一台の車から
1.二馬力の納車(シトロエン 2cv)
「シャッ」
キーシリンダーに鍵が入りさっきまでフリー回転していたドアノブが固定される。
「ガチャ」
とドアが開き、ステアリング横のキーシリンダーにエンジンキーをさしこんだ。
今日が納車日。
僕はシトロエン2cvを買った。
ワクワクで中古車屋の声も聞こえなかった。
ボンネットを開け、一応とか言いながらエンジンオイルを点検する。
オイルレベルゲージを一回抜いて拭き取り、もう一回挿してから抜いた。
窪みの上のほうまでオイルがある。
オイルレベルゲージを戻した。
さていよいよ始動だ。
アクセルペダルを二回仰いで、チョークをひく。
キャブ車の儀式だ。
それから一息ついてエンジンキーに手を伸ばした。
起きろ!と思いつつセルまでキーを回した。
「きゃっ、シャシャシャシャ、ドオン」
一発で目を覚ました。
チョークを引いてるので2000ぐらいで回っている。
暖機運転している間にシトロエン2cvについて解説しようと思う。
フランス語で二馬力を意味する2cvはフランスのシトロエンというメーカーが作った。
1948年に発売されて以来モデルチェンジなしで1990年の約40年間生産され続けた車だ。
第一次世界大戦後に農家で車を使わずリヤカーを引いてるのを見たピエールブーランジェが農家で使える車を開発せよと言ったのが始まりだ。
そのときに掲げれたら目標は「コウモリ傘に4つの車輪をつけたような車を作れ。
大人二人と50kgのジャガイモを積み、60km/hで走れること。
5リットルで100km走れること。
かごいっぱいの卵をのせ、農道でも卵が割れない乗り心地を実現すること。
価格をやすくすること。
女性でも扱いやすく、シンプルな設計にすること。」だった。
この無理難題を第二次世界大戦中も開発し、1947年秋のパリサロンで発表した。
発売はあのフォルクスワーゲン・ビートルと並ぶが、価格は半分だったという。
エンジンは325ccの水平対抗2気筒だったが、最終モデルでは602ccまで排気量が拡大されている。
僕が買ったのは最終モデルで、赤と黒のチャールストン、排気量は602ccだ。
そろそろエンジンが暖まってきた。
エキゾーストパイプから暖をとるために設けられたら箱に触れてみる。
暖かいことを確認してからチョークを完全に戻した。
ボンネットを閉めると中古車屋にありがとうごさいましたと一声かけて、ドアをあけた。
卵が割れないように作られたサスペンションは乗り込むだけで沈む。
乗り心地をよくするために、鉄パイプにゴムで布を引っ掛けたハンモックシートは、座ったときに大きく沈み込んだ。
目の前には、有名な大きい一本スポークのステアリングが手に着く。
ステアリングの奥には120km/hまで書き込まれた扇形のスピードメーターが置かれている。
上下分割式の窓を左右あけ、フックを外し四分の一屋根をあけた。
さらに、フロントウィンドウしたにある空気取り入れ口をあける。
それから飛び出したシフトレバーを左にひねって引き、一速にいれた。
サイドブレーキを解除し左足に全神経を集中させながら発進させる。
2cvは半クラッチを多用しなければスムーズな発進はできない。
失敗すればエンストするか柔らかいサスペンションでギクシャクするだけだ。
中古車屋の人に会釈しながら左にウィンカーを出した。
「カッチャ、カッチャ、カッチャ」
教習所では聞かない音がした。
公道に出て、直ぐに二速にいれた。
春の心地よい風がいたるところから吹き込んでくる。
周りを走っている車からの視線を釘付けながらゆっくりと加速した。
そして三速、シフトレバーをまっすぐひく。
気持ちよい加速だ。
車両重量700kg代なだけにスラーと加速していく。
信号で停車するときもスムーズだ。
自転車のタイヤと見間違えそうになるほど細いタイヤはしっかりと地面を捉えてくれる。
いくつかの信号を抜け、次の交差点で左折するとき少し攻めてみることにした。
といっても50km/hぐらいだ。
しかし、柔らかなサスペンションは大きくロールした。
体感は40度ぐらいだろうか。
さすがに、冷や汗をかいた。
この車はゆっくり走ることに意味があるらしい。
これはこれで贅沢なことだ。
近年は何かとペースアップし、速くなければならないみたいな風潮がある。
この風潮に反しているのだから。
ゆっくり走りながらガレージ付きの小さな自宅に帰ってきた。
2cvを駐車し、エンジンをきり、屋根を閉め、フロントウィンドー下の空気取り入れ口を閉める。
最後に窓をバタンと閉めた。
車から降り一言
「僕の相棒になってくれてありがとう。
これからもよろしく。」
と声をかけた。
一瞬ヘッドライトのメッキ部分が光ったように見えた。
その後鍵を閉めた。
