君の嘘は僕を救う
2
  考え事をしていると、いつのまにか家の前に着いていた。
  家の中の電気がついている。
  僕はそれを見て少しだけ微笑んでしまう。
  あぁ。帰ってきたんだな。
  良かった。
  ドアを開けると、姉の料理の良い匂いが僕の鼻をくすぐった。
「あら。おかえりなさい」
「ただいま」
  このやりとりが、すごく懐かしくて、すごく嬉しくて。
「…お姉ちゃんも…おかえり」
「うふふ。ただいま。今まで大変な思いさせてごめんね」
「とんでもない。僕はお姉ちゃんが帰ってきてくれるだけで嬉しいよ。夜ご飯、僕が準備するから良かったのに」
「いいのいいの。これくらい…って思ったんだけど」
「まだ病みあがりなんだから料理なんてしなくても」
  僕がそこまで言いかけた時、台所の方から物音が聞こえた。
「実は、料理したの、私じゃないの」
「え、だ、誰?今そこにいるの?」
「ええ」
  急いで台所に向かう。
  そこにいたのは。
「あ、司おかえりなさい!お風呂にする?ご飯にする?それともあた」
「なんでいるの」
「い、いや、お姉さんが病みあがりで大変だと思ったから、お手伝いしに来たんだけど…」
  さっき公園で別れたはずの美乃梨が、エプロンをつけて立っていた。
  美乃梨の料理は美味しい。姉の入院の件もあって、何度かご馳走してもらっているのだが、毎回なかなかの腕前だと感心してしまう。
  とても同い年だとは思えないほどしっかり者だ。
「司さぁ。明日の開港祭のこと、忘れてないよね!?」
「覚えてるよ。鳥居の下だよね?」
「そう!覚えてるならいいんだけど…」
  一度だけ忘れた前科があるせいか、今日は念入りに聞いてくる。
「…咲凜ちゃんは誘わないの?」
  姉は突然言った。
「「え?」」
  僕も美乃梨も、声を揃えて言った。
「誘って…ないなぁ…」
  さっき誘っておけばよかった…。
「そうだね…」
「そう。それなら仕方ないけど。そうだ。2人に言っておかなきゃいけないことがあって」
  一足先にご飯を食べ終わり、手を合わせて「ごちそうさまでした」と言い、その後に僕と美乃梨を交互に見て来た。
「地震が来た時は、すぐに高台に逃げるのよ?」
「ん……?う、うん」
「え、えっと…分かった」
  突然だ。本当に。
「…どうしたの急に」
  地震の話は、できたらしないでほしい。
  ここにいる3人は、皆辛い思いをしているからだ。
「………お姉さん…なんで…?」
  急にそんなことを言うの、と、美乃梨は聞いているような気がした。
  美乃梨が風呂に入っている間。僕と姉は久しぶりの2人の時間を過ごしていた。
「咲凜ちゃん…よね。確か」
  姉が咲凜の話を振って来たのは、そんな時だった。
「咲凜がどうかしたの?」
「あの子でしょ?司の前に突然現れた子って」
「…そうだけど。」
「…仲良くしてあげなさい。あの子は…司のことをとても大事に思ってるから」
  どうして姉がそんなことを言うのだろうか。
「僕は出会った人とはなるべく仲良くしようとは思ってるよ。無理に避けようとはしない。だから、咲凜とも仲良くしてるつもりだけど」
「そのまま、最後まで仲良くしてあげなさい」
  最後まで?
