アルザリア
第3話 森
「う・・・うん・・・」
目が覚めてきたのか、徐々に意識がはっきりしてくる。辺りを確認するため身体を起こそうとすると長い事気を失っていたのか、身体中に痛みが走った。それを我慢して起き上がり、周囲を確認する。
「あれ?こんな時間まで寝てたのか。でも俺、洞窟の中にいたはずなんだが・・・ここどこだ?」
 そう言いつつも一通り辺りを確認し終える。次に自分の状態を確認するためステータス画面を開こうと、目の前の何もない空間を指でタッチしたが何も起こらない。
「・・・何で?」
 何度も確かめるように、同じ動作を繰り返す。しかし結果は同じであった。
 (バグかな?とりあえず一回街に戻るか。)そう思い《気配隠蔽》を使った。
「キャーー」 
 しばらく歩いていると、悲鳴が聞こえた。(ん?悲鳴?仕様あったっけ?とりあえず行ってみるか。)
 そして遊星は悲鳴のした方へと急いで向かったのであった。
「はっ・・はっ・・はっ・・」息を切らしながら走る一人の少女。後ろを振り返ると何頭かの魔獣が追ってきていた。
「はっ・・はっ・・逃げないと」そう言い、顔を前に向きなおす。
 しかし少女の体力は限界を迎えており、少しずつ魔物との距離は狭まりつつあった。その時、少女は転んでしまう。
「!!・・・いっ・・・・・あ・・・」少女の顔が青ざめる。自分の目の前に追ってきた魔物がいた。
 最後の抵抗か、少女はあたりかまわず石や土などを魔物に投げつけるが、なんの効果はない。
 (私はここで死ぬのか・・・死ぬ前にやりたいこと色々あったのにな。)そう諦めた時、目の前に人型の黒い影のようなものが立っていた。
「誰なの!?」
「・・・・・・」
 少女は問いかけるが人型の黒い影から返事はなく、一瞬にして姿が消えた。呆気に取られていると、追いかけてきた魔物がいないことに気が付いた。
「あ、あれ?さっきの魔物たちは?」(さっきの影もいなくなってる・・・)
「モンスターなら倒したよ」
 そんな声とともにガサガサと横の茂みから音が鳴る。すると一人の男性が出てきた。
  ボーっとして見ていると「怪我はないですか?」と言って手を差し出された。
 
「あ、ありがとうございます。」そんなことを言いながら手を取り、立ち上がる。
「初心者の方ですか?」
「しょしんしゃ?って何ですか?」
「何ですかって、今やってるこのゲーム、アルザリアオンラインのことですよ。」
「アルザリア・・・おんらいん?この世界の事を言ってるんですか?・・・それより、助けて頂きありがとうございます!」 
 (ゲームってことを分かってないのか?)「いえ、たいしたモンスターじゃなかったので。ところで近くに街とかないですか?」
 (もんすたー?さっきの魔物のことかな?)「私の住んでる村なら近くにありますよ!案内します!」
 (色々と知りたいこともあるし、着いて行くか。)「じ、じゃあお願いします。」
 そして少女の案内で二人は歩き出した。
「そういえばお名前聞いてませんでしたね。私はヴァンシーって言います。改めて、先ほどは助けて頂きありがとうございました。」
「いえいえ気にしないで下さい。俺はウラーナ・ペルソーナ・ケナスコンデ。ヴァンシーさんですね、よろしくお願いします。長いから『ウラ』って呼んで下さい。」
「ウラさんですね。家名があるようですが、貴族様でしょうか?」
「全然そんな者じゃないですよ。敬語使わなくていいですよ。」と笑いながら言った。
「ところでさっき魔物に襲われてた時、人型の黒い影のようなのはウラさんが?」
「そうですよ。俺のスキルです。でもぎりぎり間に合てよかったですよ。」
「ほんとに助かりました。でもウラさんってお強いんですね、気づいたら魔物達も倒されていましたし。」
「そんなことないですよ。モンスターが弱かっただけですし気にしなくていいですよ。」
「ぜひ御礼させて下さい!それにもう暗くなってきましたし私の家に泊って行ってください。」
「いや、本当に気にしないで下さい・・・」
「命の恩人に対してそんな無下な態度をとれないですよ!」
「わ、わかりました・・・」
 あまりの迫力に負けてしまった。
 会話をしながら歩いていると村に着いた。
「ようこそ、カロテリク村へ。では私の家に行きましょう。」彼女がこちらに向きなおして言った。
 着いて行くと一軒の家に着く。その家は木材と石材でできている。暗くて詳しくは分からなかったが周りを見ると他の家も同じ様なつくりの家だった。そんなことを思っていると、彼女が家の中に入っていった。
