異世界転移したいっ!

個上仔下

三神君は不器用

 目を開けたら、そこは異世界でした。
(僕は……戻ってきたぞーー!)
と、心の中で叫ぶ。そう、ついに僕は異世界に戻って来たのです。
「あぁ……これが異世界………。」
『感動』という言葉がこれほど当てはまる場面もあるまい。僕は生まれて初めて嬉し泣きをした。
「どう?異世界は。」
いつのまにか来ていたマナスが言った。
「はい………最高っすね…………。」
今いる場所は、懐かしのあの広場である。
そして周りを見渡せば、アニメでよく見る感じの建物ばかり。人々の服装も、ドラ○エの「ぬののふく」みたいな感じ。異世界系のアニメの主人公はみんなこんな気持ちなのか。なんか勝ち組感がハンパない。
………あれ、待てよ?
「僕、なんで呼ばれたんでしたっけ?」
「あぁ、そういえば言ってなかったわね。」
ヤベェ、テンション上がりすぎて聞いてなかった。これは聞いておかないとな。
「ついさっき異世界から来た勇者が、この世界を牛耳っていた魔王を倒したのよ。」
それな。
「だけど勇者が倒した魔王は、まだ第一形態だったの。」
…………………?
「魔王が第一形態から第二になる前に、その勇者が帰っちゃったのよ。」
…………………。
「だからさっき、その魔王の第二形態を倒す、勇者になる素質のある人間を探してたってわけ。」
…………あ〜……これ、僕………


                        やらかした?


「へ、へ〜……そ、そうだったんですか〜……」
ヤバイ恥ずかしすぎる!!帰るの早すぎた!てか、マナスは僕がやったって知らないのかな。なら行ける!!
「じゃ、じゃあ、とりあえず行きましょうか。」
「そうね。………ねぇ、顔赤いけど大丈夫?」
「や、やだなぁ〜〜、大丈夫に決まってるじゃないですかぁ〜〜、あっはっはっはっ。」
乾いた笑いしか出ない!
「な、ならいいんだけど……………それにしても君、ほんとに能力値高いわね。なんかスポーツでもしてた?」
「スポーツっていうかなんていうか……。」
「え?なに?」
「なぁ〜んでもないですよぉ〜!!」
うん、今のは余計だった。まあとりあえず、早く会話を終わらせないと……。
「じゃあ僕は魔王を倒せば良いんですねそれじゃあ行きましょうさあ早く………」
そこで僕はふと気付いた。さっきから、なんか嫌な感じがする。身体全体が何かを察知してるような…………!!
「伏せて!」
僕はマナスに叫びながら突き倒す。
「きゃっ!?」
おっ、良い声。そんな声も出せるんだな。やっぱり女性は良いな。とか言ってる場合じゃねえな。
 倒れた瞬間、僕とマナスの頭上を刃が通過したのが分かった。
「おいおい、避けんなよ。」
男の声。男かぁ…………。
「お前、ナニモンだ?」
「まあ、そんな嫌そうな顔すんなや。」
美人だったら切られても良いが、男だったらこっちから切る。その意思が伝わったらしい。
「…………俺の正体を教えてやろう。」
おもむろに男が口を開く。
「俺は魔王。魔王だ。」


…………………マジかー。

コメント

  • 姉川京

    あらまwwwまさかの自覚無いとはw

    この作品とても面白いです!

    お互い頑張りましょう!

    あともし宜しければ僕の作品もお願いします!

    1
  • 個上仔下

    コメありがとうございます!
    表紙はなんも思いつかなくて手書きにしました(^_^;)

    2
  • まりん

    次回作気長に待ってま~す(人•ω• )
    ちなみに表紙は手書きですか?

    2
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