LINE 弁護士

奥嶋光

鈴本LINE弁護士

あれからどうなったかというと。示談の1ヶ月後位に少年審判があり、保護観察処分になったようだ。
ちょうど秋で私達の住む町では木々が色づいていた、鈴本とは示談以降連絡は取っておらず少年審判の結果も家庭裁判所からの通知で知った。
少年審判の結果を知った秋に、もうLINEでやり取りする事もないだろうと思った私は鈴本の公式アカウントを友達リストから削除する事にした。
もう終わった事だしね、しかし奴には奇妙な感情があった。
やり合う中で好敵手のような認め合う感情が芽生えた、親近感というかなんというか友達みたいな感じか。
分かりやすく言ったら番長同士喧嘩したら仲良くなっちゃったみたいな感情だった。
しばらくiPhoneとにらめっこしながら親指が震える、プルプル。
えいっ!親指を滑らせてタップすると、あっさり削除できてしまった。
鈴本公式アカウントが無くなると急に寂しさが押し寄せた、もう終わったんだ…。



それから月日は流れ早いもので、あの事件からもう一年が経とうとしていた。
私もそこそこ忙しい日々に追われ、嫁も落ち着いて日常を取り戻していた。夫婦2人で笑顔の日々を過ごせていた。
夏前に事件発生し、色々な交渉を経て夏が終わる。
少年審判があった秋が終わり、冬が訪れその年も終わった。
年が明けての初詣では、今年はトラブルもなく平穏な日々を過ごせますようにと願掛けをしたりした、そして今に至る。
そのせいもあってか年が明けてからは大きな災いもなく平和に暮らしていた。
実感した事が1つある。深刻なトラブルとかは嫌だが、多少のトラブルは日々のスパイスになるという事。
トラブルが起こればそれを解決する為に動いたり考えたりする、そうする事で経験値が増える。
嫌な目に会った事で平和を凄くありがたく感じるかもしれない。
同じ日々が続けば全てが当たり前になり、漫然と傲慢さが出てきてしまうのかもしれない。
楽あれば苦あり、苦あれば楽あり。私はそんな言葉を思い返していた。
実は今私は私的なゴタゴタを抱えていた。
そんな折、アイツを思い出した。鈴本だ、確か以前送ってきた書類にLINE ID書いてあったな。
家の引き出しを開けながら一応保管しといた書類を探す、有った有ったこれだ。
やっぱりLINEのIDも書いてある、連絡してみようかな。ちょっとドキドキしてきた。
昔ナンパした女とか、連絡先交換した女に久しぶりに連絡してみるのってこういう気分なのかなと思った。
意を決して私はLINEしてみた。

私・お久しぶりです、【私の姓】と申します。去年の夏頃少年事件の被害者側として連絡を取っていたのですが。覚えてますか?

ポッ。待つとしよう。
しかしすぐ連絡は来ない、1時間2時間…。
あれっ?なかなか来ないな既読になってるのに。
私は忘れられてしまったのかと少し不安になった、すると。
iPhoneが鳴った、アイツであってくれ!そう思いながらLINEを開くと。

弁・お久しぶりです!覚えてますよー
弁・どうしたんですか?法律相談とかなら一度私の事務所に遊びに来て下さい^_^

相変わらずSNS上ではテンションアゲアゲなアイツであった。(笑)とうとう会えるのかと思うとまた1つ楽しみが増えたと思う私だった。

〜完〜

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