「ただいま~」
「お帰りーお姉ちゃん」
「今日はお客様が来ているから、失礼のないようにね」
「はーい」
 そんな会話が聞こえ、中に入った。
「お邪魔します」そう言って中に入る。
「こちら妹のヴィジーって言います。ヴィジー、こちらウラさん。森で魔物に襲われたところ助けて下さったお方よ。狭い家ですが、気にせずくつろいで下さい。」
「こんばんは。お姉ちゃんを助けてくれてありがとうございました!」
 ヴィジーが言った後、自分は軽い自己紹介をした。
「どういたしまして。それとこんばんはヴィジーちゃん。俺はウラーナ・ペルソーナ・ケナスコンデ。長いから『ウラ』って呼んでね。」
「はい!分かりました。」
 一通り挨拶が終わった時、「あっ!そうだ、先にお部屋の方に案内しますね。」
「あ、ありがとうございます。」
 そう言われて、1つの部屋に通された。部屋は質素でベッドと机、それに少量の衣服が入るタンスがあるだけだった。
「では、ごゆっくりして下さい。夕食ができたらお呼びしますね。」
「分かりました。お願いします。」
 彼女はそう言うとドアを閉めて行った。
「ふーー・・・今日は色々あったな。それにしてもいつになったらログアウトできるんだろう。」
 ベッドに寝転んだ状態でそう言うと、また何もない空間を指でタッチする。しかし何も起こらない。
「やっぱりダメか。しかし何が起こったんだろうな・・・しかし本当にゲームだよな?反応が変だったし・・・今後どうするか・・・」
 (ひとまず今いる場所とか調べるか。まずそこからだな。)
 その後もしばらく考えていると、廊下から「ウラさーん、夕食が出来上がりましたよー」と声が聞こえた。
起き上がり、リビングの方へ行くとテーブルの上に様々な料理が乗っていた。
「こっちに座ってください」そう催促され椅子に座った。
「では食べますか」それと同時に二人が料理を食べ始めた。
 俺は手を合わせて目を閉じ、『頂きます』と心の中で唱え料理を食べるのであった。
 食べる前にもう一度料理を見てみると今日の夕食は、少し硬いフランスパンの様なパンやポトフに似た野菜入りのスープ、それにサラダのようである。
 二人がパンをスープに浸してから食べていたので同じようにして食べる。(柔らかくなって食べやすくなったな。)また、スープの野菜も食べると野菜の甘みが感じられ、またホクホクしていて美味しかった。
 黙々と料理を食べていると「お代わりあるので遠慮せずに食べてくださいね」と言われ、その後、何度かお代わりをしつつ、村周辺の事を聞きながら料理を食べた。
 話を聞いて分かったのは、この村はカルメリール連合国内のリプラ区にあり、地図で見ると連合国の右上部分に該当する。所属ギルドは隣接するアルクレイント王国にあり、ここから直線で200km くらいだった。
この村から一番近い街は首都の『ヴォ―タルク』らしいので明日はそちらに移り、情報などを集めることに決めた。
 ちなみにヴォ―タルクは、シーブル湖と呼ばれている湖の近くに建てられた街だ。その湖の中には、水龍が何千年と寝ているらしい。
 今後の予定を決めたところで、ヴァンシーとヴィジー二人と話をやめて今日は寝ることとした。
「すみません。じゃあお先に失礼します。明日は早く出るのでご飯とかは大丈夫です。」
「そうですか・・・分かりました。せめてお弁当だけでも作らせて下さい。」
「いやでも、わる「だいじょぶです!!」」話を遮られ、凄い勢いで迫られまた負けてしまった。
「は、はい・・・お願いします・・・では・・・」
 俺はそう言い、先ほど案内された部屋に戻る。
「本当にここはゲームの中なのか?ステータス画面も開かないしどうなってるんだ。それともゲームの世界にきたのか・・・」そんなことを考えていると瞼が重くなり、眠りにつくのであった。
 ウラが眠りについたころ、姉妹は片づけをしていた。
「じゃあヴィーこれお願い」そう言って皿を渡す。
「はーい。それと、あとは私がやるよ。お姉ちゃん今日大変だったんだから。」
「私は大丈夫だよ。」
「いや、明日弁当も作るんでしょ?なおさら早く寝ないと!」
「わかったよ・・・じゃあ、後は頼んだよ?」
「うん。おやすみお姉ちゃん。」
「おやすみヴィー。」
 そういうとヴァンジーは部屋に行った。
「ふぅーー終わったーー。私も寝ぇーよおっと」
 しばらくして片づけを終えた、ヴィジーも同じ様に寝床に着いたのであった。
 
