クラス転移で俺だけずば抜けチート!?

白狼

439話 壊れる幸せ

「あはは!」
「ふふっ!」
 ………誰かの声がする。とても楽しそうな笑い声だ。
 あの子たちが楽しそうに笑ってる。綺麗な草原で楽しそうに遊んでいる男の子と女の子。
 ああ、これは夢か。
「……………」
 なんだ、この感じ。
 俺は、この景色をどこかで見たことがある?
 それにあの男の子。
「………まさか………俺?」
 ははっ、そんな事ありえるわけないか。
 だって、俺にあんな楽しそうにしてることなんて前の世界ではなかった。
「ねぇ、りゅーくん、次は何して遊ぶ?」
 りゅーくん………確か、俺が気を失う前に逢坂さんが俺のことをそう呼んでいたような………
 いや、でも、あの女の子は男の子と同い年くらいだ。
 逢坂さんは、俺よりも年上だった。やっぱりただの勘違いだ。
 そう思っているのに1度あの女の子を逢坂さんと思ってしまったからか、どことなく雰囲気が逢坂さんと似ているように感じてしまう。
「いや、そんなことありえない………」
 だって俺にはあんな記憶………
 俺がそう思っていると目の前の景色が光に包まれる。
「うっ………」
 場所は変わってどこかの家の前。
 そこには今さっきの男の子と女の子。それとその親と思われる人。
「やだよ!りゅーくん!行かないで!」
 女の子は、泣きながら男の子の手を引っ張り男の子がどこにも行かないようにする。
「ダメよ、瑠璃!竜斗くんは、ちゃんと家族の場所に帰らなきゃいけないんだから。そこが竜斗くんの帰るべき場所なんだから。」
「や〜だ〜!」
 わがままを言う女の子の親がその女の子の手を無理やり男の子の手から離させた。
「………」
 男の子は、どうしたらいいか分からない状況だ。
 自分の親の元へ戻っていいのか、女の子のそばにいるべきなのか。
「…………お母さん?」
 いや、違う。
 男の子は、自分の親に対して親だという感情を持っていない。まるでこの人が親だということを初めて知りまだ理解ができていない状態だ。
「すいません、長い間、お世話になりました。今日からはしっかりとこちらで育てていきますので。今までありがとうございました。ほら、竜斗、あなたもお礼を言いなさい。」
「えっと………ありがとうございました?」
 男の子は、なぜお礼を言っているのか理解出来ていないようだ。
 そして、その男の子はその親に手を繋がれて歩いていってしまった。
 女の子は、そんな男の子を見てさらに鳴き声が大きくなった。
 そして、また場所が変わる。
 今度は、女の子はおらず男の子とその親だけで家の中にいた。
「ねぇ、お母さん、るりちゃんの所遊びに行っていい?」
「何度言えばいいの!あそこにはもう近寄るなって言ってるでしょ!」
「で、でも、僕まだ、るりちゃんと遊びたい。」
「うっさいわね!ここからじゃ遠すぎて行けないのよ!遊ぶんなら一人で遊んでなさい!」
 そう言って男の子の親は、家から出て行った。
 男の子は、その場に残されてしまい何をしていいのか分からず窓を眺めていた。
「…………るりちゃん……」
 だが、男の子は、女の子のことが気になったのか家から飛び出してしまった。
「遊びに行くだけだもんね。これくらい大丈夫。」
 男の子は、そう言って走り去ってしまった。
 そして、また場所が変わり今度は男の子一人だけで道を歩いていた。
「………ここ、どこ?」
 どうやら男の子は、あれから道に迷ってしまったらしい。
「ワンワン!」
「ひっ!」
 野良犬が男の子に向かって吠え、それに驚いた男の子は、走って逃げる。それを野良犬は、追い掛ける。
 男の子は、野良犬から逃げようと色々なところを走り回りもう既に自分がどうやってここに来たのか覚えていなかった。
「………僕はただ、またるりちゃんと遊びたかっただけなのに………」
 男の子は、泣いてしまう。
 そして、時は過ぎていって夜になった。
 男の子は、涙をずっと流したままどこかへ向かって歩き続けていた。
 そして、また場所が変わる。
「………ここは、交番?」
 俺の目の前にあったのは前の世界にあった交番だ。そこで今さっきの男の子とそしてその親が警察官に向かって頭を下げていた。
 また場所が変わり今さっきと同じ家の中。今さっきまではずっと母親だけだったが今回は父親までもいた。そして、その2人は、男の子に対して暴言を吐き暴力を振るっていた。
「これは…………」
 この状況、これは記憶にある。
 ということはこれから………
 俺がそう思うと、どんどん場所、時間が変わっていき男の子が成長していく。だが、親の暴力は絶えなかった。
 そして、その男の子が高校生になった。
「………俺……」
 そこにはクラスメイトからもいじめられる俺の姿があった。
 ってことは、やっぱりあの男の子は俺で……あの女の子は逢坂さん………なのか。
 俺は、暴力を受けていたことで記憶を失っていたっていうのか…………
 でも、どうしてその逢坂さんが異世界に………

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