クラス転移で俺だけずば抜けチート!?

白狼

335話 新しい家へ

「みんな、竜斗殿とシェレール殿に挨拶をしてないやつはいないな。そろそろ、出発してもらうぞ。」
 ジゼルさんがみんなと挨拶を済ませたところでそう言って馬車への道をみんな開けてくれた。俺とシェレールは、その道を歩き馬車の前で止まり振り返る。
「みんな、俺たちの方からも必ず遊びに来ますので。」
「みんなもぜひ私たちの家に遊びに来てください。いつでも歓迎します。」
 俺とシェレールが最後の言葉にそう言うと俺たちは、お互い顔を見て一緒にこう言った。
「「お世話になりました、本当にありがとうございました!」」
 最大の敬意を込めてそう伝えると頭を下げた。
 俺は、ゆっくりと頭を上げた。シェレールは、いまだに頭を下げて続けている。
「シェレール、そろそろ行こうか。」
「………はい……」
 やはり名残惜しいのかシェレールは、小さな声で俺に返答してくれた。
 だが、俺は特になにも声をかけることなく馬車に乗った。
 そりゃ当然だ。別れが寂しいと思わないやつなんていないんだから。だから、ここで変に声をかけるわけにはいかない。
 俺は、馬車に乗るとシェレールが乗りやすいように手を差し出す。シェレールは、少し目の端に涙を溜めて俺の手を掴んだ。
 馬車は、2人が乗るにしてはやたらと大きい。そんな馬車の椅子に俺が腰掛けるとシェレールは、向かい側ではなく俺の隣側に肩を触れさせて座った。
 馬車の窓からはみんなが俺たちに向かって手を振ってくれている。俺たちは、それに応えて手を振り返す。
 そして、御者さんはいい頃合いを見計らい出発した。
 城門を出るとみんなの姿がどんどん小さくなっていく。
 そして、みんなの姿が完全に見えなくなったところで俺たちは、手を振るのをやめて静かに座った。
 シェレールは、そっと俺の手の甲に自分の手を乗せて頭を俺の肩に乗せる。
「これが最後ってわけではないのにやっぱりお別れって寂しいですね。」
「……ああ、そうだな。まぁ、でも、シェレールも言った通りこれが最後の別れってわけじゃないし遠くへ行く訳でもない。すぐ近くにみんながいるんだからすぐに会えるよ。」
「……そう……ですよね………」
「………まぁ、そう言っても寂しさがなくなるわけじゃないよな。……だから、シェレール、俺でその寂しさを緩和してほしいな。」
「………旦那様で?」
「新しい家では俺たち2人っきりなんだ。少しは……まぁ、羽目を外したって怒る人はいないだろ。ちゃんと防音用と結界も作るし。」
 シェレールは、俺が何を言っているのか分かったのか少し恥ずかしそうに頬を染めて「はい」と頷いた。
 もともと魔王城から近かったので馬車だとほんの数分で着いた。
 俺たちは、御者さんにお礼を言ってからその馬車が見えなくなるまで新しい家の前で見送っていた。
 そして、完全に見えなくなったのを確認して俺は、シェレールの方を見た。シェレールもちょうど俺の方を確認したのか目が合った。
「………それじゃ、入ろうか。」
「はい、そうですね。」
 俺とシェレールは、手を繋いで新しい家のドアノブに手をかけた。
 そして、俺は一呼吸してドアを開いた。

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