君の嘘は僕を救う
3
…だい……ぶ……?
……けが……い……?
………よか…………!
「っ……!」
  朝。
  私はベットの上で勢いよく上体を起こす。
  久し振りにこの夢を見た。
  ん?久し振り…?
  ぼんやりとしていて、今はもう思い出せない。なのに、なぜそんなことが言えるのか。
  …不思議だ。
  『ここ』に来てから、夢の中にいるような感覚に陥っている。一番の原因は、不慣れな環境。私が住んでいた場所とは大違いなここの文化に、私は慣れるのに精一杯だった。あとは、彼の存在だ。私と彼は本来なら会うはずのない存在。いや、会う運命ではあるのだが、こんな形では、会わないはずなのだ。
「……早起きしちゃった…」
  集合時間まではまだ3時間もある。
  もう一回寝ると、今度は寝坊してしまう気がしたので仕方がなく起きることにした。
「………痛っ…」
  突然、頭に痛みが走る。
  まるで電気が流れたかのように、ビリっと。
  あぁ。時間がない。
  早くしないと…。
  改札というものが何なのかが分からない。駅の入り口にある機械のことなのだろうか。
  私は不安になり、早めにホテルを出ることにした。
  駅に着くと、「改札口はこちら」という親切な看板があり、すぐに「改札」というものの近くに行くことができた。
  やばい。集合時間より1時間も早く着いちゃった。
  なにもすることがない私は、父からもらった手帳を開いた。
  なるほどなるほど。
  1時間も早く来てしまったのは間違いではないのかもしれない。
  手帳を見て予習。
  緊張で手が震える。
  こんな調子じゃ、今日一日楽しむことができないじゃないか。
  自分に喝を入れながら手帳を読み進めていると、30分くらいの時間を潰すことができた。
  ゆっくりと、手帳を閉じる。
  司が来るからだ。
  確か、こっちの方から来るはず…。
  体を反対方向に向けると、遠くからゆっくりと歩いて来る司の姿が見えた。
「おはよ〜!」
「おはよう。早いね」
「うん!早起きしちゃってね…あはは」
  うん。嘘は言っていない。
「…まだ、開かないよね?」
「ん?何が?」
「…遊園地」
「え!?そうなの!?」
  やってしまった。開場時間を調べておくべきだったのかもしれない。
「知らなかったんだ」
「全く知らなかった!じゃ、ここで座って話そうよ!あ、その前にトイレ行きたい!」
  私が帰って来ると、今度は司がトイレに向かった。
  ベンチで一人、私はポツンと取り残された。
「うっ…!!」
  まただ。この痛み。今度は今朝よりも強い。頭が割れるように痛くなり、鼻血が出始めてしまったところを見て、私は残された時間が少ないということを改めて実感する。
  ティッシュで鼻を拭き、腕時計を起動する。
  ピコンという機械音を合図に、目の前に画面が映し出された。
『2017.06.09』
『08.50』
  あと3日……か。
  こんなに穏やかな時間を過ごせるのもあと僅か。私の二つ目の大仕事が始まってしまう。
「はぁ…」
  カウントダウンが始まったタイマー機能を見て、私は大きくため息を吐いてしまった。
「具合でも悪いの?」
  気がつけば、私の隣には司が座っていた。
……けが……い……?
………よか…………!
「っ……!」
  朝。
  私はベットの上で勢いよく上体を起こす。
  久し振りにこの夢を見た。
  ん?久し振り…?
  ぼんやりとしていて、今はもう思い出せない。なのに、なぜそんなことが言えるのか。
  …不思議だ。
  『ここ』に来てから、夢の中にいるような感覚に陥っている。一番の原因は、不慣れな環境。私が住んでいた場所とは大違いなここの文化に、私は慣れるのに精一杯だった。あとは、彼の存在だ。私と彼は本来なら会うはずのない存在。いや、会う運命ではあるのだが、こんな形では、会わないはずなのだ。
「……早起きしちゃった…」
  集合時間まではまだ3時間もある。
  もう一回寝ると、今度は寝坊してしまう気がしたので仕方がなく起きることにした。
「………痛っ…」
  突然、頭に痛みが走る。
  まるで電気が流れたかのように、ビリっと。
  あぁ。時間がない。
  早くしないと…。
  改札というものが何なのかが分からない。駅の入り口にある機械のことなのだろうか。
  私は不安になり、早めにホテルを出ることにした。
  駅に着くと、「改札口はこちら」という親切な看板があり、すぐに「改札」というものの近くに行くことができた。
  やばい。集合時間より1時間も早く着いちゃった。
  なにもすることがない私は、父からもらった手帳を開いた。
  なるほどなるほど。
  1時間も早く来てしまったのは間違いではないのかもしれない。
  手帳を見て予習。
  緊張で手が震える。
  こんな調子じゃ、今日一日楽しむことができないじゃないか。
  自分に喝を入れながら手帳を読み進めていると、30分くらいの時間を潰すことができた。
  ゆっくりと、手帳を閉じる。
  司が来るからだ。
  確か、こっちの方から来るはず…。
  体を反対方向に向けると、遠くからゆっくりと歩いて来る司の姿が見えた。
「おはよ〜!」
「おはよう。早いね」
「うん!早起きしちゃってね…あはは」
  うん。嘘は言っていない。
「…まだ、開かないよね?」
「ん?何が?」
「…遊園地」
「え!?そうなの!?」
  やってしまった。開場時間を調べておくべきだったのかもしれない。
「知らなかったんだ」
「全く知らなかった!じゃ、ここで座って話そうよ!あ、その前にトイレ行きたい!」
  私が帰って来ると、今度は司がトイレに向かった。
  ベンチで一人、私はポツンと取り残された。
「うっ…!!」
  まただ。この痛み。今度は今朝よりも強い。頭が割れるように痛くなり、鼻血が出始めてしまったところを見て、私は残された時間が少ないということを改めて実感する。
  ティッシュで鼻を拭き、腕時計を起動する。
  ピコンという機械音を合図に、目の前に画面が映し出された。
『2017.06.09』
『08.50』
  あと3日……か。
  こんなに穏やかな時間を過ごせるのもあと僅か。私の二つ目の大仕事が始まってしまう。
「はぁ…」
  カウントダウンが始まったタイマー機能を見て、私は大きくため息を吐いてしまった。
「具合でも悪いの?」
  気がつけば、私の隣には司が座っていた。
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