目が覚めてきたのか、徐々に意識がはっきりしてくる。辺りを確認するため身体を起こそうとすると長い事気を失っていたのか、身体中に痛みが走った。それを我慢して起き上がり、周囲を確認する。
「あれ?こんな時間まで寝てたのか。でも俺、洞窟の中にいたはずなんだが・・・ここどこだ?」
 そう言いつつも一通り辺りを確認し終える。次に自分の状態を確認するためステータス画面を開こうと、目の前の何もない空間を指でタッチしたが何も起こらない。
「・・・何で?」
 何度も確かめるように、同じ動作を繰り返す。しかし結果は同じであった。
 (バグかな?とりあえず一回街に戻るか。)そう思い《気配隠蔽》を使った。
「キャーー」 
 しばらく歩いていると、悲鳴が聞こえた。(ん?悲鳴?仕様あったっけ?とりあえず行ってみるか。)
 そして遊星は悲鳴のした方へと急いで向かったのであった。
「はっ・・はっ・・はっ・・」息を切らしながら走る一人の少女。後ろを振り返ると何頭かの魔獣が追ってきていた。
「はっ・・はっ・・逃げないと」そう言い、顔を前に向きなおす。
 しかし少女の体力は限界を迎えており、少しずつ魔物との距離は狭まりつつあった。その時、少女は転んでしまう。
「!!・・・いっ・・・・・あ・・・」少女の顔が青ざめる。自分の目の前に追ってきた魔物がいた。
 最後の抵抗か、少女はあたりかまわず石や土などを魔物に投げつけるが、なんの効果はない。
 (私はここで死ぬのか・・・死ぬ前にやりたいこと色々あったのにな。)そう諦めた時、目の前に人型の黒い影のようなものが立っていた。
「誰なの!?」
「・・・・・・」
 少女は問いかけるが人型の黒い影から返事はなく、一瞬にして姿が消えた。呆気に取られていると、追いかけてきた魔物がいないことに気が付いた。
「あ、あれ?さっきの魔物たちは?」(さっきの影もいなくなってる・・・)
「モンスターなら倒したよ」
 そんな声とともにガサガサと横の茂みから音が鳴る。すると一人の男性が出てきた。
  ボーっとして見ていると「怪我はないですか?」と言って手を差し出された。
 
「あ、ありがとうございます。」そんなことを言いながら手を取り、立ち上がる。
「初心者の方ですか?」
「しょしんしゃ?って何ですか?」
「何ですかって、今やってるこのゲーム、アルザリアオンラインのことですよ。」
「アルザリア・・・おんらいん?この世界の事を言ってるんですか?・・・それより、助けて頂きありがとうございます!」 
 (ゲームってことを分かってないのか?)「いえ、たいしたモンスターじゃなかったので。ところで近くに街とかないですか?」
 (もんすたー?さっきの魔物のことかな?)「私の住んでる村なら近くにありますよ!案内します!」
 (色々と知りたいこともあるし、着いて行くか。)「じ、じゃあお願いします。」
 そして少女の案内で二人は歩き出した。
「そういえばお名前聞いてませんでしたね。私はヴァンシーって言います。改めて、先ほどは助けて頂きありがとうございました。」
「いえいえ気にしないで下さい。俺はウラーナ・ペルソーナ・ケナスコンデ。ヴァンシーさんですね、よろしくお願いします。長いから『ウラ』って呼んで下さい。」
「ウラさんですね。家名があるようですが、貴族様でしょうか?」
「全然そんな者じゃないですよ。敬語使わなくていいですよ。」と笑いながら言った。
「ところでさっき魔物に襲われてた時、人型の黒い影のようなのはウラさんが?」
「そうですよ。俺のスキルです。でもぎりぎり間に合てよかったですよ。」
「ほんとに助かりました。でもウラさんってお強いんですね、気づいたら魔物達も倒されていましたし。」
「そんなことないですよ。モンスターが弱かっただけですし気にしなくていいですよ。」
「ぜひ御礼させて下さい!それにもう暗くなってきましたし私の家に泊って行ってください。」
「いや、本当に気にしないで下さい・・・」
「命の恩人に対してそんな無下な態度をとれないですよ!」
「わ、わかりました・・・」
 あまりの迫力に負けてしまった。
 会話をしながら歩いていると村に着いた。
「ようこそ、カロテリク村へ。では私の家に行きましょう。」彼女がこちらに向きなおして言った。
 着いて行くと一軒の家に着く。その家は木材と石材でできている。暗くて詳しくは分からなかったが周りを見ると他の家も同じ様なつくりの家だった。そんなことを思っていると、彼女が家の中に入っていった。
「ただいま~」
「お帰りーお姉ちゃん」
