一台の車から

Restive Horse

24.アメリカを超えて (トヨタ A70スープラ)

 その車の後ろ姿は大きく、クルージング走行が似合っていた。

 いつも通りの帰り道、街灯が暖く灯りを照らしている。
夏が終わり少しずつ気温が下がっていく中、2cvは好調だ。
そんな中、一台の車がリトラクタブルヘッドライトをあけてゆっくりと横に並んだ。
70スープラだ。
2cvから見ているということもあるが、車幅の広さがアメリカを意識しているのがわかる。
70スープラはそのままクルージング走行を続けて消えていった。





トヨタ、A70スープラ。
4代目セリカをベースに輸出用に作られた車だ。
輸出先の一つであるアメリカでは2代目セリカ(A40)からスープラの名で販売していたが、日本ではセリカXXの名で販売していた。
このA70スープラは日本でもスープラの名で初めて販売された車だ。

ボディスタイルはフロントノーズ、ショートデッキとスポーツカーの王道的デザインにリトラクタブルヘッドライトを採用している。

エンジンは2000ccから3000ccターボエンジンとバリエーションが豊富だ。
のちに、トヨタから世界最強ともよばれる2JZエンジンのもととなる1JZエンジンも搭載されていた。

70スープラは当時盛り上がっていたグールプAレースにも参戦していた。
グループAの規定に基づき500台限定のホモロゲーションモデル「ターボA」も販売。
今では、希少車としてマニアやコレクターの人気をあつめている。
僕は70スープラというとグループAでのカルソニックが印象的だ。
当時のライバルは日産スカイラインR31などだった。

その後、A80が発売され、最近A90が発表された。
僕が思うに、70スープラと80スープラではキャラクターが異なっているように思える。
70はアメリカのような広大な大地をクルージングするような車で、80はサーキットとかを攻めるハイパースポーツカーだ。
90はどちらのキャラクターを引き継いだのか気になるところだ。





2cvをガレージに入れて、
「90はセリカが消えてはじめてのスープラになるわけか。
どんな車になるのかな。」
などと話しかけながら鍵を閉めた。

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