クラス転移で俺だけずば抜けチート!?コミカライズ!

白狼

490話 提案と反対と要求

「それでは、話し合いを始めさせてもらいます。」
 俺は、そう言って話し合いを始めた。
「まずは俺の願望を伝えさせていただきます。一度皆さんには伝えさせていただきましたが再度確認のため言います。俺が今1番望んでいることはフリルさん、ガルド様の星同士の争いを和解という形で止めてもらうことです。」
「ええ、ちゃんとその事を理解した上で今日はちゃんと話させてもらうわ。」
「私もそのつもりだ。」
「ありがとうございます。俺なんかの頼みを聞いて下さりこの様な話の場を作ってもらって……本当に感謝してます。っと、余談が過ぎましたね。それでは早速本題へ入らせてもらいます。お2人は、ちゃんと俺の意見を理解してこの場に来ていただけているということですが俺の頼みについてはどう思いますか?」
「竜斗には前にも言ったように今の状態で和解は難しいというのが私の意見。竜斗のみんなが笑顔でいられるような世界というのはたしかにとても素晴らしいものと思うわ。でも、それを作ることはさらに難しいということは理解してるわね?」
「はい、もちろんです。なので俺も少し考えてきました。」
「ほう、竜斗からの提案か。どんなものなのだ?」
 俺は、ずっと考えていた。
 俺はなんだってするってミラに約束したけど結局俺ができたのはこの話し合いの環境を作ることだけだった。
 これだけじゃ俺がここまでやってきた意味がない。まだ誰も救えてないんだから。
「今、この戦争で優勢なのはフリルさんの方ですよね?」
「ええ、そうね。今の結果的に見ればそうね。」
「それを考慮せずに和解というのはフリルさんの方に問題が起こると思うんです。なのでフリルさんの方から、ガルド様の方に対して一つだけなんでも要求できるというのはどうでしょうか?」
「ふむ………なるほど。だが、それだと私の方にも少し問題が出てしまう。まだ負けを認めた訳では無いのにその要求を呑んでしまうとな……」
「お、お父様、一つだけ要求を聞くだけでいいんですよ!?何を考えて……」
「それは分かっている。だが、私たちの兵はこの戦争で多数死んでしまっている。その兵の親、仲間が何も言わずに入れると思うか?」
「うっ……それは…………」
「ガルド様の言っていることはもちろん理解しています。なので俺でどうにかならないでしょうか?」
「ん?どういうことだ、竜斗?」
「俺がお互いになんでも支援します。なんでも要求を聞きます。俺にどれくらいの価値があるか分かりませんが俺ならなんでもしますので。」
 俺は真剣な表情を作ってそう言った。
「っ!竜斗!それはダメですよ!竜斗にはたくさんお世話になっているのにこれ以上竜斗に色々させるのは………」
 俺の言った言葉にミラが立ち上がり反対してきた。
「ミラ、竜斗が言っている事なんだからお前が何か言う資格はない。竜斗がそうしたいと言うならそれを尊重させるべきだ。」
「っ!で、ですが………」
「私もそう思うわよ。竜斗には確かにお世話になりっぱなしだけど竜斗自身がそう言うならそれを受け入れるべきよ。」
「…………分かりました。すいません、口を挟んでしまって。」
 ミラは、ガルド様とフリルさんに注意された後、頭を下げてソファに座った。
 俺は、切り替えて話を進める。
「俺は、今言った通り、お互い要求にはなんでも応えさせていただくつもりです。ですが、無理なことはちゃんと理由を伝えて断りますので。この前のガルド様のような要求には。」
「ははっ、抜け目がないな。」
「お、お父様、竜斗に何かお願いでもしたのですか?」
「まぁ、ちょっとな。でも、すぐに断られたよ。」
「も、もう、やめてください。竜斗にはたくさんお世話になっているんですから。」
 ミラがガルド様に対して注意するところは初めて見たな。王族であってもちゃんと家族なんだなって思えるような光景だ。
 もう少し見ていたいが俺は、進行役なので2人を止めてから話を続ける。
「……ゴホンっ!」
 我ながらわざとらしい咳払いと思うがそっちの方が効果があったようで2人は話すのをやめた。
「ガルド様とフリルさん、これが今俺に出せる和解してもらうための条件なんですがよろしいでしょうか?」
「まぁ、竜斗にお願いするかどうかは分からないけど私はそれでいいわよ。」
「私もこの条件で戦争が終わってくれるのなら助かる。もし、不満を言う奴がいれば私が直接言おう。」
「ありがとうございます。フリルさん、ガルド様たちの方に要求することは何ですか?」
「そうね………ガルド様には人の自由を奪わないって約束してもらいたいわね。」
「本当に今日は立つ瀬がないな。分かった、約束しよう。」
 ガルド様は、少し苦笑を浮かべてフリルさんの要求を呑んだ。
 そして、今日をもって決まったことがひとつある。
「それではここに和解が成立したと認めます。」

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