先生! その異世界小説、間違いだらけですやん!

執筆用bot E-021番 

なぜ、異世界の言語を理解できるのか?

 酒場を出た。
 石畳のストリートが伸びている。



 オレと先生はその道を歩いた。



 先生は魔法使いらしく黒いローブを着ていた。裾が地面をスっているが、気にしていないようだ。



 見た限り、この世界の人たちはおもにブリオーと言われる服を着ているようだ。ワンピースみたいに上と下がつながっているものだ。



 たしか中世のヨーロッパで一時期使われていた服装だ。オレの着ている学生服はこの世界観にあんまりにも似つかわしくない。そのせいか、やたらと視線を感じる。いちおう布の服をもらってはいるが、この貧相な服に着替えるのは気が引ける。



「この世界はどれぐらいの文化レベルを持ってるんでしょうか。見た感じでは、電気とか水道は通ってないみたいですね」



 明かりはおもに、ロウソクを頼っているようだ。城の中のシャンデリアにも、ロウソクが使われていたのを覚えている。



 広場には給水泉なるものもあった。中世ヨーロッパでおなじみの、生活用水の補給場所だ。他にも水売りと言われる人たちもいた。山や川から水を汲んできて、都市で売っているようだ。



「13世紀ごろのヨーロッパといった案配かな。戦闘機やら戦車やらがあったら、それで魔王を倒せということになってしまうだろう」



「魔王を倒すために、それぐらいは開発しようとしたら、ええと思いますけどね」



 勇者1人に頼るよりかは、そっちのほうが現実的だろう。



「そんなこと言ったら、お話にならんであろうが」



「突っ込んだら、あかんところですかね」
「あかんところなのだ」



 勇者に頼る前に、軍隊を編成して魔王を倒せと思う。今の文化レベルでも攻城兵器ぐらいはあるだろう。どう考えても勇者なんて必要ない。そこも突っ込んではいけないのだろう。



「あと、異世界っぽくするために、人間だけでなく、ケモミミ族とエルフ族を登場させてみたのだ」



 たしかに行き交う人の中には、動物の耳を生やしていたり、顔だけトカゲのヤツもいる。さっき酒場にいた店員も猫耳を生やしていた。耳がツンととがっている色の白い美少女は、きっとエルフだろう。



「言語はどうなんですか?」



「言語?」
 と、先生はとぼけたような顔をした。



 そういう無防備な表情をすると、オレと同じぐらいの年齢の女子にも見えてくる。



「これだけ種族がいたらコミュニケーションが大変でしょう。っていうか、オレは異世界人やないですか。なんで言葉が通じるんです?」



 先生は首をひねって、目を泳がせた。



「それはまぁ……。魔法か何かで通じるんだろう」



 この人、ゼッタイ言語のこと考えてなかったな。



「主要言語は日本語なんですかね?」
「いや。サタンベルク語だ」



「でも、オレそんな世界の言葉、しゃべれませんよ」
「魔法で上手いことなっているのだ」



「それ、どういう魔法なんです。言語が通じるってことは、脳みそイジってるんですよね? 人間の脳みそをイジる魔法が一般的に使われる世界とか、怖すぎません?」



 先生はオレの頬に手を当ててきた。
 何をするのかと思うと、グイグイと左右に引っ張ってくる。



「いちいち細かいことを言うのは、この口かッ。言語なんてもんは、魔法でなんとかしなければならんのだ」



「いひゃい。いひゃいですって」
 頬がパン生地みたいに左右に伸ばされる。



「だいたい異世界人が言語を覚えるなんてムリだ。わかるだろ。日本人が英語を使えるようになるまで、中学高校と6年以上かけて勉強しているんだ。それでも大方の人間はしゃべれないのだ。英語ですら、それだ!」


「ひゃい」


「それが異世語だぞ。ピピピとか、ポポポとかしゃべってるに違いないのだ。魔法以外で、どう理解しろと言うのだッ」



「でひゅよね。わかりまひた。わかりまひたから」
 ようやく頬から手が離れた。



 先生はドラゴンみたいに、ふーふーと荒い息を吐いていた。この人は大人っぽい気品を備えている。が、それは外見だけだ。言動には稚拙さがある。だから高校生であるオレと友達のように付き合えるのかもしれない。



「お約束というものを理解したまえ」
「はい」



 頬が痛い。でも、先生の指の感触が残っているのは、チョットうれしい。Mとかそういうことじゃなくて、先生の美貌はゾクゾクさせるものがあるのだ。


 
 都市の周囲は、堅牢な石の城壁によって囲まれていた。戦争のために設けられたものだろうか?


 いや。



 モンスターがいる世界だ。モンスター対策として造られたのかもしれない。

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