異世界転移したいっ!

個上仔下

魔王?なにそれおいしいの?

「あれ…ここ、どこだ?」
 目を開けたら、どこかの街にいた。
そこにあったのは、見慣れない場所。見慣れない人々。
そして僕がいるのは、噴水のある広めの広場。いや、広場なんだから広くて当然か。
(てか、ほんとにどこだ、ここ。)
なんかもう分かんない。
「何も分からないって顔してますね。」
「!?」
不意にすぐ隣から声がかけられる。僕に話しかけて来てんのか?怖いな。もし違ったらどうしよ。
「あなたですよ。」
「!!?」
あ、待ってめっちゃかわいい。いや、そうじゃない!
「な、何ですか?」
「あなたは今、前の記憶がありますか?」
記憶?いやいや、何言ってんだよ。…………あれー?無いぞーぅ?
ええー…。まじかよ。
「な、無いみたいです…。」
「あぁ、良かったです。」
「何が!?」
喧嘩売ってんのかこの人!?
「あ、ああ、す、すいません!あなたは勇者なんです!」
え、何言ってんの?さっきと違う意味で怖いわ。
「な、何を言ってらしてるのですか?」
「あ、す、すいません、説明します。」
 …この女性の名前は、メナと言うらしい。そして、今僕がいる世界は魔王が…(以下略)。そのため、僕は記憶がないらしい。
「マジか…。僕が勇者…。」
「前の世界にいたあなたは、とても喜んでましたよ。この世界に来れることも。」
そうなのか…。じゃあ、思う存分楽しまないとな!

 結果をいうと、楽しむ暇もなく魔王倒しちゃいました!テヘ☆………いやいや、仕方ないんですよ。だって、もう装備とか用意されてたし。元々能力カンストしてるし。楽しむ暇とかなかったし。魔王見た目だけだし。かわいい娘とイチャイチャしたかったし。けどできなかったし。誰かに能力見せたかったのに、みんなよそよそしいし。
 まあ、もういいよ!元の世界帰ろ!と開き直り、付いて来ていたメナに言う。
「あのー、魔王倒したんでもう帰ります。」
元の世界のこと、何も知らんけど。
「あ、そうですね。では、準備させていただきます。」
メナはそう言って手を前に出し、呪文のようなものを唱え出した。
「あ、そうだ!この世界の記憶は残しますか?消しますか?」
え、選べんの?
「うーん、それならいい思い出として残しておきたいかもですね。」
「では、残しますね。」
それだけ言うと、また呪文のようなものを唱え出した。その直後、僕は白い光に包まれた。そのまま視界がだんだん暗くなっていき、僕の意識はなくなっ……!思い出した!元の世界の記憶!
「待ってくれ!僕はあっちの世界は嫌だぁぁぁぁぁ……!」

僕の意識はなくなった。

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