クラス転移で俺だけずば抜けチート!?

白狼

424話 広がる不安

 ミラたちの星に来てもう既に2週間ほど過ぎた。初日から一つも進展していない。
 時間は経つのに俺たちは何も進んでいないのだ。もちろんあの男からのそのあとの情報も全くない。
「はぁ……」
 衛兵の誰かからため息を吐く声が聞こえた。最初の方はサラサがそれを注意していたがもうそれがずっと続くのでもう諦めていた。と言うよりもため息をしない方がおかしいのだ。俺たちの散策範囲を広げれば広げるほど残酷な現実が見える。俺は、もうずっと緑色を目にしていない。水だって川の水は濁っててそのまま飲めるものでは無い。だから、いつも俺の水魔法で間に合わせている。この人数の水が必要なのでそれ相応の大きなバケツが必要なのだがそれを置くスペースが全くない。なので、小さなバケツを何個も用意して外へ繋がる通路に何個も置いてそれで間に合わせている。
「………………」
 ミラも時間が経つにつれて徐々に焦り始めている。ミラは、もう俺が魔法で眠らさないと全く眠らなくなってきていた。
 そんなミラを見て周りもどんどん不安になっていく。
 これは、少しやばいかもな。
 今、一番起こって欲しくない事は誰かが過労で倒れることだ。それが一番起こりそうなのがミラだ。ミラは、優しいからな。責任とか全て抱えてこんでいるんだろうな。だから今、眠れていないのだろう。
「………みんな、今日は少し休もうか。」
 俺は、今日の予定を決める会議の中、そんな提案を出した。
「それは出来ません。」
 そして、ミラから即答が帰ってきた。まぁ、予想してた。
「みんな苦しんでいるのに自分たちだけ休んでいられない………そう言いたいんだろ?」
 俺は、ミラに向けてそう言った。
「当たり前です。私は、この星の姫なんです。民衆を一番に考えて行動しなくてはいけません。だから、こんなところで休んでいてはいけないのです。」
「ミラの言いたいことも重々承知してるし俺だって早くみんなを助けたい。でもな、それでミラが倒れたら意味がないんだよ。俺は、シェレールたちの前で何度も無茶をしてそれで倒れて何度もシェレールたちを不安にさせた。そんな俺だから分かる。今は、焦る時じゃない。今は、準備をする時なんだ。みんなを救うんだ。このままずっと調査をしたって意味が無い。労働のし過ぎは体を壊すだけだ。」
「確かにそれはそうですが………私だけでも……」
「ミラが一番危ないんだよっ!!」
「っ………」
 俺は、ミラの言葉をさえぎりそう叫んだ。すると叫ばれたミラは、少し怯み、周りのみんなも黙ってしまった。
「ミラは、働きすぎなんだよ。何も成果が出なくて焦るのは分かる。でも、それでミラが倒れたら希望だってどんどん小さくなっていく。」
「で、ですが………」
「大丈夫だ。この前、ミラたちが起きる前に王城に行ったらミラのお父さんとお母さんが元気そうにしてたよ。」
「お父様とお母様が!?」
「ああ、初日に俺が治してから元気になったんだろうな。これで少しは街の人たちの安全は保証されるだろ。だから、ミラ、少しは休め。」
「竜斗………分かりました。少し仮眠をとるとしましょう。」
 ホッ、やっと休む気になってくれたか。
「その前にお風呂に入ってきますね。」
「ああ、そっちの方が疲れも取れるだろうからな。」
「それでは竜斗、お願いできますか?」
「ああ、分かったよ。」
 俺は、そう言って空間に繋がるゲートを開いた。
 俺は、一応お風呂専用の空間をだいぶ前に作っておいたのだ。こういう時に役に立ってくれるから作っておいて良かったな。
「それじゃ、上がったらベルで呼んでくれ。」
「はい、では、少し入ってきますね。」
 ミラは、そう言うとゲートをくぐった。
 ミラを見送ったあと俺は、ゲートを閉じる。すると、そこでサラサが声を掛けてきた。
「竜斗さん、ミラ様の件、ありがとうございました。私たちもどうやってミラ様に休息を取ってもらおうか考えていたのです。」
「そうか。まぁ、ミラは、少し強情なところがあるからな。まっ、それがいい所でもあるんだけどな。」
「本当にそうですね。」
「それじゃ、サラサたちも休んできていいぞ。」
「竜斗は、どうするのですか?」
「俺も少し休息が必要と思ってるから寝ようと思う。」
「そうですか。では、私たちも少し寝ます。」
「ああ、そうしてくれ。」
 俺は、そう言ってサラサたちを送りミラがお風呂から上がるのを待った。

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