アルザリア

むでる

第4話 組合

 前回
 森の中で魔物に襲われそうな少女を助けると、家に招待される。その少女から情報を集め、今後のプランを立てるのであった。

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「・・・うーん・・」目を擦りながら起き上がり、外を見る。 外はまだ暗く、早い時間に目覚めたようだ。

  おかしい。昨日は眠くて寝てしまったが、これはゲームのはずだったのに。やはりこれは・・・

 散歩をするため、服を着替え部屋を出る。するとキッチンの方から音が聞こえた。その方へいくと、ヴァンジーが料理を作っていた。

「おはようございます。」

「おはようございます。起きるの早いんですね。」

「はい、昨日すぐ寝てしまいましたから。」と俺は頬を掻いた。

「そうだったんですか。料理の方はまだ終わらないので、ゆっくりしててください。」

「わかりました。それと少し辺りを散歩したいんですけど大丈夫ですか?」

「大きい音を出さなければ大丈夫だと思います。何かあれば、私のことをいってください。」

「了解です。少ししたら戻りますね。」

 ヴァンジーにそう言うと家を出た。辺りを見るため村の中を散策する。
 しばらく歩いているとチラホラと仕事のためか家を出てくる人がいる。家から出てくる者はウラのことを見て不思議そうな顔をする。しかし仕事があるのか話しかけてくる者はいなかった。

 その後も何回か同じことがあったが特に騒がれることもなかった。もうしばらく歩いていると辺りが明るくなってきたのでヴァンジーの家に戻ることとした。

「すみません。今戻りました。」ドアを開けながら中に入りながら言う。

「おかえりなさいウラさん。お弁当の方はもうできてますよ。・・・・こちらになります。」

「おかえりなさーい」

 ヴィジーも起きてきたのか、姉と共にいた。

「二人ともただいま。・・・おっ!ありがとうございます!お弁当も受けとりましたし、ヴォータルクに向かいたいと思います。」

「あ!ウラさん少し待ってください!少ししたら隣のルーノさんがヴォータルクへ作物とか売りにいくんです。その・・・申し訳ないのですが、護衛していただきたいのですが・・・」

「うーん・・・そうですね。ヴァンジーさんには良くしてもらいましたから・・・分かりました、受けましょう!」

「それで報酬なん「それは大丈夫ですよ!」ですが・・・」俺はすかさず話を遮ってもう一度言う。

「報酬は大丈夫ですよ。これを頂きましたからね。」そう言い、受け取ったお弁当に視線を向ける。

「本当にありがとうございます!!ルーノさんをところまで案内します!!こっちで———」
ヴァンジーは言い終える前に家を飛び出していった。

「「・・・」」

「俺たちも行こうか」

「・・・うん」

 そして急ぎ、ヴァンジーを追いかけた。

「ルーノさーん!待ってくださーーい!!はぁ、はぁ・・・」

「ヴァンジーちゃん。おはよう。そんな急いでどうしたんだい?」

「はぁ、はぁ・・・ふぅ~・・・おはようございます、ルーノさん。先日言ってた、護衛の件できたんですよ!」

「ん?護衛してもらえる人は村にはいなかったはずじゃ?」

「そうなんですけど、今回護衛してくださる方はこの村の人ではないです。その方もヴォータルクに向かわれるらしいんですよ。それで今回の件をいったところ快く受けていただきました!・・・あの方がそうです!」
 指を指した方向から2人の人物が走ってきた。

「すみません。お待たせしてしまいましたね。」

「いえ、大丈夫ですよ。ウラさん、こちらルーノさんです。ルーノさん、こちらウラさんです。」

「ルーノです。今回はよろしくお願いいします。」

「ウラーナ・ペルソーナ・ケナスコンデです。こちらこそお願いします。」

「挨拶もほどほどにして、そろそろ行こうか。」そう言われ、俺は馬車の荷台に乗った。

「お二人ともありがとうございました。では、また何かの縁があれば」
 
「はい!近くに寄った際はいつでも来てください!」

「待ってます!」

 姉妹がそう言った。

「では行きますね。」

 ルーノさんがそう言うと馬車が動き出した。少し進んだところで振り替えると 
「お気を付けてーー」と言いながら姉妹が元気に手を振っていた。

 村を出てから、会話しながら進んでいると・・・

「いやー平和ですね。」

「そうですね~・・・このまま何もなければいいんですけどね」

 ルーノさんがそう言うと・・・
 発動していた<気配察知>でモンスターの気配を察知した。

「ルーノさん、モンスターが3体近づいてます。」

「もんすたー?あぁ魔物のことか、それは本当かい?大丈夫だろうか・・・」
 ルーノが身の心配をし始める。

「大丈夫ですよ。そのための護衛なんですから。モン・・魔物が現れると思うので1回馬車は止めてルーノさんは一応荷台に隠れててください。」

「はい、わかりました・・・」
 
 馬車は道を少し外れたとこに止めて、魔物がくるのを待機していた。すると少したってから、狼型の魔物が現れた。

「あれは・・・フォレストウルフですか。」

「なら大丈夫ですね。すぐ終わらせますね。」
 そういった俺は、ウルフの方を見る。ウルフは1体先頭にして残りの2体がその後ろを走っている。

 <影縛り>を後ろの2体に発動した。すると後ろを走っていた2体の影が棘のように伸び、身体を縛り付けた。すると「キャン」と苦しいのか鳴いた。その2体を無視して先頭のウルフはこちらに向かってくる。

