クラス転移で俺だけずば抜けチート!?コミカライズ!

白狼

320話 散歩中








 きっと幸せって一瞬じゃないんだろうな。





 俺は、ピンク色の桜に似ている花が空を散っている所を見ながらそう思う。
 今まで辛いことや悲しいこと、逃げ出したいことなんかはいっぱいあった。
 俺は、まだ弱いからそう思うことはこの先もまだたくさんあるだろう。
 でも、その分楽しいことや嬉しいこともたくさんあるんだろうな。
 俺は今、真っ白なタキシードを着て外に1人で出ている。
 シェレールは、女の子だからすごい時間がかかると言われユイたちから外に散歩に出かけていてくれと頼まれた。
 ギルたちは、結婚式の最終チェックをしているらしく手が空いていないらしいので暇な俺は1人で散歩をすることになった。
「本当にいい天気だな。てるてる坊主をあんなにいっぱい作ったかいがあったな。」
 今朝、俺たちの様子を見に来たユイがすごい驚いていたな。
 俺は、今朝のユイの驚いた顔を思い出し微笑しながら少し騒がしい街から離れた。
 街は今、俺とシェレールの結婚式のため朝から少し盛り上がりを見せていた。
 さすがにそこに混ざるのは何だか気が引けるので俺は、こっそりと身を縮めながら街を後にした。
 俺は、魔王城から街まで全て見下ろせる結構高い山まで来た。
 そこでは気持ちのいい風が吹き、気温もちょうどいいくらいのものだったので最高だ。気を抜けばこのまま眠ってしまいそうだ。
「あ〜、本当に気持ちのいいーーーー」
「グァァァァ!!」
 俺が伸びをしている最中、後ろから魔物の雄叫びが聞こえた。
「ちょっと、間が悪いんじゃないんですかね?」
 俺は、愚痴を零しつつ魔物が放った魔法攻撃を避けた。
 真っ白なタキシードなんだ。返り血なんかで汚したくない。
 魔物は、大きさ3メートルほどの熊の魔物。巨大な爪に気をつければ大丈夫。
 でも、今回は近距離で勝負は挑まず遠距離でやろうか。
「っと!危ないな!」
 魔物は、爪をおおきく振り下ろして今さっき、出会い頭に放ってきた魔法攻撃を早速仕掛けてきた。
 魔物は、それを10回ほど連続で続ける。
「よくもまぁ、あんなに魔法を放って魔力が尽きないな。」
 俺は、少し関心をしつつ全て避けまくる。
 あ、そうだ。あれを試してみようかな。
 俺は、一旦その場で急停止して魔物を見つめる。
 念の為、服が破れないように強化してっと。最初からすれば良かったな。
 俺は、服を強化したあと、あるスキルを発動する。
 スキル 全吸収
 このスキルは、夢の中で邪神から貰ったものだ。夢から覚めたあとステータスを見てみたら本当にあるから驚いたな。
 俺は、スキルを発動したまま魔物の攻撃を待つ。
 魔物は、俺が動かなくなったのを挑発と思ったのかイラついたような雄叫びを上げて今さっきの魔法をまた多く俺に向けて放った。
 するとその魔法は吸い込まれるように俺の体の体内へと入っていった。
「おお、すごいなこのスキル。みるみる無くなっていた魔力が回復するぞ。」
 気づけば今さっきまで4分の1だった魔力がもう半分回復していた。
 もう少し回復したいところだが魔物の方が魔法を打ち続けて疲れたのか肩で息をしている。
 最初からあの攻撃を受けていたらもう少し回復できていたんだろうな。
 俺は、少しの後悔をしつつ魔物に向けて風魔法を放った。その魔法は、風をも切る速さで魔物の首に行きそのまま音も立てることなく魔物の首を吹っ飛ばした。そして、その魔物はバタンと地面に倒れ絶命したのが分かった。
「さて、この魔物、どうするか。」
 俺は、少し首を傾げながらどうしようか悩んでいるとナビが話しかけてきた。
(一旦、魔物はアイテムボックスに入れてお城に帰った方がいいですよ。皆さん、マスターが居なくなって困っていますよ。)
 そ、そうなのか?今、何時?
(結婚式が始まる10分前です。)
「ぶっ!や、やばっ!」
 新しいスキルに夢中になって時間のこと気にしてなかった!
 俺は、すぐに魔物をアイテムボックスに入れて魔王城へ転移した。

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