クラス転移で俺だけずば抜けチート!?

白狼

326話 憧れ

「竜斗〜、シェレール〜、そろそろ披露宴の時間よ〜……って、クロムに言ってて言ってたのにクロムは、何してるのよ?」
 俺とシェレールとクロムで他愛もない話をしているとユイが部屋に入ってきてクロムを睨みながらそう言った。
 クロムは、ユイを見た瞬間「あっ」と声を出していた。そして今はユイの鋭い視線にブルブルと震えている。
「……わ……忘れてた……」
 クロムは、恐る恐る声を震わせながらそう言った。
 ユイは、その返事を聞くとため息を吐き睨みつけるのをやめて、やれやれといったような手振りをした。
「2人と話すのは構わないけどちゃんと伝えることは伝えなさい。そうしないと伝達ミスが発生して困るのよ?クロムは、これから魔王としてみんなを引っ張っていく中、そういうことされると迷惑でしょ?だから、次からは気をつけなさい。分かった?」
「……うん……気をつける……」
 ユイは、クロムの反省したような態度と返事を聞いてクロムの頭を撫でた。
「まぁ、今は注意したけど失敗するのもいい経験よ。成功を続ける人に失敗した人の気持ちは分からないものだからね。クロムは、魔王なんだから今の気持ち、絶対に忘れちゃダメよ?」
「……うん……絶対に……忘れない……ありがとう……ユイ……」
 クロムは、嬉しそうに返事をする。
 こういうところ本当にユイはすごいと思う。注意するところはちゃんと注意してそして、その後ちゃんと励ましの言葉も送ってあげる。俺だとすぐに励ましてしまうからその次も失敗することが多くあるんだよな。ちゃんと言わないといけないところは言わないとな。
「それでこれから披露宴なんだけど2人とも大丈夫?」
「ああ、俺は問題ないぜ。」
「私も問題ありません。」
「それなら行くわよ。主役の2人がいないとみんなご飯を食べられないんだからね。」
「うわぁー、これってみんなを待たせてる系?」
「思いっきり待たせてるわね。」
「うぅ……みんなに……ちゃんと……謝らなきゃ……」
 クロムがみんなを待たせてるということを知るとものすごく落ち込んだ。
「俺もちゃんとクロムが来た要件を聞いていなかったのも悪いから一緒に謝ってあげる。」
「私も聞かなかったので謝らないといけませんね。」
 俺とシェレールは、苦笑しながらクロムに向けてそう言った。
「……竜斗……シェレール……ありがとう……」
「いいよ、俺らだって悪いんだからな。ほら、みんなを待たせてるんだから急がないとな。」
 まぁ、急ぐって言ってもシェレールがウェディングドレスなので走ることは出来ない。
 披露宴の会場は、オープン型なので食堂ではなく庭で行っているのだ。そして、俺たちが向かわないといけないのはここから普通に歩いても5分くらいかかるところなので今の状態だと約10分くらいはかかるだろうな。
「はい、シェレール。」
 だが、シェレールを置いていくとかありえないので俺は、すぐにシェレールに向けて手を差し出す。
 シェレールも謝ってる時間がもったいないと思ったのかすぐに手を繋いでくれた。そして、そのまま体を寄せて俺に密着した。
「それじゃ、行くわよ。私は、ジゼルさんたちにもう来るって教えるからクロム、ちゃんと案内するのよ。」
「……うん……任せて……今度は……失敗……しない……」
「うん、それじゃ、よろしくね。」
 ユイは、そう言ってドレスのスカートの部分を手で持ち走って行った。
「……ユイ……カッコイイね……」
 クロムは、そんなユイの後ろ姿を憧れの眼差しの目を向けてそう言った。
 確かにカッコよかった。
 今のクロムの目を見ると恐らくクロムもユイみたいな人になるんだろうなって思った。
「……それじゃ……案内するね……ゆっくりで……いいから……」
「ああ、ありがとう。」
「ありがとうございます。」
 俺たちは、そのあとクロムの案内に従って庭の披露宴会場に出た。
 ユイがあらかた説明していたのか会場の雰囲気もそんなに悪くなかった。だが、俺とシェレールとクロムでちゃんと一緒に謝った。
 そして、その後披露宴が始まった。

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