「ガウッ」と噛みついてきたが、≪影渡り≫を発動し攻撃を避ける。噛みついてきたウルフの後ろを取り、<炎槍ファイヤーランス>を使用した。自分の周囲に炎の槍が何本も出現し、指をクイッと下げ飛ばす。すると魔法は全てウルフに当たり、串刺し状態にし倒す。

 倒したあと後ろを振り向き、先程と同じように縛られたウルフ2体に向かって<炎槍ファイヤーランス>を使用し串刺しにして倒した。

「ふぅー、もうでてきていいですよー」

「すみませんありがとうございました。・・・うわー真っ黒焦げですね・・・でもよかったのですか素材をダメにしてしまって」

 ルーノが黒焦げになった魔物を見て言ってきた。

「そんなのいいんですよ。護衛するのが目的で、素材を取りに来たわけではないですから」はははっと笑いながらそう言った。

「そうなんですか・・・変わってますね。では安全になったことですしもう少し進んでお昼にしましょう!」

 今は街の中に入るための長い長蛇の列に並んでいるところだ。ウルフを倒した後は特に大きな出来事はなかった。あったとしてもならび始めたときに、護衛の報酬を半ば強引に渡されたことだ。因みに報酬金額は銀貨3枚であった。

 列に並んでいる間はルーノと話していたり、周囲を眺めていた。そして自分の前に並んでいる者がカードのようなものを取り出しているのに気がついたため、ルーノに質問をした。

「ルーノさん、あちらの方が手にしている札みたいなものはなんでしょうか?」

「ん?あーあれは市民証ですかね。」

「市民証ですか?どういったものなんですか?」

「市民証というのは、国で生まれてある程度経った時に発行されるものです。カロテリク村でも、18歳を過ぎると街に行き発行してもらいます。まあ、他国の場合どうしているかわからないんですけどね。」

「そうなんですか。・・・俺、入れますかね?」

「大丈夫だと思いますよ。そういう場合は、仮身分証を発行してもらいますし。」

「はあ、分かりました。」

 話が終わるとちょうど衛兵に呼ばれた。

「次の者!こちらへ!」

 少し進むと少し老いた衛兵と若い衛兵の2人やって来た。

「身分証を見せてもらおう。」と老いた衛兵が言う。

「はい、こちらになります。それで、彼なのですがどうやら身分証がないようなので・・・」

「そうなのか、とりあえず手続きがあるからそっちの者は私についてきてくれ。お前はここに残り、もう1人の兵の指示に従うように。おい、クラフ!あとは任せたぞ!」

「了解しました!」もう1人の若い衛兵がそう言った。

 俺はと急いで衛兵の後を追い、 衛兵に追い付くとそこには衛兵の詰所があり、中に入るように言われた。

「では、俺がいいって言うまでこの水晶に手で触れててくれ。」

  指示通りにする。水晶に触れると、水晶が白く光った。
「うわっ」ビックリして驚いていると、衛兵が「犯罪歴はなし・・・っと」などと言い紙に何かを書いていた。その後も、「名前は?」、「歳は?」、「出身は?」などと聞かれたので名前と歳以外は適当にはぐらかした。
 怪しまれることもあったが、水晶が白く光っていたため、大丈夫だろうということで深く追求されることはなかった。

 「ふぅ~・・・やっと終わったぞ。これが仮の身分証だ。滞在可能期間は1週間。過ぎたら銀貨10枚の罰金だ。どこかで身分証を作ったら、外に出るときに衛兵に仮身分証を渡しておいてくれ。それと、発行費で銀貨1枚もらうぞ。」

 そう言われたので先程ルーノにもらった袋から銀貨1枚を渡す。

「よし、じゃあ騒ぎを起こさないようにな。」

「はい。ありがとうございます。ところで1つ質問してもよろしいですか?」

「おう。教えられる範囲ではよいぞ。」

「身分証のことなんですが具体的にどちらで作ることができますか?」

「身分証を作成する場所は主に2つある。冒険者組合と教会だな。まず冒険者組合で作った場合、組合カードをつくることになる。こちらは作るのが簡単だ。あと、全国どこででも使える身分証となる。次に教会で作った場合、市民証を作ることになる。こっちは作るのが難しくなると思う。」

