腹下したせいで1人異世界転移に遅れてしまったんですが 特別編 〜美少女転校生と始める学園生活〜

けん玉マスター

25話 単純な生き物すなわち男

「お、おかえり。優。ミーシェの怪我は大丈夫だったんだな。」
「え?あ…ああ。消毒して絆創膏貼るだけで済んだよ。」
「まあ無事でよかったよ。それよりもそろそろ男子の学年種目だぞ?」
「…」
「優?」
「え?ああ…そうだな…。棒倒しだよな。」
「そうだが…大丈夫か?」
「え?…なんで?」
「さっきから上の空じゃないか…。何かあったのか?」
「ちょ…ちょっとな…。」
優はミーシェの方に目をやる。
ミーシェは楽しそうに花園と話をしていたが途中でこちらに気づく。
「っ…!」
ミーシェは顔を赤くして目を逸らした。
(あいつ…


…自分でやっといて顔赤くしてんじゃねえよ!!)



(ダメだぁぁー!!ユウと目も合わせられないよ〜!)
ミーシェは手で顔を覆い蹲る。
「ミーシェさん?大丈夫ですか?」
「う、うん!気にしないで!大丈夫!」
「?…そうですか…。それよりもそろそろ男子の棒倒しが始まりますよ。」
「そうだね!」


「なあ陸…。」
「どうした?」
「棒倒しってやっぱり上裸にならないとダメだよな?」
「まあ…そうだろうな。」
優と陸は入場門で話す。
他の生徒達は着々と着替えをしていた。
「俺…自分の体そんなに見られたくないんだよね。」
「僕もだ。見られたい奴なんて…あいつぐらいだろ…。」
陸は女子が集まっている場所を指さす。
「すごい腹筋…流石は天城くん!」
「きゃー…!」
桃色の歓声が聞こえる。
「ふっ…まあそれほどでもないさ。」
そんなことを言っているが天城は筋肉を強調するようなポーズをとる。
「あれは…草…。」
「草?」
「ああ…草生えるわ。」
「そ、そうだな…草。」
そんな話をしていると天城はこちらに気づき近づいてくる。
「お前達も服を脱いだらどうなんだ?」
「…そうだな…。」
「ま、棒倒しだし仕方ないか…。」
そう言って優は服に手をかける。
「な…え?は?藤山…その体は…!」
優の体はその化け物じみた運動神経に釣り合うようなムキムキの筋肉だった。
綺麗に割れた腹筋に、細身の体には十分な胸筋。
「あんまり…見られたくないんだけどな…。」
「相変わらずすごい筋肉だな…」
「それよりも棒倒しだろ?敵チームはどんなやついんの?」
「一番の脅威は…相撲部の土須故井どすこいだろう。」
陸が指さす先にはどっしりとした体に髷のある男子生徒を指さし言った。
「マジか…。てかその名前…相撲やるために生まれてきたようなもんだな…。」
何も無いように話をしているがかなり注目されている。


「ミーシェさん、藤山さんいましたよ。」
「どれどれ!あ…いた…。」
「…すごい筋肉ですね…。」
「うん!優凄いんだよ?」
「そうですか…。」
「よーし…ユウ〜!」
ミーシェは大きな声で優に呼びかける。
優はミーシェに気づきこちらを向く。
「頑張って〜!」
優は一瞬驚いた顔をするが直ぐに笑顔になり手を振り返した。


(ミーシェの…応援…。)
「優?」
陸が心配そうに伺う。
「ちょっと本気出すか…。陸は眼鏡取れよ。」
「そうだな…。そろそろ始まるしな。」
陸は眼鏡を外し、ケースにしまう。
「あ…やば…。」
「優?どうし…」

「え?あの人かっこよくない?!」

上級生の女子からそんな声が聞こえた。
その声は瞬く間に広がり皆が陸に視線を集める。
「な、なんだ…?」
「はあ…忘れてた…。」
「?」
始まる前に色々あったが、ついに棒倒しが幕を開けた。


開始の合図とともに男子生徒達は一斉に走り出した。
ちなみに優と陸は守りである。
「お、おい…あれ…やばくねえか?」
「そ、そうだな…。」
敵チームから土須故井が牛のように突進してきた。
数人の男子生徒をまとめて吹き飛ばす。
「おいおい…冗談だろ…?」
優と陸は構える。
(やべえな…あれは流石に…。)
そんなことを考えているうちに土須故井が2人の元に突進してくる。
ガッ…!
肉と肉のぶつかり合う音。
優と陸は二人がかりで何とか止めることには成功した。
…が。
「っ…ぐっ…なんつー力してんだよ…こいつ!」
二人がかりで止めているが押されているのは優と陸だった。
「…くそ…!」

