えた俺に、エリはゆっくりと視線を向け。
「あのね大樹。ここには昔お店があったんだよ。私が小さい頃、お母さんが好きで買いに来てて。だけど、今はこんなボロボロに。でもそれはね、私のせいなの」
こうして、エリは衝撃の事実を語り出した。
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