 なんでだろうと思っていると答えがわかった。

「市民証の方は、主にこの国にで生まれた者が作ることができて、なおかつ親や親戚など身分がはっきりとわかっているものが作れるんだ。ちなみにこの市民証はカルメリール連合国内であればどこでも使えるものだ。」

「そうなんですね・・・なら俺は、冒険者組合で作るってことになるんですね。」

「そうだ。」

「すみません。最後の質問なんですけど、その冒険者組合はどちらにありますか?」

「冒険者組合だな?それは、ここを出で通りを真っ直ぐ行くと噴水のある広場に着くのだが、広場に来た通りから見て右側にも同じような大きい通りがあるからそちらを歩いていくと、回りと比べてとても大きい建物があるからそれが冒険者組合になる。」

「わかりました。ご親切にどうもありがとうございました。」

「おう。また何かあれば通りを歩いている警備兵にきいてくれ。」

「はい。では失礼します。」そう言って俺は詰所を出て、冒険者組合へと向かった。

 冒険者組合へと行く途中、街中の風景を見ながら歩いていた。ヴォータルクは首都のことだけあり、人や物が多い。東京のような人の多さである。中には、鉄の首輪をつけた者や、獣人と言われている者もいた。そんなことを思いつつ、衛兵に言われた道順であるいていると大きな建物が見え始め、しばらく歩くと冒険者組合に着いた。

 扉を開け中に入ると、様々な武器や防具をつけた男性や女性 、また獣人なども見られた。何人かの女性が並んでいるカウンターへ行き声をかけた。

「こんにちは。組合カードつくりたいんですけどいいですか?」

「こんにちは。リプラ区冒険者組合本部へようこそ!担当のコランといいます。組合カードの発行ですね。まず発行費として銀貨1枚いただきます。ではこちらの書類に記入お願いします!」そういうとゴソゴソと机のしたから取った1枚の紙を渡してきた。

「はい、銀貨1枚です。ちなみにこれは全て記入しなければいけませんか?」

「確かに受けとりました!・・・いえ書類は最低限、名前、年齢、職業を書いていただければ結構ですよ!」

「わかりました。ありがとうございます。」そう返事をして書類を書き始めた。

「・・・っと、これでいいですか?」

「ウラーナ・ペルソーナ・ケナスコンデ様ですね!ではお預かりします、少々お待ちください!」笑顔でそう言うと彼女は一旦席を外し、奥の部屋へと入っていった。

 しばらくして彼女が戻ってきた。
「お待たせしました!こちらが組合カードになります。こちらのナイフを使って、ご自身の血を一滴このカードに垂らしてください。」

 言われた通りナイフで指先を少し切って血を垂らした。

「・・・はい。ありがとうございます。初めはFランクからのスタートになります。では次に冒険者組合の説明をさせていただきたいのですがよろしいでしょうか?」

「ぜひお願いします。」

「では説明させていただきますが、質問は説明後にお願いします。・・・冒険者組合では先程お渡しした冒険者カードを必ず発行させていただいています。このカードには冒険者のランク提示、報酬金のチャージ、生存確認、主にこの3つが理由です。そしてランクなのですが、上からS・A・B・C・D・E・Fの順になっています。それで——————」

 受付嬢の説明が長すぎるため割愛する。なので要点を次にまとめる。

  1.冒険者組合は所属した冒険者の生存率を高める目的で作られて、(各組合による連携も)含む情報を用いた営利組織。

 2.国などから完全独立している。例外として組合設置の際、その土地の長から街の防衛を受け持つことで設置されている。また、『魔物氾濫』に限り土地の長は冒険者組合に対し指示が出来る。

 3.例外を除き冒険者を戦争の戦力に加えることはできない。

 4.ランクは上からS・A・B・C・D・E・Fの順。自分の一つ上のランクの依頼まで受けることが出来る。B以上になると強制依頼に参加しなくてはならなくなる。一定数の依頼を受けたら昇格試験を受けることが出来る。

「——————では以上になります。何かご質問はございますか?」

「関係ないんですけど倒したモンスターは買い取りできますか?」

「はい、あちらの受け付けでご案内してます。そちらにいる者にお声かけください。」

「わかりました。ありがとうございました。」

「次もまたお願いします!ありがとうございました。」

 挨拶を済ませ、依頼の張ってあるボードに移動した。
 (なぜか文字が分かるんだよなぁ・・・不思議だ。)
 そんなことを思いつつ依頼を探していると<薬草採取依頼 >が目に入った。
 簡単だしこれでいいかと先程の受付嬢の所へ行き、依頼を受注したのであった。

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 長くなってしまいました。

 でも、短いものより長い方がいいかなって考えてます。
 
 定期更新目指して奮闘中です。では。

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