「ユウ〜!頑張って〜!」
「…小宮くん…!」

松山とミーシェの声が聞こえた。
「「!」」
ブオン!!
「…え?」
驚きの声を上げたのは土須故井だった。
それもそうだ、気づいたら数メートル先に投げ飛ばされているのだから。
「…陸…お前…」
「ああ…君は…」

「「単純だな…。」」

2人は向かいあい、笑みを浮かべる。
「ミーシェが応援してくれたんだ…。負ける訳には行かないな…。」
「そうだな…松や…じゃなかった…。と、友達に応援されたからね…。」
「…素直じゃないな。」
「…うるさい…。」
2人はゆっくりと歩き出す。

「お、おい!あいつらやばくねーか!?」
敵チームから焦りの声が聞こえる。

「陸…お前何か運動は?」
「中学校の頃はバスケとサッカーを兼部してたな。」
「なら大丈夫だな。」
2人は走り出す。

「と、止めろぉ!!」
その声に合わせて3人の壁が前に出るが、2人は気にせず抜ける。
優はタックルで吹き飛ばし、陸はフェイントで相手を転ばせる。

「ぐっ!クソ!」
目の前には4人に押さえつけられ、地に頭をつけて倒れる天城がいた。
「こ、こんな惨めな姿にしやがって…!」
「お、おい…!なんだあれ?!」
抑えていた生徒の1人が声を上げる。
指さす先には優と陸が物凄いスピードで迫っていた。
4人は驚き、天城の拘束を辞める。
天城は立ち上がり2人に向き合う。
「ふぅ増援はいらな…」
「「邪魔。」」
「な!…ふべぇ!!」
気づくと天城は横に飛ばされていた。
「陸…そろそろやるか。」
「そうだな…来い。」
陸はバレーのレシーブを打つ体勢をとる。
「やってみたかったんだよな…これ。」
「ああ…僕もだ。」
優は陸の元に駆け出す。
そして、陸の腕に足をかける。
陸はそのまま腕を上にあげる。
優は数メートル飛び上がり、棒に蹴りを入れる。
その衝撃で棒は大きく揺れ、敵の棒周りの人が崩れる。
そのまま優は棒をつかみ一気に体重をかけた。
ズーン…
そんな音を立てて敵チームの棒は倒れてしまった。



息を呑む会場。

うおおおおぉ!!

しかし直ぐに歓声に包まれるのだった。
「ふぅ…。」
「勝ったな。」
「…ああ!」
そう言って2人はハイタッチを交わす。
「まだ2回戦目があるけどね…。」
「まあそうだな…。」
「…2回戦目は僕が飛んでもいいか?」
「もちろん。」

結果は優達のチームの圧勝だった。


「ユウ!」
戻ってきたら直ぐにミーシェがやってきた。 
「よ。」
「す、凄すぎだよ…!」
「そうか?」
「…こ、小宮くんも…お疲れ様…。」
そう言って松山は陸に水とタオルを差し出す。
「あ、ああ…ありがとう。」
「陸のやつ、お前の応援で…」
言おうとする優の口を陸が塞ぐ。
「…?」
「な、何も無い…気にするな。」
「むぐ〜!」


優と陸の活躍により男子の学年末種目は白組がとり、最終結果は白組の勝利だった。


「お疲れ様〜!みんな〜!」
教室に残っていたのは、ミーシェ、優、陸、花園、松山、江ノ島だった。
紙コップに入ったジュースで乾杯をしている。
「…またこのメンツか。」
「まあまあ、いいじゃんいいじゃん。お菓子食べよ?」
「…それにしても…2人は何者なの?」
松山が唐突に切り出す。
「は?」
「…だって…前までは正直オタクとガリ勉としか思ってなかったよ?なのに…2人とも運動神経いいじゃん?」
「まあ…バスケとサッカーだけだが…。」
「俺はスポーツなんて特にやってないぞ?」
「…選抜リレー…2人が出れば圧勝だったんじゃないの?」
最後の種目の選抜リレー。天城の転倒により結果は散々なものだった。
「いや…僕は優ほど速くないぞ?」
「あの時の藤山さんは凄かったです。」
「だよね〜!ミーシェのために本気出して…。一躍大スターじゃないの?今日結構いろんな部活から勧誘受けてたよね?」
「ああ…。まあ断ったけど。」
「断ったの?!どれか入ってるもんだと思ってた!」
「だって俺もう軽音部だし。」
「あ、そっか。」
「まあそれよりも乾杯しようぜ?一応打ち上げなんだろ?」
「そうだな…。」
「ミーシェさん、どうぞ。」
「…ミーシェ。」
「やっぱりミーシェの乾杯がないと打ち上げは始まんないよね〜。」
「じゃ、じゃあ…カンパーイ!」

…乾杯!




体育祭編は終わりです。
ちょっと設定の後付けが無理やりすぎたかな?

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コメント

  • かつあん

    小宮さんもユウもどっちもカッコイイ!!!対する天城は...アホすぎるハァ━(-д-;)━ァ...

    3
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