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クラス転移で俺だけずば抜けチート!?コミカライズ!

白狼

440話 初対面同然

「……………」
 あれ?何も見えない。
 今さっきまで見えていた景色が嘘のように全て消え去り、暗闇の中に残される。
 でも、なんだろう。なんだかすごい気持ちいい。
 今さっきまで、不快感がたっぷりだった分、この気持ち良さはありがたい。
「…………ん…………くん」
 ん?なにか聞こえる。
「……りゅーくん………起きて〜……」
「ん……んん………」
「ひゃっ!?だ、ダメだよ、りゅーくん!頭動かしたら、くすぐったい。」
 この声は………
 俺は、瞼をゆっくりと上げる。
「……んん………」
「ほっ、良かった、ようやく起きたんだね。」
「……………っ!」
 俺は、今の状態がどんなものかに気づく。
 俺の頭には確かに幸せだと感じられる。
「わ、悪いっ!」
 俺は、今の状態を終わらせるため、体を起き上がらせた。
 俺は、逢坂さんの膝枕を堪能していたみたいだ。後頭部にはまだ逢坂さんの太ももの柔らかい感触が残っている。
「え、えっと、すいませんでした、眠ってしまって。」
 俺は、逢坂さんに向かって謝罪する。
 逢坂さんは、今さっきまで俺の頭が乗っていたところを見て嬉しそうに微笑んでいた。
「あ、あの、逢坂さん?」
「あ、ごめんね。………それよりも、りゅーくん、敬語、やめていいよ。」
「え?ですが………」
「夢で見たでしょ、私とあなたは、昔からの知り合っていてとっても仲がよかったことを。」
「っ!………もしかして、あの夢は逢坂さんが?」
「うん、私のことを思い出して欲しくて……ちょっとね。それで………思い出してくれたかな?」
「えっと………正直に言うと俺にあんな楽しい思い出があったなんて全く知らなかった。いや、覚えていなかったんだ。だから、逢坂さんには悪いけど俺は逢坂さんのことを全く覚えていないんだ。」
「………そっか。仕方ないよね。りゅーくんも色々あったんだもんね。」
「たしかに色々あったし苦しかったこともあった。でも、それで逢坂さんとの記憶を忘れるって……悪いよね。」
「ううん、大丈夫だよ。……私は、りゅーくんが元気そうにしてくれているんだからそれで満足だよ。」
「ありがとう、逢坂さ……」
「ねぇ、そろそろ瑠璃ちゃんって呼んでくれないかな?りゅーくんは、私のことをそう呼んでいたんだよ。夢で見たでしょ?」
「ま、まぁ、確かに呼んでたな。」
「ね?だったら………呼んで。」
 逢坂さんの期待の眼差しが俺へと突き刺さる。
 逢坂さんは、俺のことを覚えていて昔のように接して欲しいのかもしれないが俺は、記憶をなくしてしまってるわけで初対面なのも同然だ。そんな相手にいきなり下の名前で呼ぶなんて………結構ハードル高いよな。
 俺が渋っていても逢坂さんの視線はずっと突き刺さったままだ。
「………さ、さすがに前のようにちゃん付けは抵抗があるので………瑠璃さん……なら……」
「うん!それでいい。ちゃんと呼んでくれてありがとう、りゅーくん!」
 瑠璃さんは、嬉しそうににぱぁーと笑う。
「………えっと、色々と聞きたいことがあるから……ちゃんと話をしていいかな?」
「あっ、そうだったね。りゅーくんは、話をしに来たんだよね。」
「多忙なところ、わざわざ時間を取ってもらったんだからちゃんと話したいことは話しておきたい。」
「ん?私、そんなに忙しくないよ?」
「え?い、いや、でも、あの男と会ってようやく時間が出来たから会いたいって……」
「あっ、多分それ、私じゃないよ。私、この星では一応身分が高いけどあんまりやることがないんだ。正直、私にできることってあんまりないからね。」
「えっ、じゃ、じゃあ、一体誰が俺を呼んだんだ?俺は、ここの親玉に会いたいって言ったんだけど……」
「親玉っていうのはこの星で一番偉い人のことだよね?多分それは、私なの。でも、私の代わりに色々と仕事をしてくれてる人がいて……多分その人があなたを呼んだんだと思う。ごめんね、色々と誤解させちゃって。」
「い、いや、いいんだけど………今から、その人と会えるのかな?」
「う〜ん……どうだろう。一旦、行ってみよっかな。」
 瑠璃さんは、そう言うと椅子から立ち上がって部屋の扉を開けてメイドたちとちょっと話してから俺を手招きして俺を呼んだ張本人のところへと案内してくれた。

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