「どういうこと?」
「そのうちわかるわ」
「お風呂ありがとうございまぁーす!」
  タオルを首に巻いて、元気よく出てきた。
「なんか、司の家のお風呂入ったのって何年ぶりだろう!」
「もう高校生なんだから、すこしは気にしなよ…」
  服装が、薄着だから。
「ここ、美乃梨の家じゃないんだよ?」
  どうせ僕がこんな風に注意喚起したって…
「ここはうちの家みたいなもんだよ!ね?お姉さん♪」
  聞く耳なんて持たないから、意味は無いんだけども。
「そうね。ゆっくりしていってもらって構わないわよ。むしろ泊まっていっても…」
「え、えぇ!?」
  いつも。いつもだ。
  こうやって姉が美乃梨を家に泊めてしまうのだ。
  家の中の電気がついている。
  僕はそれを見て少しだけ微笑んでしまう。
  あぁ。帰ってきたんだな。
  良かった。
  ドアを開けると、姉の料理の良い匂いが僕の鼻をくすぐった。
「あら。おかえりなさい」
「ただいま」
  このやりとりが、すごく懐かしくて、すごく嬉しくて。
「…お姉ちゃんも…おかえり」
「うふふ。ただいま。今まで大変な思いさせてごめんね」
「とんでもない。僕はお姉ちゃんが帰ってきてくれるだけで嬉しいよ。夜ご飯、僕が準備するから良かったのに」
「いいのいいの。これくらい…って思ったんだけど」
「まだ病みあがりなんだから料理なんてしなくても」
  僕がそこまで言いかけた時、台所の方から物音が聞こえた。
「実は、料理したの、私じゃないの」
「え、だ、誰?今そこにいるの?」
「ええ」
  急いで台所に向かう。
  そこにいたのは。
「あ、司おかえりなさい!お風呂にする?ご飯にする?それともあた」
「なんでいるの」
「い、いや、お姉さんが病みあがりで大変だと思ったから、お手伝いしに来たんだけど…」
  さっき公園で別れたはずの美乃梨が、エプロンをつけて立っていた。
  美乃梨の料理は美味しい。姉の入院の件もあって、何度かご馳走してもらっているのだが、毎回なかなかの腕前だと感心してしまう。
  とても同い年だとは思えないほどしっかり者だ。
「司さぁ。明日の開港祭のこと、忘れてないよね!?」
「覚えてるよ。鳥居の下だよね?」
「そう!覚えてるならいいんだけど…」
  一度だけ忘れた前科があるせいか、今日は念入りに聞いてくる。
「…咲凜ちゃんは誘わないの?」
  姉は突然言った。
「「え?」」
  僕も美乃梨も、声を揃えて言った。
「誘って…ないなぁ…」
  さっき誘っておけばよかった…。
「そうだね…」
「そう。それなら仕方ないけど。そうだ。2人に言っておかなきゃいけないことがあって」
  一足先にご飯を食べ終わり、手を合わせて「ごちそうさまでした」と言い、その後に僕と美乃梨を交互に見て来た。
「地震が来た時は、すぐに高台に逃げるのよ?」
「ん……?う、うん」
「え、えっと…分かった」
  突然だ。本当に。
「…どうしたの急に」
  地震の話は、できたらしないでほしい。
  ここにいる3人は、皆辛い思いをしているからだ。
「………お姉さん…なんで…?」
  急にそんなことを言うの、と、美乃梨は聞いているような気がした。
  美乃梨が風呂に入っている間。僕と姉は久しぶりの2人の時間を過ごしていた。
「咲凜ちゃん…よね。確か」
  姉が咲凜の話を振って来たのは、そんな時だった。
「咲凜がどうかしたの?」
「あの子でしょ?司の前に突然現れた子って」
「…そうだけど。」
「…仲良くしてあげなさい。あの子は…司のことをとても大事に思ってるから」
  どうして姉がそんなことを言うのだろうか。
「僕は出会った人とはなるべく仲良くしようとは思ってるよ。無理に避けようとはしない。だから、咲凜とも仲良くしてるつもりだけど」
「そのまま、最後まで仲良くしてあげなさい」
  最後まで?
「どういうこと?」
「そのうちわかるわ」
「お風呂ありがとうございまぁーす!」
  タオルを首に巻いて、元気よく出てきた。
「なんか、司の家のお風呂入ったのって何年ぶりだろう!」
「もう高校生なんだから、すこしは気にしなよ…」
  服装が、薄着だから。
「ここ、美乃梨の家じゃないんだよ?」
  どうせ僕がこんな風に注意喚起したって…
「ここはうちの家みたいなもんだよ!ね?お姉さん♪」
  聞く耳なんて持たないから、意味は無いんだけども。
「そうね。ゆっくりしていってもらって構わないわよ。むしろ泊まっていっても…」
「え、えぇ!?」
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  こうやって姉が美乃梨を家に泊めてしまうのだ。
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