クラス転移で俺だけずば抜けチート!?コミカライズ!

白狼

406話 最後の挨拶

 みんなにとってミラたちとの最後の昼食を終え1時間程、ゆっくりしてからみんなで宇宙船のあるところへ行く。
 ちなみにサラサたちが乗ってきた宇宙も俺たちのところへ移動させてある。
 異世界の宇宙でも無重力なので普通ならそれに対応したコスチュームを着用する必要がある。現にミラたちは最初に出会った時の服を身につけている。
「あの、本当に竜斗は、着なくていいんですか?」
 ミラは、俺用のコスチュームを持ってきてくれたのだが俺は、前もってナビに色々と聞いていたので無重力に耐えられるスキルを作っていてコスチュームは不要だった。
「ああ、俺は大丈夫だ。わざわざ用意してくれたのに悪かったな。」
「いえ、出すだけでしたので手間でもありませんでした。」
「そっか………それよりも俺じゃなくてみんなと話してきてくれ。最後の挨拶だ。」
「は、はい、そうでしたね。」
 ミラは、持ってきてくれた服を一旦宇宙の中に置くとみんなの方を向いた。
「皆さん、本当に今までお世話になりました。全く身元も分からない私なんかに良くしていただき本当に嬉しかったです。」
 ミラは、そこまで言うと軽く頭を下げる。
 そして、またみんなの方を向き口を開く。
「皆さんにしてもらったこと、心から感謝しています。またいつか、私たちの争いが終わったその時はみんなにお礼をしにこの星へ着たいと思います。」
「ええ、絶対に来てね。約束よ。」
「はい、約束です。」
「ミラさん、またこの星に来たらいっぱいお話しようね。」
「はい、白井さんの世界のこと、もっと知りたいです。なので、絶対にお話しましょうね。」
 どうやら白井はミラに自分が異世界から来たことを教えているらしい。そういえば俺は教えてないな。今度話しておくか。
「ルビーさんもまた来たら色々と魔法のこと、教えてくださいね。私にとってルビーさんは師匠も同然ですから!」
「わ、私なんてまだまだですよ。私よりも師匠のことを師匠と呼んでください!」
 ルビーは、少し恥ずかしがってシェレールの方に差し向けた。するとシェレールは、少し微笑んでから
「私は、あまりミラさんに魔法は教えてませんよ。魔法のことを主に教えていたのはルビーです。だったら必然的にルビーさんが師匠と呼ばれるべきでしょう。」
「う、うぅ、そ、そんな〜」
 ミラは、真っ赤になった顔を両手で覆って恥ずかしがっていた。
「ふふっ、では、次来た時はルビーさんのこと、師匠って呼びますね。」
「うぅ………拒否権は………?」
「当然ありません。」
 ミラは、少しいたずらをする子どものような顔をしてそう告げた。
「うぅ〜」
 恥ずかしがっているルビーを見てみんな、笑い始めた。
「ふふっ、本当に皆さんといた時間は楽しかったです。……………ですか、そろそろお別れの時間ですね。私を待っている人たちがいるのですから私はそろそろ行かないといけません。………絶対にまた来ます。」
 ミラは、そう言うと今さっきよりも深く頭を下げた。
 そして、ゆっくりと顔を上げて俺の方を向いた。
「竜斗は、皆さんに何か言わなくていいんですか?きっと、長い旅になると思いますよ?」
「ん〜、そうだなぁ。…………生きて帰ってくるよ。」
 俺は、みんなに向けてそう言った。
「それだけ………ですか………旦那様……」
 するとシェレールが少し呟いて俺の前へとやって来た。
「どうしたんだ?」
「…………これ、受け取ってください。」
 シェレールは、そう言って手で編んだと思われる服を渡してくれた。
「ふ、服っ!?これ、いつ作ってたの?」
 俺は、貰った服を掲げてシェレールに尋ねる。
「空いた時間でコツコツ作っていたんです。」
 あっ、そう言えば俺と喧嘩した時も何か編んでたな。これだったのか。
「………私、ちゃんと待ってますから。」
「ああ、待っててくれ。」
 俺たちは、そう一言だけ言い合うとお互いさらに1歩、歩み寄り俺はシェレールの腰にシェレールは俺の首周りに手を回した。そして、ゆっくりと顔を近づけてキスをした。
「…………行ってらっしゃい、旦那様。」
「行ってきます。」
 俺は、そう言うとシェレールの腰から手を離した。シェレールもゆっくりと俺から離れて1歩下がった。
 俺は、今さっきまでいた位置に戻る。
「俺も済んだよ。」
 ミラは、俺がそう言うと確認するかのように首を縦に振ってみんなの方を向いた。
「それでは皆さん、本当にお世話になりました。私たちも戦争を終わらせるため、頑張りますので皆さんも頑張ってください。それでは、さようなら。」
「またな、みんな。」
 俺たちは、一人一人挨拶を済ませ宇宙船へと乗った。サラサたち衛兵は、この星に来る時に乗ってきた宇宙船を使い、俺はミラと2人でミラの宇宙船に乗った。ちなみにミラの宇宙船とサラサたちの宇宙船は、連絡可能になっている。
「それでは、出発します!」
 ミラは、そう言ってなにかのボタンを押した。
 窓からは、みんながこちらに手を振っている景色が見える。
 この宇宙船は、星に帰る時は出発するボタンさへ押せば自動で動くらしくミラは、操縦席から離れてみんなに向かって手を振っていた。俺もみんなに手を振った。みんなが見えなくなるまで2人で振った。
 そして、大気圏を超えて俺たちは暗闇が続いている宇宙へとやってきたのだった。

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