クラス転移で俺だけずば抜けチート!?

白狼

487話 誰かのため

 俺がフリルさんに報告した後、瑠璃さんに呼ばれていたので瑠璃さんの部屋へ行くことにした。
 瑠璃さんの部屋の扉をノックして入室の許可を貰った後、部屋の中に入る。
「ごめんね、りゅーくん、急に呼んじゃって。」
「いや、別にいいよ。それでなんの用かな?」
 俺がそう聞くと瑠璃さんは急にもじもじし始めた。
「えっと……ね……私、りゅーくんと会う前は……ううん、会ったあともだけどすごくフリルさんのお世話になったの。それでね、なにかお礼がしたいなって思ってるの。でも……私だけじゃ出来ることって限られてるから…………お願い!りゅーくん!少しだけでいいから手伝って!」
「……………」
 驚いた。
 いつも控えめの瑠璃さんが俺にお願いしてくるなんて。それほどフリルさんにはお世話になっているって思っているんだろう。
「………ダメ……かな?」
 瑠璃さんは、俺が答えないので不安になったのか上目遣いでそう聞いてきた。
「あ、いや、悪い。少し考え事をしていてな。いいよ、手伝う………と言うよりも俺もさせて欲しい。俺だってフリルさんにはお世話になってるんだからな。」
 俺がそう言うと瑠璃さんの表情がパァーっと明るくなった。
「ありがとう!りゅーくん!一緒にフリルさんを驚かせちゃおう!」
「ああ、そうだな。…………と言ったものの今から用意するとなると限られてくるな。」
「あっ、一応準備……というか少しくらいは形になってるから。」
「ん?どういうこと?」
「えっと…………」
 瑠璃さんは、自分のアイテムボックスの中からフリルさんを模したような木の人形を取り出した。
「私がプレゼントしたいのはフリルさんのお人形なの。」
「へぇー、結構上手くできてるな。フリルさんってことは一目見て分かるよ。」
「ふふっ、そうでしょ?私、結構工作とか得意だったからね。」
 と、ドヤ顔で主張する瑠璃さん。
 だが、すぐにそれを崩す。
「でも、結局時間的に間に合わなくて……」
 俺は、もう一度その人形を見てみる。
「特にこれといっておかしいとは思えないけど………何がダメなの?」
「色が全然ついてないでしょ?」
「あ〜、確かに。…………でも、この世界ではこういう人形って色は塗られてないぞ?」
「うん、だから最初はこれでもいいのかも?って思ったんだけど……やっぱり妥協なんかしたくなかったの。フリルさんは、私たちのことをちゃんと知ってるから私たちの文化を伝えるためにもちゃんと色を塗りたい。」
 瑠璃さんの言いたいことは分かる。
 でも、そうなると色塗りの時間が圧倒的に足りない。
 こんなに上手く出来ているから色塗りを適当にしたらそれが台無しになってしまう。
「………瑠璃さん、俺ができるのは場所と時間を用意するだけだよ。」
 今の俺にできる最大限がこれだ。
 この人形に俺ができることは無い。だってこれは瑠璃さんのフリルさんへの想いが詰まった作品なんだから。
「うん、それだけでもすごい助かるよ。ありがとう、りゅーくん。」
「でも、そうなると俺もなにか作らないとなぁ。」
 瑠璃さんみたいに前もってやっていた事がないから………今から何か作るのは無理だな。それに今の左腕がない状態ならなおさら。
「っと、悪い。今、準備するね。」
「あ、うん、ありがとね。」
 俺は、そう言って空間魔法の空間に入るためのゲートを開いた。
「ここの空間の中は現実世界での1分がこっちじゃ1時間なんだ。だから思う存分出来ると思う。」
「そ、それなら絶対に間に合うよ!ありがとう!りゅーくん!」
「でも、約束してくれ。」
「約束?」
「ここは使ってもいいがちゃんと食事と睡眠は取ること。これは絶対に守ってくれ。」
 俺は、それが出来なくて何回もシェレールたちを心配させてしまったからな。
「う、うんっ!ちゃんと約束する!」
「なら、よし。あ、ちゃんとアイテムボックスの中に食料入ってる?」
「えっと…………うん、1ヶ月分くらいの食料は余裕であるよ。」
「そっか。それじゃ、俺は、出て行くな。作業が終わったり、何か問題が起きたらこのボタンで俺に知らせてくれ。あっ、それとあっちの方に見える屋敷は勝手に使ってくれ。キッチンもあるしトイレと風呂も用意してある。」
「何から何までありがとう。それじゃ、遠慮なく使わせてもらうね。」
「ああ、じゃあな。満足のいく物も作るんだぞ。」
「うんっ!」
 俺は、その返事を聞いた後、空間の外へ向かった。

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