LINE 弁護士

奥嶋光

私を通して

加害者の実家に直接電話した翌日の夕方、鈴本からLINEが来た。

弁・前にもLINEしたと思うんですけど直接やり取りはしないで頂きたいのです、私が代理人ですので。気軽にLINE下さい。

やっぱ来たなと思った。昨夜夫婦で話し合った結果、母親が落ち込んでいるのが声から感じたので折り合いをつけて和解の方向で話を進めようという事になった。
息子を思う母の気持ちに免じてあげたくなった、しかし簡単には許すつもりはない。
今回の事でご両親は可哀想だと思うが、加害者である息子には痛い思いさせなくてはいけないと思った。
その上で更生して欲しいというのが私達夫婦の考えだ、少年であるが故に大した処罰はされず痛い思いを味わなければまたやるかもしれない。
某女優の何回も覚醒剤で捕まっている息子はきっと痛い思いをしていないから罪を繰り返すのだと思う。
覚醒剤は依存するとはいえ、出所して母親に金せびって楽して、痛い思いをして後始末をせずにきたからこうなったのだろう。
私も随分と昔にスピード違反の赤切符2回立て続けに食らった事があった。罰金は6万、6万で計12万円。それと免停講習に2回行った、この時は凄く痛い思いをした。
今こうやって書いてみると自業自得で馬鹿な事をしたもんだと思うが、その時痛い思いをしたせいでもう絶対にスピードは控えて安全運転しようと決めたキッカケになった。
なので私はこう返した、ポッ ポッ。

私・どうしても直接話してみたくて。とりあえず40万は貰っておきますけど、示談書は書きません。
私・60万ならいーよ。

弁・分かりました!伝えておきます。直接の何を話したんですか?

鈴本のテンションが少し上がったのを感じた、示談のめどが立ったからだろう。

私・どんな親か知りたかったし、今どんな気持ちでいるか聞きたかったからだよ。
私・お母さんだいぶ落ち込んでたね、どんな感じの親御さんなの?

私は聞いてみた、ポッ ポッ。

弁・お父さんは不器用そうで寡黙な感じで、お母さんは控えめな感じの優しそうなお母さんでした。
弁・お母さんの方は憔悴してる感じでした、なんとか賠償金用意するよう伝えておきますから!

よく依頼人の状態をそこまで明かしたな。(笑)
一区切りついたと思った私は鈴本自身の事に聞いてみようと思った。

私・LINEでやりとりするのっておもしろくて便利だなと感じたんですけど、いつからLINEでやり取りするようになったんですか?

弁・去年の春事務所開業したんですけど、外出する事が多くって。出先でも電話出来る時って限られるじゃないですか。だから夏前にはLINEでも良いよって言ってくれた人にはそうするようにしました。
弁・メッセージだと空いてる時間で観れるし、和解書とか示談書の内容確認するのにも画像で送れば郵送とかより早くやり取りできますから!

私・確かに、書類やり取りは郵送で何往復もすると時間の無駄だよね、効率良いと思う。
私・LINEでやり取りしても良いですかって聞いてどれ位の割合で許可してくれるの?

弁・統計取った事ないんで私の感覚値ですけど、依頼人8割、相手3割といったところですね。
弁・何でそんな事聞くんですか?

私・おもしろいから気になってね。依頼人8割は今のLINE普及率考えたら、それ位になりそうだけど相手3割は低く感じるね。

弁・そうですね〜  相手の場合は敵対感情がある場合が多いですからね。
弁・もっと相手方とLINEで交渉できたら効率化できるんですけどね。

私・LINEアカウントに公式ってあるんですけど、非公式もあるんですか?後、プライベートは別にあるんですか?

弁・非公式は無いですw
弁・業務用携帯で公式アカウントが1つ、私用携帯でプライベートアカウントを1つもってます。

wってネットで遊んでるんじゃねえんだぞ、大人のやり取りで使うなよ(笑)と思いながらニヤついてしまった。
ちょっとふざけたくなった私は聞いてみた。

私・弁護士ってモテそうだけど、鈴本さんって彼女いるの?

弁・何ですかイキナリw  いるようないないようなって感じですね。

女かお前は。(笑)乙女チックな奴だと思いながら聞いてみた。

私・鈴本さんってネットとかSNS上ではキャラ変わるって言われるでしょ?

思い切って聞いてみた、ポッ。

弁・言われる事あります、私はシャイで不器用な性格なんだと思います。

よくそんな性格で弁護士なんかやろうと思ったなと私は思った。自分から聞いておいて恋バナを振ったけど、急に面倒臭くなった私はそのまんま既読スルーした。
早く帰宅して夕飯食いたくなった、あー腹減った。
私はこのLINEのやり取りを嫁に話してやろうと家路についた、今夜の夫婦の会話トップニュースだ。
腹が減った私は嫁に今夜の夕飯をメールで聞くとハンバーグだよと返信が来た。
よっしゃ、早く帰ろうっと。

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