漂流先の魔法世界で生き残りサバイバル!

大吉祭り

魔法の世界で友人を!

 「眠そうだな大樹。ゆっくり眠れなかったのか?」


 教室に入ると、先に来ていたクリムに話しかけられる。


 「まぁ、ちょっとね」


 まさか、魔力があって嬉しかったから眠れなかったとは言えない。
 なんとなく恥ずかしいし。


 「新しい環境だ。慣れるまでにはやはり時間がかかるのだろう。早く安心できるといいな」

 「あ、ありがとな」


 クリムの笑顔を見ると、理由を隠している事がさらに恥ずかしさを増す。


 「大樹さん、おはようございます」

 「おう、フローラか。おはよう」


 なぜか少しモジモジしながら、フローラは挨拶しに来てくれる。
 もしかして、まだ昨日のことを気にしてるのか?


 「……照れ屋さんめ」

 「なっ!?」


 フローラの驚いた顔を少し見られた。



 授業がいくつか終わり、昼休憩になる。
 この学園では、生徒たちの自主性を高めるため午後はほとんど授業がない。

 よって、寮に戻りクエストを行なったり、魔法のトレーニングをするそうだ。


 「なぁ、あんた大樹って言ったっけ。そろそろ学園は慣れたかい?」


 荷物をまとめ帰ろうとした俺を呼び止めたのは、同じクラスの男子で、確か。


 「リッシュだっけ。何か用事があるのか?」

 「用事って言われると特には。ただ、この時期に人が来るのは珍しいからな。気になった事は知りたくなる性格なんだ」


 すごく良くわかる!
 俺だって、その性格が原因でここまで来た。


 「珍しい事なのに、一人は記憶がないときた。そしたらあんたの方にも、何かあると思うだろ? 事情くらい教えてくれよ」

 「特に大きな理由はないよ。魔法使えたらいいなって思っただけ」


 本当のことは言わないほうがいいだろう。
 混乱を招くだけだろうし。


 「なるほどねぇ。ところで大樹、話は変わるけど不思議話はすきか? もしそうなら俺のサークルに来てくれ。不思議を解明したり共有する場所だ。開催は不定期だけど、必ず連絡はするぞ」

 「え、本当にいいのか!? 俺も不思議な話は大好きなんだよ。入れさせてもらおうかな」

 「よかったよかった! 改めまして、不思議解明サークルのリッシュだ。これからよろしく」


 魔法学園にも、俺に似た人がいてよかった。
 と言うよりも、ここまで生活していると特に日本と変わらないんだよな。
 科学なのか魔法なのか、そこが大きく違うけど、生きている人間に差はない。

 特殊だけど、こうして学校もある。
 水は飲むし、物は食べるし、本を読んだりもする。
 ファッションを楽しんだりも。

 気がつけば俺は、この世界に馴染み始めてるのかもしれない。
 ゲームのような、魔法のある世界に。


 「同じ趣味の人間がいてよかったよ。俺は伊藤大樹。こちらこそよろしく」

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く