クラス転移で俺だけずば抜けチート!?コミカライズ!

白狼

323話 名前

 俺たちは挙式が終わると一旦、休憩室へと案内される。
「結婚……しましたね。」
 シェレールは、少し照れた顔で結婚したことを再度確認するように言う。
「ああ、そうだな。………これからもずっとよろしくな、シェレール。」
「はい、こちらもよろしくお願いします、旦那様。」
 俺とシェレールは、座ったまま肩を寄せ合う。そして、俺の手の上にシェレールの小さくて柔らかい手がそっと乗る。
「……旦那様の手、大きいですね。」
「まぁ、男だからな。シェレールの手は小さくて可愛らしいよ。」
「ふふっ、ありがとうございます。」
「……………」
「……………」
 俺たちはお互いに黙ったまま見つめ合う。
「………ん……」
 そして、俺の方からそっとキスをする。
「……………」
 キスは、誓のキスよりも少し長くした。愛おしい人とずっと繋がっていたい。そう切実に願うようにキスをした。
「………ははっ」
「………ふふっ」
 俺とシェレールは、キスした後、お互いまた見つめ合う。そして、なにか面白くなってしまって微笑してしまった。
「これからは2人きりの生活ですね。」
「ああ、そうだな………って、そう言えば名前はどうする?」
「ん?名前ですか?」
「結婚してどっちかの苗字が相手と一緒にするんだ。」
「確かにそうですね。全く考えていませんでした。」
「俺の苗字だとこの世界に合ってないと思うから俺がシェレールの苗字にするよ。」
「ちょ、ちょっと待ってください!私、旦那様の苗字がいいです!」
「え?でも………」
「大丈夫です!どうせこの街からはあまり出ないんですから!街の人は旦那様が異世界から召喚された勇者って知ってるんですから大丈夫です!」
「………シェレール・ヒイラギってなんかおかしくないか?」
「全っ然おかしくありません!」
「………分かった、なら、俺の苗字、貰ってくれるか?」
「はいっ!喜んで!」
 シェレールの了承によりこれからシェレールは、シェレール・ヒイラギという名前に変わった。
「もういい?」
 と、そこでいつの間にか部屋の扉の前に立っていたユイが少し呆れたような顔で尋ねてきた。
「ゆ、ユイさん!?い、いつからそこにいたんですか!?」
「あんたたちがちょうどキスしてる所からよ。あんなところに出くわしちゃったら声をかけようにもかけられなくてそれからどんどん話が進んでいってちょうど区切りがいいところで声をかけたの?それでもういい?」
 ユイは、深いため息を吐きつつ俺たちにもう一度同じ問をした。
「あ、あはは、悪い。」
「すいませんでした……」
 俺たちは、最初にそんな場面に出くわしてしまったことへの謝罪をする。
「それでこれからどうするんだ?」
 俺たちは、これからの予定はもう全て任せてあるので俺たちは何も知らされていない。聞いてもお楽しみということで教えてくれなかったのだ。
「これから馬車で街を一周するの。このお城まで来れなかった人もちゃんと2人の姿を見られるようにね。」
 パレードみたいなものか。
「いいですね!それ!式場にあんなに大勢の人が居たので子どもとかはあんまり見れなかったの思います!」
「確かにそうだな。まぁ、人がいっぱい来てくれたのは本当に嬉しいことだが。」
「ふふっ、そうですね。」
「それじゃ、もう少し馬車の準備がかかるから待ってもらうけど今のうちに軽く間食でもしててちょうだい。私たちはあとで披露宴パーティーで食事をするけどあなたたちは挨拶回りとかで忙しいでしょ?」
「まぁ、そうだな。何か食べるものあるかな?」
「あ、それならメイドの人にサンドイッチ作ってもらったから……はい、これ食べて。くれぐれも衣装を汚さないこと。」
 ユイは、そう言うと持っていたバスケットを俺たちに渡してくれた。
「ははっ、分かってるよ。ありがとう、持ってきてくれて。」
「別に構わないわ。それじゃ、あと30分後くらいに呼びに来るから。」
 ユイは、そう言って部屋を出て行った。
「それじゃ、俺たちはサンドイッチでも食べるか。」
「そうですね。……すごい美味しそうです。」
 確かにバスケットの中身のサンドイッチは、ものすごく美味しそうだ。
 俺は、その中から1つ取りシェレールに向ける。
「ほら、シェレール、あ〜ん。」
「も、もう、旦那様ったら……あ、あ〜ん……」
 シェレールは、小さな口でサンドイッチを1口食べる。
「美味しい?」
「…………はい、とても美味しいです。……もう1口いいですか?」
「ああ、どんどん食べて。」
「でも、旦那様も食べたいですよね?」
 シェレールは、少しニヤッとした笑いをすると1口サンドイッチを食べる。
 そして、それを全て食べることはせず齧った状態のまま俺の方に口を向ける。
「ん……」
 これは、口移しということなのだろうか。
「ん〜……」
 シェレールは、ずっと俺が食べるのを目を閉じて待っている。
 あ〜、もう!可愛いな!
「……あむ」
 俺は、シェレールの唇ごとかぶりついた。そして、シェレールの口内に舌を入れてシェレールの口の中にあったサンドイッチを全て俺の口の中に移す。
 それを飲み込むと同時にシェレールから離れた。
「………〜っ!この食べ方だとものすごく恥ずかしいですね。」
 シェレールは、耳まで真っ赤にしてそう言った。
「確かに恥ずかしいな。」
「…………ま、まだ、予定はあるので続きは新しい家ということで………いいですか?」
「そ、そうだな。それじゃ、普通に食べるか。」
 俺とシェレールは、それから大人しく普通にサンドイッチを食べることにした。

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