「今日はお客様が来ているから、失礼のないようにね」
「はーい」
 そんな会話が聞こえ、中に入った。
「お邪魔します」そう言って中に入る。
「こちら妹のヴィジーって言います。ヴィジー、こちらウラさん。森で魔物に襲われたところ助けて下さったお方よ。狭い家ですが、気にせずくつろいで下さい。」
「こんばんは。お姉ちゃんを助けてくれてありがとうございました!」
 ヴィジーが言った後、自分は軽い自己紹介をした。
「どういたしまして。それとこんばんはヴィジーちゃん。俺はウラーナ・ペルソーナ・ケナスコンデ。長いから『ウラ』って呼んでね。」
「はい!分かりました。」
 一通り挨拶が終わった時、「あっ!そうだ、先にお部屋の方に案内しますね。」
「あ、ありがとうございます。」
 そう言われて、1つの部屋に通された。部屋は質素でベッドと机、それに少量の衣服が入るタンスがあるだけだった。
「では、ごゆっくりして下さい。夕食ができたらお呼びしますね。」
「分かりました。お願いします。」
 彼女はそう言うとドアを閉めて行った。
「ふーー・・・今日は色々あったな。それにしてもいつになったらログアウトできるんだろう。」
 ベッドに寝転んだ状態でそう言うと、また何もない空間を指でタッチする。しかし何も起こらない。
「やっぱりダメか。しかし何が起こったんだろうな・・・しかし本当にゲームだよな?反応が変だったし・・・今後どうするか・・・」
 (ひとまず今いる場所とか調べるか。まずそこからだな。)
 その後もしばらく考えていると、廊下から「ウラさーん、夕食が出来上がりましたよー」と声が聞こえた。
起き上がり、リビングの方へ行くとテーブルの上に様々な料理が乗っていた。
「こっちに座ってください」そう催促され椅子に座った。
「では食べますか」それと同時に二人が料理を食べ始めた。
 俺は手を合わせて目を閉じ、『頂きます』と心の中で唱え料理を食べるのであった。
 食べる前にもう一度料理を見てみると今日の夕食は、少し硬いフランスパンの様なパンやポトフに似た野菜入りのスープ、それにサラダのようである。
 二人がパンをスープに浸してから食べていたので同じようにして食べる。(柔らかくなって食べやすくなったな。)また、スープの野菜も食べると野菜の甘みが感じられ、またホクホクしていて美味しかった。
 黙々と料理を食べていると「お代わりあるので遠慮せずに食べてくださいね」と言われ、その後、何度かお代わりをしつつ、村周辺の事を聞きながら料理を食べた。
 話を聞いて分かったのは、この村はカルメリール連合国内のリプラ区にあり、地図で見ると連合国の右上部分に該当する。所属ギルドは隣接するアルクレイント王国にあり、ここから直線で200km くらいだった。
この村から一番近い街は首都の『ヴォ―タルク』らしいので明日はそちらに移り、情報などを集めることに決めた。
 ちなみにヴォ―タルクは、シーブル湖と呼ばれている湖の近くに建てられた街だ。その湖の中には、水龍が何千年と寝ているらしい。
 今後の予定を決めたところで、ヴァンシーとヴィジー二人と話をやめて今日は寝ることとした。
「すみません。じゃあお先に失礼します。明日は早く出るのでご飯とかは大丈夫です。」
「そうですか・・・分かりました。せめてお弁当だけでも作らせて下さい。」
「いやでも、わる「だいじょぶです!!」」話を遮られ、凄い勢いで迫られまた負けてしまった。
「は、はい・・・お願いします・・・では・・・」
 俺はそう言い、先ほど案内された部屋に戻る。
「本当にここはゲームの中なのか?ステータス画面も開かないしどうなってるんだ。それともゲームの世界にきたのか・・・」そんなことを考えていると瞼が重くなり、眠りにつくのであった。
 ウラが眠りについたころ、姉妹は片づけをしていた。
「じゃあヴィーこれお願い」そう言って皿を渡す。
「はーい。それと、あとは私がやるよ。お姉ちゃん今日大変だったんだから。」
「私は大丈夫だよ。」
「いや、明日弁当も作るんでしょ?なおさら早く寝ないと!」
「わかったよ・・・じゃあ、後は頼んだよ?」
「うん。おやすみお姉ちゃん。」
「おやすみヴィー。」
 そういうとヴァンジーは部屋に行った。
「ふぅーー終わったーー。私も寝ぇーよおっと」
 しばらくして片づけを終えた、ヴィジーも同じ様に寝床に着いたのであった。
 
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