LINE 弁護士

奥嶋光

決着

鈴本のLINEを既読スルーしてから半月位経った頃、鈴本からLINEが届いた。

弁・20万追加で用意できました!示談書書いて頂きたいんですけど、画像送るのでご確認お願いします。

久しぶりに届いたメッセージは前より堅苦しく感じた、既読スルーが影響してるのか。

弁・【示談書の画像】
弁・【20万並べた画像】

あっ、また現金並べたやつだ。以前も送られてきたのを思い出した、そして私は示談書の内容をiPhoneの画面で引き伸ばして、良く読んだ。
まあ、これでいっか。嫁に交渉の全権を委ねられてる私は帰宅してから事後報告する事にした。
実は前回鈴本のLINEを既読スルーしてから数日後に40万が嫁の口座に振り込まれていた。
示談書をやり取りする際にまとめて60万振り込むのかと思っていた私達は対応の早さに安心した。

私・久しぶり!示談書の内容確認したんで郵送して下さい。入金確認してからすぐ郵送するんで、入金したらLINEで教えて下さい!
私・【指立ててる定番のスタンプ】

これでやっと片付くとホッとした私は親しみを込めてLINEした、しかもスタンプ付きで。ポッ ポッ。

弁・【何かのキャラクターがありがとうと言ってるスタンプ】

スタンプで返された、ファーストコンタクトは荒れたとはいえ今はもう私と鈴本の間に信頼感さえあるような気がした。
翌日速達で届いた、LINEで入金しましたと連絡も来た。
私は嫁に示談書を書いてポストに投函するよう指示する。
それから数日後、私達夫婦は温泉旅行に出掛けた。目的は嫁の心の平穏を取り戻す為だ、場所は群馬県の高所に有る天空の秘湯。
久しぶりの温泉旅行で嫁は喜んでいた、温泉に浸かって夕飯を食べて夜バーカウンターで2人で酒を飲みながら今回の事を振り返る。
事件発生から3ヶ月程たってようやく賠償は済んだ、これから加害少年は少年審判(成人でいう裁判)をする。
初犯で非行歴も無く被害者と示談が住んでいるので、少年刑務所や少年院に行く事無く保護観察処分で家に帰れるとの事。
そうなると、しばらくは保護司と週に何回か面談をしながら日常生活を送れるらしい。
私は10代に不良をしてた訳じゃないので、このような鑑別所、少年院、少年審判というのは映画とかドラマでしか見たようなイメージしかなかった。
まさか私達夫婦が被害者という形で関わってしまうとは、思い出しても嫁が殺されたり大怪我をしなくて良かったと思う。
しかし賠償も済んだので、後は少年審判が終わり家に帰れたら加害少年には真っ当な生き方をして欲しいと思っている。
あの泣きながら私達夫婦に謝ったお母さんの為にも、あんなに泣いてくれた親がいるおまえは決して1人じゃないんだ。
そう思いを馳せながら私達は天空の秘湯で心身の疲れを癒した。

「LINE 弁護士」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「コメディー」の人気作品

コメント

コメントを書く