クラス転移で俺だけずば抜けチート!?

白狼

381話 人として

「……じゃあ……もし……ここで……竜斗に……告白したら……受け入れてくれる?」
 日が落ちる寸前、クロムは真剣な顔でそう告げた。
「……私の……想い……受け止めてくれる?」
 クロムは、今までとは違う告白をしてきた。俺が適当に断ってもこの前まではそれでうやむやに出来たけどきっと今はそれが通じない。そう思えるほどに今回は一段と強気だった。
「…………………クロムの俺を好きって想ってくれることは本当に俺、嬉しいと思ってる。クロム、まだ小さいけどそれでも十分に可愛らしいから本当に俺にはもったいない。それを棒に振るなんて普通ならありえない。でも………」
「……シェレールが……好きだから……でしょ?」
 クロムは、俺が言おうとしていた言葉を先に言い当てた。
「あ、ああ、そうだ。俺は、シェレールのことが好きだ。シェレール1人を幸せにすることで手一杯だ。だから………クロムには悪いけど本当にクロムの想いを受け止めることは出来ない。」
「……うん……知ってる……」
 クロムは、震えた声でそう言った。瞳にはもう涙が溜まっている。
「……竜斗が……シェレールのこと……好きで……私の……想いに……応えられないことは……とっくに……知ってる……でも……でもね……やっぱり……竜斗のことが……好きだから……諦められない……」
 クロムは、溜まっていた涙がこぼれ落ち地面へと落ちる。でも、クロムはその涙を拭おうとはしなかった。
「……竜斗……好き……大好き……私だって……シェレールと……同じくらい……ううん……シェレールよりも……好き……って思ってる……愛してる……って思ってる……」
 クロムは、子どもがわがままを言うように俺に愛の告白を続ける。
 俺は、本当にこの世界で恵まれすぎている。シェレール、クロム、白井、ユイ、ルビー、レイネ、みんなから好意を寄せられて……
「俺、ずっとこう思ってる。俺がもっとすごいやつだったらなって。そうしたらきっとみんなを幸せにできたんだろうな。今、クロムが泣く必要もなかったんだろうな。ずっとそう思ってるよ。」
 俺は、そう言いながらクロムの前に膝をつき目線を一緒にしてからクロムが拭わない涙を俺が指で拭う。
 クロムの涙は全て拭えた。だが、代わりに俺が泣いてしまった。
 自分の弱さが悔しくて泣いてしまう。
「………みんなを………幸せにしてあげたい…………でも…………それは俺には………出来ないんだよ………そんな知識も力も何も無いから……」
「……ううん……それは……違うよ……」
 クロムは、そう言うと俺にそっと抱きついてきた。
「……竜斗は……すごいよ……優しくて……強くて……かっこいい……きっと……みんな……そう思ってるよ……でも……まだ……竜斗に……弱さが……あるとしたら……人としての……弱さ……だと思うの……」
「人としての弱さ………」
「……うん……竜斗の……前の……境遇を……聞いた時から……ずっとそうかなって……思ってた……」
 人としての弱さ。まさにその通りだ。俺はまだきっと、人としてまだ成長出来てないんだろう。成長する過程を得なかったから。普通なら学校で友だちが出来て和気あいあいとして親とも楽しげな会話をするだろう。だが、俺にはそれがなかった。そのせいで今みたいな柊竜斗という不完全な人が出来てしまったのだ。
「……私も……似た……境遇……だから……竜斗の……思い……少しは……分かる……」
「………なぁ、クロム。やっぱり、このままじゃダメだよな。」
 こんな弱いままの俺はきっとみんなにいつか迷惑をかける。と言うよりも既にかけているだろう。
 だから、シェレールを怒らせるんだ。だから、心配させてしまうんだ。
「……竜斗……ん……」
 クロムは、俺の名を呼ぶとそっと俺の頬にキスをしてきた。
「なっ!?え?」
 俺は、驚きのあまり目を見開いてしまった。
「ふふっ……驚いてる……竜斗……まだ……ちゃんと……成長してないなら……これから……すればいいんだよ……まだ……竜斗は……若いんだし……時間は……いっぱいあるよ……だからね……ちゃんと……成長したら……今度は……竜斗の方から……唇に……キス……して欲しいな……」
 クロムは、そう言うと照れたのか俺の胸に顔を埋めた。
 俺は、そんな小さなクロムを抱きしめて思う。
 クロムも言ったように時間はあるんだ。今の時間を大切にして生きていこう。

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