キーシリンダーに鍵が入りさっきまでフリー回転していたドアノブが固定される。
「ガチャ」
とドアが開き、ステアリング横のキーシリンダーにエンジンキーをさしこんだ。
今日が納車日。
僕はシトロエン2cvを買った。
ワクワクで中古車屋の声も聞こえなかった。
ボンネットを開け、一応とか言いながらエンジンオイルを点検する。
オイルレベルゲージを一回抜いて拭き取り、もう一回挿してから抜いた。
窪みの上のほうまでオイルがある。
オイルレベルゲージを戻した。
さていよいよ始動だ。
アクセルペダルを二回仰いで、チョークをひく。
キャブ車の儀式だ。
それから一息ついてエンジンキーに手を伸ばした。
起きろ!と思いつつセルまでキーを回した。
「きゃっ、シャシャシャシャ、ドオン」
一発で目を覚ました。
チョークを引いてるので2000ぐらいで回っている。
暖機運転している間にシトロエン2cvについて解説しようと思う。
フランス語で二馬力を意味する2cvはフランスのシトロエンというメーカーが作った。
1948年に発売されて以来モデルチェンジなしで1990年の約40年間生産され続けた車だ。
第一次世界大戦後に農家で車を使わずリヤカーを引いてるのを見たピエールブーランジェが農家で使える車を開発せよと言ったのが始まりだ。
そのときに掲げれたら目標は「コウモリ傘に4つの車輪をつけたような車を作れ。
大人二人と50kgのジャガイモを積み、60km/hで走れること。
5リットルで100km走れること。
かごいっぱいの卵をのせ、農道でも卵が割れない乗り心地を実現すること。
価格をやすくすること。
女性でも扱いやすく、シンプルな設計にすること。」だった。
この無理難題を第二次世界大戦中も開発し、1947年秋のパリサロンで発表した。
発売はあのフォルクスワーゲン・ビートルと並ぶが、価格は半分だったという。
エンジンは325ccの水平対抗2気筒だったが、最終モデルでは602ccまで排気量が拡大されている。
僕が買ったのは最終モデルで、赤と黒のチャールストン、排気量は602ccだ。
そろそろエンジンが暖まってきた。
エキゾーストパイプから暖をとるために設けられたら箱に触れてみる。
暖かいことを確認してからチョークを完全に戻した。
ボンネットを閉めると中古車屋にありがとうごさいましたと一声かけて、ドアをあけた。
卵が割れないように作られたサスペンションは乗り込むだけで沈む。
乗り心地をよくするために、鉄パイプにゴムで布を引っ掛けたハンモックシートは、座ったときに大きく沈み込んだ。
目の前には、有名な大きい一本スポークのステアリングが手に着く。
ステアリングの奥には120km/hまで書き込まれた扇形のスピードメーターが置かれている。
上下分割式の窓を左右あけ、フックを外し四分の一屋根をあけた。
さらに、フロントウィンドウしたにある空気取り入れ口をあける。
それから飛び出したシフトレバーを左にひねって引き、一速にいれた。
サイドブレーキを解除し左足に全神経を集中させながら発進させる。
2cvは半クラッチを多用しなければスムーズな発進はできない。
失敗すればエンストするか柔らかいサスペンションでギクシャクするだけだ。
中古車屋の人に会釈しながら左にウィンカーを出した。
「カッチャ、カッチャ、カッチャ」
教習所では聞かない音がした。
公道に出て、直ぐに二速にいれた。
春の心地よい風がいたるところから吹き込んでくる。
周りを走っている車からの視線を釘付けながらゆっくりと加速した。
そして三速、シフトレバーをまっすぐひく。
気持ちよい加速だ。
車両重量700kg代なだけにスラーと加速していく。
信号で停車するときもスムーズだ。
自転車のタイヤと見間違えそうになるほど細いタイヤはしっかりと地面を捉えてくれる。
いくつかの信号を抜け、次の交差点で左折するとき少し攻めてみることにした。
といっても50km/hぐらいだ。
しかし、柔らかなサスペンションは大きくロールした。
体感は40度ぐらいだろうか。
さすがに、冷や汗をかいた。
この車はゆっくり走ることに意味があるらしい。
これはこれで贅沢なことだ。
近年は何かとペースアップし、速くなければならないみたいな風潮がある。
この風潮に反しているのだから。
ゆっくり走りながらガレージ付きの小さな自宅に帰ってきた。
2cvを駐車し、エンジンをきり、屋根を閉め、フロントウィンドー下の空気取り入れ口を閉める。
最後に窓をバタンと閉めた。
車から降り一言
「僕の相棒になってくれてありがとう。
これからもよろしく。」
と声をかけた。
一瞬ヘッドライトのメッキ部分が光ったように見えた。
その後鍵を閉めた。
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