クラス転移で俺だけずば抜けチート!?

白狼

430話 思い入れ

 王城で避難経路を見つけた翌日。
 今日はみんなで避難先へ向かい住民の無事を確認する。
「みんな、ちゃんと手繋いだか?」
 俺は、そう言ってぐるりと周りを見て全員がちゃんと手を繋いでいることを確認する。確認し終えた後、俺はミラと手を繋ぎまずは王城へと転移した。
 なぜ王城に向かうかと言うとそこからが1番近いというのが理由だ。ミラだけなら飛行のスキルで飛んでいくのだがさすがにこの人数となると飛ぶなんて到底不可能である。だから、なるべく近くへと行ってそこから歩くことにしたのだ。
 王城へと着くとサラサたちは懐かしそうに王城を見る。
「みなさん、今日、何をするのか忘れたのですか?」
 ミラは、そう言ってみんなを指摘する。
「す、すいません。王城へと来たのも随分と久しぶりだったので……」
「分かればいいのです。みなさん、時間を無駄には出来ませんよ。早速行きましょう。」
 ミラは、そう言って避難先の山へと向かった。
 ミラは、昔その山によく行ったことがあるということでその経路は覚えているらしい。
 俺たちは、先導するミラについて行き避難先を目指す。
 そして、それから少し休憩をとりつつ1時間ほど歩く。
「あっ、見えてきました。」
 ミラがそう言って一つの山に指さした。
 ミラが指さした山も周りの山も全て草木が枯れている。緑ひとつない。正直、あんな山に人がいるなんて思えない。
「本当にあそこなのか?」
「はい、間違いありません。」
 ミラが間違いないとまで言うのなら間違いないのだろう。
「そっか。疑うようなこと聞いてごめんな。」
「いえいえ、あれほど酷く枯れてしまっているのですから仕方ありませんね。」
 ミラは、少し寂しそうに山を眺めてそう言った。自分の思い入れのある景色が唐突に変わっていたらそれはものすごく寂しいだろう。
「ミラ………行こっか。」
 ここで慰める言葉をかければいいのだが……今は、そんなことをしている暇はないだろう。ミラだってそう感じているはずだ。
「………はい。」
 俺の思った通り、ミラは一瞬目を閉じた後、真剣な目付きになり頷いた。
 それから俺たちは、休憩を入れずに山の麓までやって来た。
「ミラ、ここから先の避難経路は覚えているか?」
「はい、大丈夫です。」
 ミラは、そう言って自信満々に山道を登る。
「あそこの洞窟が避難先になっているはずです。」
 ミラの先にはひとつの穴があった。
 ミラは、住民の安全を早く確認したいのか早足になっていた。
 洞窟の中に入るとそこはだいぶ暗くてとても人がいるとは思えない。
 まぁ、でもすぐ入って人がいると分かったら避難先としてはあまり意味が無いよな。
 ミラが早足で先に行ったので俺たちは少し遅れてしまいすぐに追いつくため、俺たちも早足になった。
 洞窟の中を歩き続けるも人の話し声などは全く聞こえない。
 そのせいかミラの表情に焦りが見え始める。
 10分経過しても何も見えないのでミラは、とうとう走り始めた。俺たちもミラに遅れを取らないように走った。
 今さっきから魔力感知でこの洞窟の奥の方を調べてるけどなんの反応もない。でも、そんなことを教えるとミラはさらに焦ってしまうだろうから黙っておこう。
 洞窟の中をずっと走り続けるが人の気配は全く感じない。
 それにミラもサラサたちも息が上がり始めている。
「ミラ、一旦休憩を取ろう。」
「はぁはぁ……………はい、そうですね……」
 ミラは、案外素直に受け入れてくれた。
 きっとこの前のことで少しは自分が焦りを感じていることに敏感になったのだろう。
 ミラが休みを取るというとサラサたちは次から次へとその場に座り込んだ。
「ミラたちは、そこで休んでいてくれ。俺が奥の様子を見て来るから。」
「そ、それなら私も……」
「ミラは、疲れてるだろ。ちゃんと休んでろ。」
「………分かりました。」
「それじゃ、行ってくるな。」
 俺は、そう言って身体強化を掛けて洞窟の中を進んでいった。

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