クラス転移で俺だけずば抜けチート!?コミカライズ!

白狼

355話 お願い

 ミラと出会った翌日。
 俺とシェレールは、朝食を済ませて魔王城へと行った。その際、俺はナビに言われた通りにミラの魔法の件をシェレールに任せたいとお願いする。
 まずは、俺がミラに魔法を教えることが出来ないと説明する。
「……ってことで俺じゃ魔法を教えることが出来ないんだよ。だから、シェレール、頼めないか?」
「はい、私は構いませんよ。人に教えていると私も気づかなかったことに気づくかもしれませんしね。」
「ありがとう、シェレール。じゃあ、シェレールが魔法を教えてあげている間に俺はミラの乗っていた宇宙船を直そうと思うから。」
「…………さすがにずっと一緒というわけにはいきませんね。」
 シェレールは、少し寂しそうにそう呟いた。
 俺は、何度シェレールに心を奪われたらいいのだろうか。結婚してからさらに心を奪われるようになったんだが……
 俺は、少しでも照れているのを隠すようにシェレールの手を握りそっぽを向いてこう言った。
「……ま、まぁ、確かにずっとは一緒にはいられないけど………一緒にいる時くらいはこうやって少しでも繋がっていたいな。」
「〜っ!そ、そうですね。絶対に離さないでくださいよ?」
「当たり前だ。ずっと握ってる。」
 俺たちは、言葉通りどちらとも離す素振りすら見せずに魔王城に着いた。
 俺たちは、もうここに住んでいないのに門番の人は俺たちに挨拶だけして何も聞かずに通してくれた。
「本当にすごい信頼されてるな。」
「そうですね。まぁ、旦那様なんですから当たり前ですけど!」
 シェレールは、なぜかいつも俺のことについては妙に自信満々だ。
 俺は、シェレールの態度に苦笑しながらまずはジゼルさんとセレスさんのもとへ向かった。
「今日は、ちゃんとシェレールと一緒なのね。」
 セレスさんが俺たちが部屋に入った来た瞬間にニヤニヤとしてそんなことを言ってきた。
「シェレール〜、あまり竜斗のことを手放しにしてちゃダメよ〜。竜斗のもとには何故かほかの女の子が寄ってくるんだから。」
「分かってますよ!」
 シェレールは、セレスさんに言われたからか握っている俺の手をさらに強く握った。
「あの、それでミラは、今どこにいますか?」
 俺は、このままセレスさんに話を持っていかれると話が進まないと思いすぐに話を切り出した。
「ミラならきっとユイの部屋にいると思うわ。たぶん白井とルビーもそこにいると思うわ。」
「分かりました、ありがとうございます。それじゃ、ユイの部屋に行ってみます。」
「またね〜。」
 俺とシェレールは、ぺこりと頭を下げてユイの部屋へと向かった。
 出ていく間際、ジゼルさんがこう呟いていたのが聞こえた。
「……儂、今回何も話せなかったんだが……」
 悲しそうな声で。
 何か一言くらいかけてあげればよかったと後悔している。
 そんな後悔をしつつユイの部屋へと着いた。
 一旦ノックしてから人を呼ぶ。
「はい〜、どちら様〜?」
 出てきたのはこの部屋の主、ユイだった。
「ミラ、ここにいるか?」
「竜斗とシェレール、もう来てたんだ。ミラならここにいるわよ。まぁ、とりあえず入って。」
「ありがとう、ユイ。」
「ありがとうございます。」
 ユイは、俺とシェレールを中に案内する。
 部屋の中にはセレスさんの言っていた通り、白井とルビーも一緒にいた。
「あ、竜斗、シェレール、おはようございます。」
 ミラは、わざわざ立ち上がって俺たちに挨拶をしてきた。
「おはよう、ミラ。」
「おはようございます。」
「みんなもおはよう。」
「おはよう、柊君、シェレールさん。」
「おはようございます、リュウさん、師匠。」
 みんなと挨拶を交わして俺たちは空いている場所へと腰を下ろした。
「それで俺とシェレールがここに来たのはミラとの約束で魔法を教えることと宇宙船を直そうと思ったからなんだけど……今は、まだ話の途中だよね?」
 女子たちだけのいる空間で話と言うと正しく女子会なんだろう。こんなところに俺がいていいわけがない。
「だから、シェレールだけをここに残して俺はミラの宇宙船を直しに行くよ。シェレールにはミラに魔法を教えてあげてってお願いしてあるから。」
 さすがに女子の部屋で男一人は気まずすぎる。
「ほ、本当にありがとうございます!シェレールさんも頑張りますのでどうぞよろしくお願いします!」
 ミラは、またも立ち上がりまず俺に頭を下げてお礼を言って次にシェレールに頭を下げてお願いをした。
「そ、それじゃ、俺はもう行くね。じゃあ、たぶん夕方くらいに帰ってくるから。」
「旦那様、昼食は………」
「ま、またな!」
 俺は、どんどん気恥ずかしくなりすぐに出て行きたいと思っていたので早口に別れの言葉を告げてユイの部屋を出ていった。シェレールが何かを言っていたけど……帰ってからでいいか。
 俺は、そう思い宇宙船のあったところまで転移した。

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