君の嘘は僕を救う
3
「ここにいたのかぁ…反対側に行っちゃったよ」
  息を切らしている咲凜は僕をみて苦笑いをする。
  …反対側?
「今日は公園に来なかったんだね」
「ちょっと色々あってね。本を読んでる場合じゃなくなったんだ」
  もしかして、咲凜は公園で待っていたのだろうか。
「この子、誰?」
  僕の隣で咲凜を見ていた美乃梨の顔には「?」が浮かんでいる。
「あぁ、えっと…公園で会った、例の子」
「あ!この子が!」
「初めまして。咲凜って言います。司と………同い年。よろしくね」
  なぜか少しだけ顔を赤くしながら言った。
「咲凜ちゃん、ね。美乃梨です。よろしく」
「み、美乃梨…ちゃん……?」
  咲凜は美乃梨の名前を聞いた途端、目をギョロッと見開いた。
「うちがどうかした?」
  再び「?」が顔に浮かび上がる。
「い、いや、なんでもない」
  咲凜の顔色が心なしか明るくなっている気がする。
「…かわいいね」
  咲凜が突然言った。
「ふぇ?」
  突然の褒め言葉に、美乃梨は魔の抜けた声を出してしまう。
「すごく可愛い!」
「えっと…ありがとう」
  恐らく、咲凜は誰にもこんな感じで初対面からグイグイと前に行くタイプの人なのだろう。
  全く、僕とは大違いな人だ。
「あ、やばっ…もうこんな時間…うち、親にはやく帰れって言われてたから帰るね!」
  美乃梨のスマホには「6時30分」と表示されていた。
「また明日」
「うん!また明日!」
「………」
  僕と美乃梨のいつも通りの挨拶を、咲凜は不思議そうな顔で黙って見ていた。
「…どうしたの?」
「…2人って付き合ってるの?」
「へ?」
「いや、だってすごく仲良さそうだったから…」
  男子と女子が仲良くしていたら、必ず付き合っているというわけではない。と心の中で定義を置きながら咲凜には
「付き合ってないよ」
と簡単に答えた。
「そっか、まだだよね」
  咲凜の茶化す言葉がボソッと聞こえたが、僕はその言葉は聞かなかったことにする。
「明日、ちょっと一緒に行きたいところがあるんだけど…平気?」
  来た。記憶探しの案件だ。
「いいけど、学校終わったら先に病院に行きたいんだけど」
「あ、お見舞いね」
「そうそう…って、なんで分かったの?」
「いや、なんとなくだけど?」
「…そう。お姉ちゃんが入院してるんだけど、今、あまり体調が良くなくてさ」
「そっか…。ねえ。私も行ってもいい?」
「え……?」
  もしかして、僕の姉とも知り合いなのだろうか。
「なんで?」
「公園による暇がないのなら、病院で合流しちゃえばいいじゃん」
「あ、あぁ…そう言うことか。まぁ、構わないよ」
「そういうのは『いいよ』でいいんだよ。堅物くん♪」
「……え?」
  美乃梨とそっくりな言葉を言われ、驚いた。2人はどこか似ている気がする。
  特に、僕を「堅物くん」と呼ぶところが。
「…いいよ。お姉ちゃんには会う?」
「……うん」
  なぜか、一瞬の間が空いてから返事が来た。咲凜は下を見るだけで、僕と目を合わせようとはしない。
「分かった。ほら、今日はもう暗いからかえ…」
  僕はそこまで言うと、ある疑問が頭に浮かび、言葉が出なくなった。
  僕が学校を出て、近くの病院に行く時、そこで彼女が待っている。一見普通の流れに見えるが、そうではない。
  彼女の学校はどうしたのか。
  僕の都合に合わせて病院に来るのは、彼女が学校を早退しないと不可能だ。
「…あのさ、君って、どこの学校に通ってるの?」
「……っ」
  意表を突かれたような表情をする咲凜を見て、やはりこの子には何か秘密があると確信した。
「まぁいいや。個人情報だしね。じゃ、また明日」
  気にしていないように振る舞い、彼女に別れを告げる。
「う、うん。また明日」
  焦りが残っているような挨拶を返され、その日の僕達の会話は終わった。
  息を切らしている咲凜は僕をみて苦笑いをする。
  …反対側?
