クラス転移で俺だけずば抜けチート!?

白狼

449話 夢

 フリルさんの部屋を出て浴場へ案内された俺は男湯の方の暖簾をくぐり脱衣所で服を全て脱ぎ、タオルを1枚持って浴場へ入る。
「おお〜、広いな。」
 俺の一言目は驚きの声だった。魔王城のお風呂よりもでかい気がする。
 俺は、まず湯船に浸かる前に髪と体を洗い体を綺麗にしてから湯船に浸かる。
「ふぅ〜、今日の疲れが取れる〜。」
 俺は、風呂でゆっくりと体を温める。
 そう言えば今日は、色々あったな。
 ってか、あんまり気にしてなかったけど今日俺、ずっと気を張ってたな。
 ミラたちの世界では朝から避難者たちを探してそれで見つかってみんなで喜んでから俺だけあの場を抜けてそれで夜になっていてあの男に連れられてこの星へとやって来たけどそこでも最初は殺気を浴びせられるわ、俺の記憶になかった過去のことが知れたり、フリルさんに怒鳴ったりして本当に色々あったな。
「さすがに疲れた。」
 俺は、疲れを吐き出すかのようにはぁ〜と息を吐いた。
 そういえばミラ、絶対に怒ってるよな。
 言い訳はどうしようか。
「………………」
 あ、やばい。眠そうだ。
 こんなところで眠ったらさすがにやばい。
 一旦出よう。
 俺は、そう思って重たい体を動かし湯船から上がる。
「……ぅ………」
 上がった瞬間、俺は急に目の前が暗くなり意識が遠のいていった。
「………りゅーくん!」
 誰かに呼ばれた。こんな呼び方をするのはたった1人だけ。
 瑠奈さんしかいない。
 そして、その人は今、俺の目の前にいる。
 小さい子どもの姿で。
 子どもの瑠璃さんは今の俺は方を向いておらず俺の横にいる子どものときの俺の方に視線を向けていた。
 どうやらこれもまた夢を見ているらしい。
 今回は家の中で家族みんなで夜ご飯を食べている。
「ん?何?」
「明日、お父さんが遊園地に連れていってくれるって!」
「遊園地!?」
 子どもの俺は、遊園地という単語に目を輝かせる。
「明日は、久しぶりに休みが取れたからね。たまの休みくらいは子どもたちの相手をしてあげるよ。」
「「わーい!」」
 瑠璃さんのお父さんの言葉に俺と瑠璃さんは手を挙げて喜ぶ。
「それじゃ、私も明日の朝は頑張ってお弁当を作っちゃおっかな!」
「私!ママの卵焼きが食べたい!」
「俺は、唐揚げが食べたい!」
「パパは、きんぴらごぼうが食べたいな〜。」
「パパ、おじいちゃんっぽい!」
「なっ!?る、瑠璃……お父さんはまだまだ若いぞ?」
 実の娘である瑠璃さんからそんなことを言われて傷ついている瑠璃のお父さん。
 そんな瑠璃のお父さんを見て笑う俺、瑠璃さん、瑠璃さんのお母さん。
 幸せな家庭だと思う。
 そう思った瞬間、突如その光景が消えてまた違う光景が映った。
 違う光景といっても場所は全く一緒だ。
 だが、何かが圧倒的に違った。
「……………」
「……………」
「……………」
 瑠璃さんたちは、無言で料理を食べていた。そして今さっきまで子どもの俺が座っていたところには何も置かれておらずその席にも誰も座っていない。
「………りゅーくん……」
 瑠璃さんは、寂しそうな表情で俺が座っていた椅子をずっと眺めていた。
 瑠璃さんのお父さんとお母さんも瑠璃さんにつられ一緒に俺の居た席を眺める。
 俺は、既にあの親に連れて行かれてしまった後なのだろう。
「………ママ、またりゅーくんに会えるよね?」
「え、ええ……い、いつかは会えるわね。」
 瑠璃さんのお母さんは、また会えるとは断言できなかった。
 今さっきのすごい幸せな空間とは全く違う暗く重たい空間が俺の目の前にある。
 …………俺が苦しんでいた時、瑠璃さんたちも悲しい思いをしていたのか。
 なんだかそう思うと途端に目が熱くなってきた。
 別に苦しむ仲間が欲しかったわけじゃない。だけど、俺のことを考えてくれる人がこの時にいたと思うと本当に嬉しくなった。
「………起きたら瑠璃さんともっと昔のことについて話してみよう。」
 俺は、そう心に決めてまぶたを下ろした。

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