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クラス転移で俺だけずば抜けチート!?コミカライズ!

白狼

317話 1人の時間

「………ん〜……ふぁ〜……」
 俺は、日が昇ったのと同時に目を覚ます。
 隣で寝ているシェレールは、まだぐっすりと眠っている。俺は、そんな可愛しい寝顔にそっと触れる。プルンプルンの肌が俺の指にくっ付いてすごい癖になりそうな肌触り。この肌の感触は、クロムやレーネ、リルにも負けていない。
「と、いけない。いっぱい触ってたら起こしちゃうか。」
 まだ気持ちよさそうに眠っているからもう少しだけ眠らせてあげよう。
 時刻は、5時半。朝食は7時からなので結構暇だ。だが、二度寝をしようとも思わない。
「………ちょっと散歩に行ってくるか。」
 少し考えた後、1人で散歩に行くことに決めた。
「……ん〜……」
 だが、 シェレールがベットから降りようとする俺の腕をつかみ離さなかった。まるで行かないでと言っているようだった。
 何この可愛い子。本当に可愛すぎる。
 俺、本当にシェレールと結婚するんだな。まるで夢みたいだ。
 本当ならこのままシェレールが起きるのを横で待ってあげたいところだが……この頃ずっとシェレールだけじゃなくみんなと一緒だったからな。1人の時間が全く取れなかった。久しぶりに1人で散歩でもしたい。
「………シェレール、ごめんな。」
 俺は、そっとシェレールの頭を撫でて腕を優しく解いた。
「………あ………ん〜……」
 腕を解くとシェレールは、一瞬すごい悲しそうな声を上げて泣きそうになった。
 う、うぅ、本当に可愛い……
 でも、結婚してからもずっと一緒に居てやれるわけじゃない。たまには1人にならなくちゃいけない時だってあるはずだ。だから、これも試練と思わなきゃな。
 俺は、シェレールの頬にそっとキスをしてベットから降りて部屋を出て行った。
 部屋を出た俺は魔王城の外に出て朝特有の匂いを満喫する。
 ちょっと湿った空気、草には水滴がついている。少し霧もかかった景色。こんな光景このごろ見てなかったな。
「………シェレールにも今度見せてあげよ。」
 ははっ、やっぱりどうしてもシェレールのことが頭に入ってしまう。
 いつの間にか俺、シェレールに依存してるんだな。いま、まぁ、前からそうかなとは思ってたけど。
「……結婚………かぁ〜……」
 結婚が別に嫌とかそんなわけではない。ただ、まだ実感出来ていないだけ。いや、魔王城が結婚式の準備で忙しくなっているので結婚するんだなぁ〜、とは分かるのだけれど別に俺に変わったことは無いから実感が湧かないだけだ。
 まぁ、そんなこと思ってても結婚はするんだ。思うだけ無駄だよな。
 そういえば親族が全く居ない結婚式って前の世界じゃありえないよな。しかもお互いにだからな。
 …………父さんと母さん、どうしてるかな。俺がいなくなって清々してるかな。嬉しく思ってるかな。それとも暴力を振る相手がいないでイライラしてるかな。それとも……………心配してるかな………
 そんなことはあるはずがない……と思いつつも少しはその考えが頭を過ってしまう。あの2人は、いい加減でも俺を高校生になるまで育ててくれたんだ。今思えばなんで俺なんかをあそこまで育ててくれたんだろうか。学費だって俺がバイトで金を貯めるまでは払っていてくれた。
 …………やっぱり少しは心配してくれてるかな………
 もし、本当に俺のことを心配していたら………会って話とかしたいな。
「まぁ、まだ帰れるわけじゃないんだけど。俺のことを時間魔法がまだまだだからな。」
 ナビからはいまだにダメだしを食らってるからな。空間魔法はもうほぼ完璧に使いこなせるようになったんだけど時間魔法は具現化とかしないから難しんだよな。
(マスター、それなら1度魔法陣を描くっていうのも手ですよ?)
 俺が時間魔法のことで悩んでいるとナビが急に提案してきた。
 魔法陣を描くって……そんなことが出来るのか?
(魔力を指に溜めてそれで描くんです。時間魔法の魔法陣となると複雑ですが。最初は初期の魔法陣から始めた方がいいですね。)
 へぇ、今度やってみるか。
(ちなみに普通の魔道士は魔法陣を描いてから魔法を使います。マスターの周りにいる人たちは全て魔法陣いらずですが。)
 魔法陣が魔法にとって基礎中の基礎ってわけか。
(その通りですね。マスターは、何から何まで基礎を抜かし過ぎです。土台となる基礎が出来てなくてはこれ以上、上達はしませんよ。)
 へ、へぇ〜い。頑張ります。
 今度、シェレールにちゃんと基礎をもう一度一から教えてもらおう。
 俺は、それから数十分間1人で魔王城の庭を歩いていた。そして、部屋に戻るとシェレールが涙目でベットにいた。そのあとは、急にいなくならないでほしいとお説教を受けた。今度からは置き手紙でも書いていこう。
 結婚式まで残り、1日。

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