「今日は公園に来なかったんだね」
「ちょっと色々あってね。本を読んでる場合じゃなくなったんだ」
  もしかして、咲凜は公園で待っていたのだろうか。
「この子、誰?」
  僕の隣で咲凜を見ていた美乃梨の顔には「?」が浮かんでいる。
「あぁ、えっと…公園で会った、例の子」
「あ!この子が!」
「初めまして。咲凜って言います。司と………同い年。よろしくね」
  なぜか少しだけ顔を赤くしながら言った。
「咲凜ちゃん、ね。美乃梨です。よろしく」
「み、美乃梨…ちゃん……?」
  咲凜は美乃梨の名前を聞いた途端、目をギョロッと見開いた。
「うちがどうかした?」
  再び「?」が顔に浮かび上がる。
「い、いや、なんでもない」
  咲凜の顔色が心なしか明るくなっている気がする。
「…かわいいね」
  咲凜が突然言った。
「ふぇ?」
  突然の褒め言葉に、美乃梨は魔の抜けた声を出してしまう。
「すごく可愛い!」
「えっと…ありがとう」
  恐らく、咲凜は誰にもこんな感じで初対面からグイグイと前に行くタイプの人なのだろう。
  全く、僕とは大違いな人だ。
「あ、やばっ…もうこんな時間…うち、親にはやく帰れって言われてたから帰るね!」
  美乃梨のスマホには「6時30分」と表示されていた。
「また明日」
「うん!また明日!」
「………」
  僕と美乃梨のいつも通りの挨拶を、咲凜は不思議そうな顔で黙って見ていた。
「…どうしたの?」
「…2人って付き合ってるの?」
「へ?」
「いや、だってすごく仲良さそうだったから…」
  男子と女子が仲良くしていたら、必ず付き合っているというわけではない。と心の中で定義を置きながら咲凜には
「付き合ってないよ」
と簡単に答えた。
「そっか、まだだよね」
  咲凜の茶化す言葉がボソッと聞こえたが、僕はその言葉は聞かなかったことにする。
「明日、ちょっと一緒に行きたいところがあるんだけど…平気?」
  来た。記憶探しの案件だ。
「いいけど、学校終わったら先に病院に行きたいんだけど」
「あ、お見舞いね」
「そうそう…って、なんで分かったの?」
「いや、なんとなくだけど?」
「…そう。お姉ちゃんが入院してるんだけど、今、あまり体調が良くなくてさ」
「そっか…。ねえ。私も行ってもいい?」
「え……?」
  もしかして、僕の姉とも知り合いなのだろうか。
「なんで?」
「公園による暇がないのなら、病院で合流しちゃえばいいじゃん」
「あ、あぁ…そう言うことか。まぁ、構わないよ」
「そういうのは『いいよ』でいいんだよ。堅物くん♪」
「……え?」
  美乃梨とそっくりな言葉を言われ、驚いた。2人はどこか似ている気がする。
  特に、僕を「堅物くん」と呼ぶところが。
「…いいよ。お姉ちゃんには会う?」
「……うん」
  なぜか、一瞬の間が空いてから返事が来た。咲凜は下を見るだけで、僕と目を合わせようとはしない。
「分かった。ほら、今日はもう暗いからかえ…」
  僕はそこまで言うと、ある疑問が頭に浮かび、言葉が出なくなった。
  僕が学校を出て、近くの病院に行く時、そこで彼女が待っている。一見普通の流れに見えるが、そうではない。
  彼女の学校はどうしたのか。
  僕の都合に合わせて病院に来るのは、彼女が学校を早退しないと不可能だ。
「…あのさ、君って、どこの学校に通ってるの?」
「……っ」
  意表を突かれたような表情をする咲凜を見て、やはりこの子には何か秘密があると確信した。
「まぁいいや。個人情報だしね。じゃ、また明日」
  気にしていないように振る舞い、彼女に別れを告げる。
「う、うん。また明日」
  焦りが残っているような挨拶を返され、その日の僕達の会話は終わった。
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