漂流先の魔法世界で生き残りサバイバル!

大吉祭り

魔力を検査します!

 座学の授業も、非常に興味深かった。
 魔法使いの歴史や、魔法に関するデータ、相性や活用法などを学んだ。

 今までと一気に変わった環境。
 そんな新鮮な世界では、本当に時が経つのが早く感じる。
 その日の授業が全て終わるのは、お昼を少し過ぎた時間だった。


 「二人ともどうだったか?まだ魔法が使えないだろうが、頑張ればある程度はできるようになるだろう」


 そう言ってきたのは、同じクラスのクリムだ。
 席が少し離れているので、授業中は話ができなかった。
 それに、真剣に先生の話を聞いていたし、邪魔はできないだろう


 「実技は全然だけど、座学の方は楽しめたかな。少しゲームの世界に入り込んだみたいだ。特に相性の話は理解できたかな」

 「それは何よりだ。フローラも問題なかったか」

 「はい、皆さんに優しく教えていただけましたし、後は魔法が使えたらと」


 それを聞いたクリムは優しく笑い。


 「二人とも問題なさそうで安心した」


 クリムはそんなに心配してたのか。
 本当に面倒見がいい子だな。


 「そういえば、二人に来てもらうところがある。学園生に行われる、身体検査をしてもらう必要があるのでな」

 「了解。身体検査ってのは、魔力とかも調べられるのか?」

 「よくわかったな。その通りだ」


 昔なんかのゲームでもあったからな。
 魔法世界では、当然だろう。



 クリムに連れてこられた場所は、学園内の魔法訓練室というところ。
 日本の学校で言えば、体育館のような場所だ。


 「それでは、私は依頼があるのでここまでだ。簡単な調査だから、安心して受けるといい」


 そう言って、クリムは魔法で移動していった。

 中に入ると、中心には担任のフィア先生と、学園長が立っている。
 その前には、日本でもよく見る、身長や体重を計るための器具まで用意されている。

 ただ、デカイ水晶玉のようなものまであるが、あれで魔力を調べるのか?


 「二人とも来ましたね。既に内容は聞いていると思うので、早速調べていきましょう」


 言われるがまま、身長と体重を計る。
 そして最後。
 いよいよ魔力の調査だ。


 「これは、貴方達の現在の魔力を調べるためのものです。座学で教えましたが、これは鍛えれば強くすることも可能です。なので低くても、問題はないですよ」


 俺たちのために細かい説明までしてくれる。
 まぁ、記憶のない女の子と、外の世界から来た俺にそこまでの魔力がないのは当然だが。


 「それでは、まずは大樹さんからお願いします。水晶玉に手をかざし、意識を集中してください」

 「わ、わかりました」


 緊張するなぁ。
 言われた通り、水晶玉に両手をかざし目を瞑って集中する。

 ・・・・・・。
 どれくらい時間が経っただろうか。
 恐らく5秒ほどだろうけど、長く感じる。


 「・・・はい、大丈夫ですよ。お疲れ様でした。大樹さん、少ないですが魔力の反応が出ました。全く使えないということはないですよ」


 え!?


 「ほ、本当ですか!?まさか自分に魔力があるなんて」

 「本当ですよ。ただし、本当に少しなんで鍛えていかなければなりませんが」


 俺にも魔力があるのか。
 もしかしたら、人生の中で一番驚いたかもしれない。


 「あ、そう言えば先生。これってどうやって魔力を調べてるんですか?」

 「この水晶はね、特殊な魔力を持っていて、人が持つ魔力に反応するの。その反応なんかから、その人がどの程度魔力を持っているかを判断するんです」


 そんな便利な石があるんだな。
 石にまで魔力があるとか。
 さすが魔法世界だ。


 「それでは次にフローラさん、お願いします」

 「わかりました」


 フローラの表情を見るに、あまり緊張はなさそうだ。
 俺がやったように、両手を水晶に近づけ、目を瞑り集中させる。

 すると、


 「こ、これは!?学園長、この反応は」

 「・・・うーむ、かなりの反応。これほどの能力とは」


 何か、先生達が慌ただしくなる。
 フローラにはすごい力があるのか?


 「フローラさん、もう大丈夫ですよ。お疲れ様でした」

 「ありがとうございました」


 先生の動きが少しおかしい。
 何があったのか聞いてみよう。


 「あの、先生。フローラの魔力がどうかしたんですか?」

 「えーとね、実はかなりの反応を検知したんです。これほどの魔力はそう多くないし、もしかしたらクリムさん以上かも。いずれにせよ、この学園でもトップクラスですね」


 マジかよ!?
 フローラには隠された力が?
 そうなると、本当にフローラは何者なんだ。


 「とにかく、現時点でわかることはこれくらいです。二人とももう用事は終わったので、帰ってもいいですよ」

 「わかりました」


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