一台の車から

Restive Horse

19.戦後復興を支えた小さな三輪自動車(ダイハツ ミゼット)

その車はちょこんとローダーにのっていた。

いつもよりもちょっと早く帰っていた。
ふと横を見るとローダーが走っている。
僕は2cvの小さな窓から何が積載されているのか気になった。

それは、錆びてボロボロだったが、形ははっきりとしていた。
小さくて、荷台があって、緑色がうっすらと残っている三輪自動車。
ダイハツ、ミゼットだ。

どこかでレストアされるのだろうか。
走っている姿が見れなかったのが残念ではあった。




ダイハツ、ミゼット。
第二次世界大戦後、焼け野原となった日本の復興に物流面で大活躍した一台だ。
エンジンも車体も小さく、狭い路地が沢山ある日本の地形によく合わせられたら一台でもある。

価格や税金等々を安くできるように、あえて三輪という形を選んだ。
そのため、コーナリング時に転倒することもあったというが、多くの日本人(とくに八百屋などの店)に愛された三輪自動車である。
小さいながらも多くの物が載せられ、高度経済成長を支えていた。

現在でも、高度経済成長期の写真などでも、よく写っているほど、戦後復興の代名詞といえるほどの車だ。




僕は2cvを家のガレージに駐車して、

「そういえば、実家の近くにミゼットがとまっていたけど、あの後どうなったんだろう。まだ、走っているのかな。」

なんてつぶやいて鍵をしめた。

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